ヒオカ『ゆるふわ天上人と地底人 住む世界が違うのに出会ってしまったあの子と私』

ボンボンもボンビーも人と人。分かり合えるんとちゃうん
あらゆる悩みは、金、金、金。金さえあれば、すべて解決するのに。そう思う。腹の底から。
奨学金、年金に健康保険、家賃に水道光熱費、スマホ代、税金……それらを滞りなく払えるか。それを考えるだけで、毎月ものすごく心が削られる。
私は10代前半、つまりティーンエイジャーの時から万年虚弱体質なのだが、酷いときは月20日程片頭痛に見舞われる。頭痛外来で頭痛予防の新薬が出たと聞き、飛びつきかけた。ほんの少しだけ、光が見えた。でもそれはとても手が出せない金額で、一瞬で光は見えなくなった。
金、金、金。金さえあれば、この苦痛から、解放される?
お金の余裕って、精神衛生に直結している。
お金に余裕があると、世界が輝いて見える。お金の余裕がないと、灰色でくすんで見える。
私はなぜだか、お金持ちの友人が多い。
支払いとか、預金残高とか、そういう概念に無縁の人たち。
生活水準の違いは一目でわかる。身に着けるもの、考え方、発想、習慣。そのすべてから、私と彼女たちの違いははっきりと、手に取るように分かった。
習い事は嫌になるくらい、たくさんさせてもらう。受験で私立はたくさん併願させてもらう。お小遣いやお年玉の単位は諭吉。ブランド物や車やビルは買ってもらうもの。
私は天上人を仰ぎ見る。
あそこに行きさえすれば、私を苦しめる悩みは、跡形もなく消えてなくなるのではないか。
しかし、実相はそう単純なものではないらしい。
彼女、彼らと関わって分かったことがある。
金は悩みを減らし、金は悩みを生む。
天上人である彼女、彼らの人生は、また別の苦悩と痛みにまみれている。
金持ち=イージーモード、世間知らずのボンボン。
そんなこと、ないんだよなぁ、と、本当に、思います。
今回出版する『ゆるふわ天上人と地底人~住む世界が違うのに出会ってしまったあの子と私~』は、天上人と地底人、平たく言うと金持ちと貧乏人の分断を溶かす道を探るエッセイです。
SNSではお金持ちが日常を投稿しただけで憎悪の対象となり燃やし尽くされ、貧乏というだけで社会からつまはじきにされる。階層やステータスによって分断や対立を煽る言葉が躍っていますが、私は「どれだけ生まれや階層が違っても、ボンボンでもボンビーでも、人と人は分かり合えるんとちゃうん」とわりと本気で思っているので、そのへんを詰め込みました。
イラストレーターである白ふくろう舎さんによるイラストがとってもファビュラスな表紙を目印に、ぜひお手にとってくだいませ。
ヒオカ
1995年生まれ。地方の貧困家庭で育った体験を記事にしたところ話題になり、ライターの道へ。「ないものにされる痛み」を可視化するため、貧困・格差・障がいなどの社会問題からエンタメまで様々なテーマで取材・執筆、ラジオ出演、講演活動を行う。著書は『人生は生い立ちが8割』(集英社新書)、『死ねない理由』(中央公論新社)、『死にそうだけど生きてます』(CEメディアハウス)。将来の夢は猫、犬、うさぎ、鳥、ハムスターを飼うこと。

