ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記 ☆2026年3月前半★

3月1日
条件はカラオケに歩いて行ける角部屋。引っ越しはエモイベ。私はマッチングアプリを使用したことがないので、近い体験をさせてくれるのはSUUMOアプリだけだ。去年の11月に賃貸の更新をしてしまったけどその時期から様々な理由で引っ越しがしたくて、SNSと同じくらいSUUMOに張り付いていた。いや、SNSよりメルカリの張り込みに近いか。保存した検索条件で目当てのブラウスが出品されるのを虎視眈々と待つのがルーティンになっているファッション大好き大学生のように私はSUUMOを見ていた。物件情報は未来なので、過去の集積であるこの散らかった部屋を眺めているよりもずっと楽しい。どうせ散らかるのに?と思ったりもするけど、壁の色がかわいくないとか、扉が美しくないとか、気になるならそこが全てって感じがして、妥協はできない。春が近づいて明らかに空き物件の数が増えてきている。SUUMOを開くと閲覧履歴から類推されたおすすめの新着物件が1件ずつ出てきて、違うと思ったら左にスワイプして、気になったらタップで詳細、右にスワイプするとお問合せ。これが10件くらいある。しかしこのおすすめには、そんなにぴったりの物件は出てこない。人から聞くマチアプの印象と同じだ。物件側からのアプローチはないので、マッチングとかはない。今日はしばらく海外のお城や宮殿や遊園地が炎真っ盛りで燃えている画像をPinterestで見ていて(なぜか気持ちが落ち着くの)、そのあと燃えていないほうの物件を見ていたら数ヶ月ぶりにやっと私の条件に合うお部屋を見つけたのでとりあえず不動産屋で働く友達に共有して大興奮。今日の午後に情報出たはず。「絶対この部屋に住みたくなってきた」「私も絶対この部屋に住んでほしい」「ここしかない」とか言って、勢いはほとんど恋バナか。居住中と書いてあるのに勢い余って来週に内見いける日程まで備考に添えて不動産屋に連絡した。引っ越せるとしても、四月下旬か。
3月2日
不動産屋からの電話でおはようございます。内見はまだ出来ないけど申し込むなら早い方がいいと言われ、急いで準備をして店舗へ。手続きをして申し込むと、「さっきはいなかったんですが二番手になってました」と言われた。まじかよ。果たしてそれは事実でしょうか? もうすぐ締切の確定申告がまだ終わっていないフリーランスである私への、〝かまし〟でしょうか? よっぽどのことがない限りは無理っぽい。了解。
君島大空宅に集合。君島くんと梅井美咲ちゃんと高橋佳輝さんが三人で私の新曲を作ってくれることになって、どういう感じにしようか、次のゆっきゅんが何をしたら面白いか、最近聴いてかっこよかった音楽、そんな構想を練るのと、具体的な制作の計画を立てるために集まった。私が事前に作成したプレイリストや、それぞれの最近のムードに即した音楽を流してブレインストーミング。私が今やりたいのは……ハウスミュージック。ハウスは特にディスコミュージックをサンプリングしたニューディスコとか、ディスコハウスって呼ばれるようなジャンルの90年代末くらいからの音が好き(『UCHIAKE HANABI』とかはたぶんジャンルで言うならそのあたり)だけど、もっとハウスの中のクラシックっぽい、Madonnaやそれを参照したAriana Grandeみたいなハウスがやりたい。ただ、この制作陣にそれをお願いしてもいいのかな、私はすごく面白い事が起きると踏んでいるけど。などと考えていたら、ゆっきゅんがやりたいことをやろう、しかもゆっきゅんの曲の中で新しいものにしようと、ノリノリになってくれていた。忙しい中で自分の活動に関わってくれる人が楽しそうだと心の底から嬉しい。
それぞれの最近の調子を聞いたら自分以外全員が「調子が良い」と言った。あたしは全然だめ。なのに調子が良い天才3名と一緒に制作ができるなんて、なんて幸せな事だろうと思う。最近の自分は、なんかもう新曲とか出せないのかなーみたいな、このままでどうなるんだろーみたいな、曲は頑張れば出せるに決まってるけど、それでもざっくりへこたれかけていたりした。みんなのエネルギーで調子良くなりたい。「なんかもう曲とか出せないのかと思ったー」とか甘えたことを言ったら、君島くんは私の目を見て大きな声で「出せるよ。すぐ、出せるよ!」と言った。太字で言われた気がした。
