ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第164回

「こんなの病まないはずないだろバカ」
現在GW(ガッデムウイーク)明けだが、漫画家に世間の連休はあまり関係ない。
逆に漫画家に関係ある世間一般の出来事はあるのかと問われたら、今のところ「災害」以外は思いつかない。
GWが無関係ということは、その後にやってくるらしい五月病も無縁である。
しかし、そうした季節病に無縁ということは「オールシーズンいつでも病める」ということだ。
実際、漫画家が病みやすい職業なのかというと、比較的「こんなの病まないはずないだろバカ」な職業に分類されるらしい。
私的には漫画家を十数年やってきて本格的なメンのヘラりを感じたことはないのだが、これは蒲田駅西口で「自分は酔ってない」と主張するおじさんと同じであり、客観的に私の生活や風貌を見たら誰もが「病院だよウッッッ」と梢江さんになってしまうのかもしれない。
漫画家は1人で閉じこもって仕事をしている人も多いため、本人含め誰も病みに気づかず、その内「寒い日とすごく寒い日しかない」という精神のシベリア化が起こり「病んでいる状態で安定しているため逆に健康」という状態になってしまうのかもしれない。
実際私は「元気か?」と問われると「元気です」と、力こぶを見せる代わりにBCGの跡を見せたり、自分のことを「比較的健康」と自認していたりする。
一応同居家族の夫がいるのだが、彼は私の日中の動きは見ていないし、炭鉱帰りみたいな風貌も見慣れてしまっているため、私の精神的異常に気づいていないだけなのかもしれない。
そんな放っておいたらいつの間にか病んでいる漫画家のために、大手出版社は漫画家に対しオンライン医療相談サービスを提供したりしている。
そういえば、数年前にS(hit)学館の担当からもそういうサービスを始めたと報告があった気がするが、私は担当の話をスマホプランの説明の次に聞いてないし、送られてきた利用者カード的なものもどこにあるか不明なので、全てがわからない状態だ。
漫画家が病みやすいのは仕事の過酷さもあるが、本人の健康意識が低いせいもあるのかもしれない。
ちなみに漫画家が精神的に病みやすい理由は「評価がダイレクトにわかる上にそれが全て自分に返って来て収入が不安定、さらに同業者との比較が容易」という点が挙げられる。
確かにここまで結果が数字でわかる上に、その責任を1人で負う職業は珍しいのではないかと思う。
芸能人などでも自分が出演した番組の視聴率が悪くて打ち切りという現象はあるだろうが、テレビ番組というのは大人数で作るものなので「生放送中に男性器名を連呼」など、明らかな戦犯が存在しない限り、誰か1人のせいということはないはずだ。
しかし、漫画の場合、打ち切られるたびに誰かのせいにしようと試みてはいるのだが、未だに100%自分が悪い以外の結論に達したことがない。
また同業他者の数字まで見えてしまうのもよろしくない。
「初版ついに三桁!」など景気の悪い数字も見える化してくれればいいのだが、こちらの目に入るのは景気の良い数字なので、比較による劣等感からは逃れられないし、作品が評価されないことがそのまま自己否定につながってしまう。
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