◎編集者コラム◎ 『クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び』ヨルン・リーエル・ホルスト ヤン=エーリク・フィエル 訳/中谷友紀子 

◎編集者コラム◎

『クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び』ヨルン・リーエル・ホルスト ヤン=エーリク・フィエル 訳/中谷友紀子 


『クライム・キャスト vol.1 届かなかった叫び』写真

 2025年8月、灼熱の大阪・関西万博。間違いなく人生一番の量の紫外線を吸収しながら向かった先は北欧パビリオン。「北欧ミステリーの世界」という文学イベントが開催され、北欧各国の作家5名、それに日本のミステリ作家を代表して有栖川有栖さん、文芸評論家の杉江松恋さんというかつてないメンバーが大集結していました。来日されたのは、レーナ・レヘトライネン氏(フィンランド)、イルサ・シグルザルドッティル氏(アイスランド)、ラグナル・ヨナソン氏(アイスランド)、トーヴェ・アルステルダール氏(スウェーデン)──そして日本で共著『クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び』(原題『SKRIKET』)の刊行が決まっていたノルウェーのヨルン・リーエル・ホルスト氏でした。

 ホルスト氏は元ノルウェー警察上級調査官。イベントでも「経験をもとになるべくリアルな刑事を書きたい」と語っていた通り、邦訳もされている代表シリーズ「警部ヴィスティング」では、ヴィスティング警部と、その娘でジャーナリストのリーナの父子コンビによる捜査過程や人間関係・心情のリアリティが光ります。一方、今作『クライムキャスト』で事件の調査にあたるのは、実録犯罪系ポッドキャスト番組の配信者と、刑務所にいる父親という父子コンビ! 異色の設定ですが、細部のリアリティは健在です。主人公の設定は、共著者に迎えた同じノルウェーの作家、ヤン=エーリク・フィエル氏の発案とのこと。二人は長らくライバル関係にあり、ホルスト氏は『猟犬』で〝小柄で小太り、分厚いレンズの眼鏡をかけた〟人物にエーリク・フィエルと名付け、その仕返しにフィエル氏も自作に〝太鼓腹〟のビョルン・ホルストを登場させたというユニークなエピソードもあります。

 イベント後の懇親会で、ホルスト氏に「今作の読みどころは?」と尋ねてみたところ、「主人公はキャンピングカーを拠点にしていて、各地を移動する。そのときのノルウェーの雄大な自然かな……いや、いますぐ簡潔に答えるのはとても難しい」と真剣に答えてくれました。本作の装丁は、今思えばですが、そのときの回答が影響しているように思います。解説を書いてくださったのは、イベントにもご登壇されていた杉江松恋さん。あわせてお楽しみください。

 それにしても、北欧からいらした皆さん、良くぞあの酷暑を耐えられたな……。大阪での〝熱い〟夏の一幕でした。

 ──『クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び』担当者より

クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び
『クライムキャスト vol.1 届かなかった叫び』
ヨルン・リーエル・ホルスト ヤン=エーリク・フィエル 訳/中谷友紀子
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