別にリファレンスとかでもなくMVとか色々見たけど何よりも私たちを夢中にさせたのはケイト・ブッシュのMVだった。ルアンちゃんが教えてくれたケイト・ブッシュのあのなんとも言えない踊りが続く『Wuthering Heights』のMVに始まり、他の曲も気になって、『Cloudbusting』とか『Running Up That Hill』とかどんどん4人でケイト・ブッシュのMVを見て、音像や歌声や表情や動きの特徴について語っていたら1時間くらい経っていた。佳輝さんは「世の中の秘密を知ってる系の人だね」とその瞳について指摘していた。たしかに、ケイト・ブッシュはなんか、預言者のような顔をしている。なんらかの使命なり天啓なりを受けて、世界中の人に伝えなければいけない事柄があって、それをまっすぐに受け取らせる態度でパフォーマンスをしている。彼女のカメラ目線の先にはっきりとリスナーの私がいる。無視できない。どう見ても彼女なりの信条がある。自由な踊りではなく練習されたコンテンポラリーぽい振付だけど、今そこで生まれているみたいにすら感じられる。本人の意志でなければ実現しなかった作品たちって感じがする。ただしそこにあるのがいわゆる主体性だけではなくて、本人よりも人間よりももっと大きなものに動かされている……って感じがある。巫女と呼ばれるDIVAより派手好きで、笑ってもいいと思わせる表現との距離がある。ちなみにケイトの手の動きの特徴は頻繁に何かを下に押し込む仕草。何度もゆっくり押し込んでいた。
かつてモーニング娘。のライブを観に行ったとき、小田さくらさんだけは「いま私は本当にこう思っています」っていう態度で歌っているみたいだったのを思い出す。歌に感情を込めて激しく表現するタイプとも違う冷静さがあって、とにかく、逆に話が通じないくらいの極太信念覚悟ビームを発していてかっこよかった。てかなんか、音楽が目的の人も、音楽が手段の人も、そんなことを考えたこともない人も、別になんでもいいと俺は思う。
昨日までが過去で、今日からが新しい未来!
3月4日
確定申告の前段階の準備としてマイナンバーカードの電子証明書有効期限切れ(これが何を示しているのかは全く知らない)を解消しに行く。めんどくさくて半年以上できなかった手続きはすぐに終わった。でも、マイナンバーカードなんて今も持っていない人がいて、それでも別に生きていけるのに、何がどうなって期限切れで使えませんとか言い始めることになるんだろうか。自己認識を「怠惰でなんでも後回しにしてしまうだらしない人」にさせてくるだけの、よくわからん、国からの通知。変だよね。性格診断いつも芸術家タイプだった人間がなんか言ってるよって話ですはいすみませんでした。
珍しくコンビニでもまいばすでもなくオオゼキに行って食料品を選び、空いているレジで店員のバーコード読み込みを待っていると、男子大学生くらいに見えるその店員は私のネイルに見惚れてくれていたらしく、「可愛いなって、思って……あ、なんか変なこと言ってすみません」と言ってきて、一瞬でなんでそんな甘酸っぱい場面みたいになってんだよと、出会いのきっかけかよと、わろた。たしかにこのネイルはかわいいよね、シルバーのミラーカラーをベースに、いちごやスイーツのパーツをのせて、その上から水色の妖精さんがホイップクリームでいたずらをしてしまった!っていうコンセプトなんだよ。笑顔が素敵な店員。そう。誰だって、誰かのアイドル。これは2014年あたりのキショい価値観。でもそのキショい価値観のおかげもあって自分でもアイドルになれるかもしれないと思えたし、切り捨てるだけでは歴史が歪む。
3月5日
