日明恩

◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第4話 Bon voyage〈前編〉
   九月三十日午前五時半、日の出とほぼ同時刻に槌田(つちだ)は晴海客船ターミナルビル二階にある乗降客コンコース前に立ち、目の前に停泊する巨大なクルーズ船セブンシーズ・ゴールデンパールを見つ
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第3話 Good boy! Good girl!〈後編〉
  「おやおや、これは。横川(よこかわ)さん、お見事です」  ビニールシートから取り出した腕時計を一目見るなり泉水(せんすい)が言った。 「やったー!」  横川が両手を天に突き上げて叫ぶ。
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第3話 Good boy! Good girl!〈前編〉
   東京メトロ南砂町(みなみすなまち)駅三番出口から地上に出る。むわっとした熱気に全身を覆われて、思わず槌田(つちだ)は顔を顰めた。七月はおおよそ暑い。だが今年の暑さは例年以上だ。まだ朝の
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第2話 Treasure hunting〈後編〉
   午後八時を回って第一班の担当が終わり、さすがに槌田(つちだ)は空腹を感じる。 「遅くなりましたが、夕食にしましょう」と英(はなぶさ)に言われて二つ返事で同意する。 「どこか店に入ります
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第2話 Treasure hunting〈前編〉
  「このあとですが、どうしますかね」  腕時計を見ながら英(はなぶさ)が思案顔で言う。  時刻は午後六時四十分になろうとしていた。  今回の研修は旅具通関部門と同じく二十四時間勤務となって
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第1話 Welcome to Japan〈後編〉
   検査を終えた渡航客は次々と出口から出て行った。ブースに連なる列もぐんぐん減っていく。先ほどのようなケースを除けば、一人当たりに掛ける時間は三十秒にも満たない。中には十秒も掛けずに検査を
◇長編小説◇日明 恩「水際守護神S」──第1話 Welcome to Japan〈前編〉
   電車が地下に入って視界が暗くなった。車窓から見えていた景色が消え、かわりに背広の男が映し出される。体格は悪くない。顔立ちもそこそこ整っている方だろう。けれど覇気は感じられない。これが今