森見登美彦
あなたに友達はいますか?「お前たち、クラス全員誰一人欠けることなく集まることはこの先一生ないぞ」と中学卒業式の日に先生がそう言った。それを聞いた私たちはそんなわけがない、クラス会で必ず集まるんだと騒ぎ、廊下まで響き渡るブーイングが起きたが、賭けてもいいと先生はやけに強気だった。別に誰かが死ぬと言っているわけじじゃない
新釈『蜘蛛の糸』 一生懸命のぼった甲斐があって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう暗の底に何時の間にかかくれて居ります。それからあのぼんやり光っている恐ろしい針の山も、足の下になってしまいました。この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかもしれません。
『四畳半神話大系』ふたたび
あの腐れ大学生たちにまた会えるなんて! 二〇〇五年発表の『四畳半神話大系』の大学生たちが再び登場する新作『四畳半タイムマシンブルース』。物語の原案は、劇団ヨーロッパ企画を
◎編集者コラム◎
『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』森見登美彦
対談集のタイトルに『ぐるぐる』とはこれ如何に。
登美彦氏は本書「はじめに」において、このように述べている。
「ただ正直に、
◎編集者コラム◎
『夜行』森見登美彦
作者の森見登美彦さんと私には、共通の趣味がある。
「乗り鉄」。
鉄道に、ただただ乗っていることに喜びを感じる人間のことを指す。
本書は、この10数年
2003年12月に第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作『太陽の塔』でデビューした森見登美彦さんと、2004年6月に第31回メフィスト賞受賞作『冷たい校舎の時は止まる』でデビューした辻村深月さんは
小説をめぐる小説を書こう
「小説家には"いずれは書いてみたい小説"がいくつかあるものだと思うんです。僕も、たとえば『恋文の技術』はいつか書簡体小説をやってみたいと思って書いたもの。そうした"いずれは