月に1回の美術館朝活。Raspberrypie storeというお店で買った可愛いリュックを初めて背負う。三菱一号館美術館で「トワイライト、新版画──小林清親から川瀬巴水まで」を見る。浮世絵という文化が終わってゆき、新版画と呼ばれるものが始まる時期にあった作家たちの作品群が展示されていた。版画だけではなく、写真が展示されているのが面白かった。この頃の浮世絵にとって、写真の発明と普及は自分たちの仕事がなくなるかもしれない脅威だったらしい。写真と浮世絵が同じ並びで展示されている箇所がいくつかあり、その多くの写真は海外の人が日本の風景を撮影したものだった。ひとくくりにはできないけど、浮世絵はデザイン的な要素が強く、写真登場以後の新版画の方が写真的な要素が強くなっていくような気がした。ただ、写真であってもそのままの風景を切り取るわけではなく、明らかに複数の人間をカメラの方を向いて静止させて、構図的に気持ちのよい並びにして撮影しているものもあり、植田正治の写真などを語るときに使われる「演出写真」の走りを見た感じだった。良いキュレーションの展覧会だった。
3月6日
音楽スタジオに入ってセッションをしながら新曲を制作するという、あまりにもミュージシャンすぎる日。まずは梅井ちゃんの誕生日を祝ってケーキを食べる。最近は毎日ケーキを食べているらしい。そりゃ誰だって君の誕生日は祝いたくなるものよ。君島くんも和菓子を持参していたのでなんか、お菓子パーティー。牧歌的な制作環境で、私が出来ることは「いいね」「かっこいいね」という反応以外とくになく、君島梅井高橋が目の前でコード進行を試して自由に演奏していくのを私はただ、揺れ踊ったりしながら楽しんでいた。今日録ったものをサンプルにしてトラックを君島が一旦仮で作ってみてくれるらしい。ありがて。私がもしピアノを弾きたければ梅井ちゃんが先生になってくれて、ギターを弾きたければ君島ちゃんが先生になってくれるらしい。……嫉妬されるべき人生(宇多田ヒカル)。
巻きで新曲の雰囲気が決まって、時間に余裕があったので、初出とは違うこの編成で再録する『いつでも会えるよ』『lucky cat』『ログアウト・ボーナス』の練習もやってみる。『ログアウト・ボーナス』が音源よりもジャズみのあるアレンジになりそうで、それに沿った歌い方を瞬時に選べたらよいのだが私はいつも通りの歌唱しかできなかった気がしたので、レコーディングまでに研究してみる。
コメダでルアンとの神戸岡山旅のVlog編集大詰め。いつも言うことだけど、私の世代は写真が上手く撮れないといけない世代で、2個下くらいからは動画の編集が当たり前にできないといけない世代だと思ってて、私は動画編集をこれまで避けてきた。やってみて感じるのは楽しさ。そう、楽しさなんだけど、とにかく時間がかかるので、大変すぎる。動画編集やってる人はすごい。
レイトショーで、本日公開の映画『ウィキッド 永遠の約束』を観る。善い魔女として生きるグリンダと悪い魔女として生きるエルファバのかけがえのない友情物語。ウィキッドには思い入れがある。高校1年生のとき2年生の音楽コースの先輩たちが学校祭で上演していた。私は幼なじみが参加しているのを理由に観に行ったのだが、もうね、号泣してしまい、たしか2回観に行った気がする。ウィキッド熱は冷めることがなく、先輩にお願いして、本番を録音した音源を譲ってもらって、iPodに入れて繰り返し聴いていた。そのあとブロードウェイ版のサントラをレンタルして本物の音源も聴いたけど、私の中では先輩たちのウィキッドがウィキッドだった。女性の友情物語が好きなのが本当に昔から変わんない。
今日ウィキッドを観ていると二人の関係は、自分に遠くない人生で例えるなら「芸能人」を選んで生きることにしたグリンダと、「芸術家」としての自分しか選べないエルファバの別れ道を描いた物語のようにも見えるのだった。私ははみ出しものであるからエルファバに共感することだって容易なんだけど、グリンダのことが好きだ。俺のグリンダ好きはなんなんだろう。少女漫画なんだと思う。矢沢あい『NANA』ではレイラが好きで、『ご近所物語』ならバディ子に心が持っていかれるのと、グリンダに感じる切なさは共通しているんだろう。器用で、美人で、何でもうまくやれて、友達は多くて、みんなに愛されてて、自分のことを少し空虚だと感じることもあって、でも一番好きな人にだけは選ばれない女の子、みたいな。プライベートの情報は一切知らないけど、TWICEで1番泣けるのがサナなのも、これに共通した私の感受性だと思う。だから、映画にだけ追加されたラスト前のArianaソロ『The Girl in the Bubble』は本当に素晴らしいと思った。
3月7日
確定申告作業をするために友人宅へ。晩ごはんを食べるために玄関を出る時、振り返るとどう見てもミン・ヒジンみたいな格好の友人がいて膝から崩れ落ちた。実際にミン・ヒジンを意識してコーディネートしたらしい。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。普通の人はそれ気づいてくれないよ。あたしに指摘してもらえてよかったね。いろんなひとがいるね。
3月8日
昨日寝る前にやるべきことを書き出したらなんかよくわからんがたくさんあったので、今夜一緒にライブに行く友達に「ライブの時間にぎりぎり行くみたいな感じになるかも」って午前4時前にLINEしたら既読がついて返事も来て、起きてんだなー、って思ったけど私だって起きていた。
3月9日
どうしたらいいかわからないって人よくいる。いつからだろうか、私はそうじゃない時の方が多い。やりたいことが明瞭になっていたから。だから、どうしたらいいのか、何をすれば少なくとも今よりはもっとよくなれるのかってわかっていて、実行できなかったり、理想の実力に満たないことがずっと苦しいのだ。あれもやれるこれもやれるって頭に浮かぶせいで、逆に、できなかったことが増えていく。積読みたいなものだ。積読? 私はいつになったらルシア・ベルリンを読めるのだろう。
3月10日
賃貸の二番手だったやつ一番手になりました!
ここ数ヶ月通っている歯医者がすごい。今日も9:30予約で行ったら10時ごろには治療が終わってた。10:00に行ったときは10:01には麻酔打たれていて10:30には終わった。治療に速さを感じるってより無駄がない。待ち時間がない。私が30年かかっても使いこなせていない「時間」というものの流れに、完璧な管理がある。なぜこの俺がそんな早い時間に歯医者の予約をしているか。起きるためである。歯医者は飛ばせない。午前中に外に出る予定があると1日が長く使える。だからピラティスも歯医者も朝にしてる。去年、結婚式に向けたボディメイクでピラティスにハマりすぎた友達が、飲み友達に「ピラティス」呼ばわりされていると言っていた。そのとき初めてピラティスってポケモンみたいな言葉の響きしてたんだって知った。ヨガにハマってもヨガ呼ばわりされない気がする。どちらかといえばホットヨガのほうが名前っぽいか。
ところで歯医者のことを歯科あるいはデンタルクリニックと呼ぶ人はあまり見ないけど、眼科のこと目医者って呼ぶ人は教育の成果。水泳教室のことをスイミングと呼ぶかどうかは家族の語彙によって決まる。昨日の夜のことをゆうべって呼ぶかどうかは幼少期の環境に左右される。靴下って呼ぶかソックスって呼ぶかも自分じゃない人が握ってる。私はそう思う。
フィロのス(フィロソフィーのダンス)さんと初対バン。ツイートしたら夢が叶って間に合った。フィナーレのリハですって言われて、フィナーレ?と思いつつ出てみたらちょっと喋って写真撮影するっていうだけだったのだが、「最後にコラボでパフォーマンスする歌を私だけ詳細聞かされていなくて歌詞覚えてないままステージに立たされる」という、何度も何度も見る職業系悪夢かと思って一瞬震えた。その話をしたらアイドルみんなわかってくれた。奥津マリリさんは特に共感してくれて、準備不足でステージに立つ夢を見るらしい。
(次回は5月28日に公開予定です)
DIVA・作詞家 1995年岡山県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科比較芸術学専攻修了。2016年、ルアンとのサントラ系アヴァンポップユニット「電影と少年CQ」を結成。2021年よりセルフプロデュースでのソロ活動「DIVA Project」を本格始動。アーティストとして楽曲を発表するほか、作詞提供、コラムや映画評の執筆など活躍の幅を広げている。アルバムに『DIVA YOU』『生まれ変わらないあなたを』、最新EPは『OVER THE AURORA』。文化放送「武田砂鉄 ラジオマガジン」水曜後半レギュラー。
5月26日、恵比寿LIQUIDROOMにてDIVA5周年記念ライブ開催!
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