辛酸なめ子「お金入門」 18.筆跡で金運アップする方法

辛酸なめ子「お金入門」18
類いない感性で世相を活写しつづける辛酸なめ子さんが、お金と仲良くなって金運をアップするべく模索する日々を綴ります!

 デジタル化が進む現代において手書きの文字を見たり書いたりする機会はめっきり減ってしまいました。まず、手帳にしても周りの人は次々と Google カレンダーなどに移行。「文字を書くのが苦痛」という人や、「全然字を書かないから住所や名前以外書けるか自信がない」という人もいました。

 でも、私はどんなに汚字でも手書きの文字を大切にしたい……。それは筆跡によって人は開運できる可能性があるからです。8年ほど前に取材させていただいた「筆跡仕事人」(筆跡診断士)という肩書きで活躍されている芳田マサヒロさんに教えていただいた、開運のポイントがあります。「田」「口」などの上下左右が囲われている漢字は、書いたときに下の角に接していない部分があると、そこから金運などの運気が流れ出てしまうそうです。底に穴が開いている器のように……。逆に上に開いている部分があると、そこから良い運気などが入ってきやすい、というようなお話でした。それを聞いてから、意識的に漢字の下の部分には隙間ができないよう気をつけていました。結果的には8年前と比べて少しは運気が復活した気がします。

 先日、また芳田さんのお話を聞かせていただく機会がありました。筆跡と運気について研究し続けてきた芳田さんこそ、テレビに多数出演するなど活躍されていて、その開運効果を証明しています。

「一昨日も講演会で、ビジネスに活かせる筆跡診断というテーマでお話ししました。発想力や参謀力、コミュ力など、ビジネスポテンシャルも筆跡に表れるんですよ」

 ビジネスの能力も気になりますが、手っ取り早く金運を高める筆跡を知りたいです。芳田さんは「笑門来福」というおめでたい四字熟語が書かれたサンプルを見せてくださいました。この四文字を書くと、その人の持つポテンシャルや才能、運気がわかるそうです。その中でも金運に関わりのある筆跡について教えていただきました。

「『笑』という漢字の下のはらいの部分を見てください。左にぐんと長くなる。長く伸ばすことで、次のはらいを書くためにペン先を戻す距離が長くなって非効率です。それでも長く伸ばす人は目立ちたがり屋で自己顕示欲が強く、スター資質を持っています」

 芸能人など、目立つ存在になりたい人は、左ばらいを長めに書くと良さそうです。芸能人の筆跡を調べたら、石原さとみさん、井上真央さんなど左ばらいが長めでした。

「でも、目立ちたがりで自己顕示欲が強いタイプは、自分を良く見せるためブランドものなどにお金を使いがちなので注意が必要です」

 私も書いてみたら左ばらいはそこまで長くならず。物価上昇でブランドものが高騰してとても買えない、という抑制の意識が表れたのかもしれません。浪費家の人は意識して左ばらいを短めに書くと良いかもしれません。

「一方で右ばらいが長い人には、物事に熱中しやすいという面があります。好きなことにハマるとか、趣味や推し活に励むとか。仕事に活かせれば良いのですが、ギャンブルにハマるとそれも多額の出費につながってしまいます」

 左ばらいは自分の外面を飾るほうに、右ばらいは自分の内面を満足させるほうに意識が向くようです。両方が短すぎても、覇気がないイメージで寂しいです。

 堅実にお金が貯まるタイプはどういう字を書くのでしょう。芳田さんに伺うと

「それは、くっつくべきところがちゃんとくっついている字ですね」というお答えが。

「大手建設会社に講演会講師として呼ばれて、無事故を期すための筆跡についての講演を頼まれる機会が多いのですが、図面通りの仕事を正確にこなす建設マンは、「田」の角が全部接していたほうがいいです」

 と、「福」の右の「口」と「田」の部分を例に教えてくれました。

 特に安全性が求められたり規律が重視される職種でなければ、接していなくても良いようで、前に教えていただいたように「田」や「口」の上の部分が開いているのは運気的にもプラスだそうです。

「文字の中に外から入る入り口があって、下にいくと抜けずにたまる空間がある。こういう字を書くと、文字の中の奥行きが深くなります。それは人間の奥行きの深さや器の大きさにも通じます。人に対して門戸を開いているけれど、最後は閉じてしっかりけじめをつけるタイプです」

 これからも意識的に上を開けて下を閉じようと思います。人間運だけでなく金運もたまる筆跡だそうです。ところで文字の大きさにも運気は出るのでしょうか。

「文字が大きいのは、基本的に経営者や社長に多い筆跡なので、金運にも関係あります。私が見てきた中で大会社の社長で文字が小さい人は、ほぼいなかったですね。成功者の筆跡について研究した本を執筆しているので、調べたのですが、共通するのは『字が大きい』という特徴です」

 中くらいのサイズの字を書いていたので、今度から大きめを心がけたいです。大企業の社長ともなるとちまちました小さい字を書いているようでは務まらない、というのもあるかもしれません。老眼で見にくくなっているというのもありそうです。

「『福』という字を例にすると、へんとつくりの間にも注目です。ここは『気宇』といって、文字の中の気の通り道を表します。気は具体的なものに置き換えると、お金や人とのご縁。間が空いていたほうが、気の巡りが良いので、いろんなものが入ってきます。狭い人は心の縄張り意識が高い職人タイプが多いです」

 芳田さんの筆跡も「気宇」が広くて、仕事や人間関係に恵まれているという実体験が。私も書いてみたら、少し間が空いていました。

「金運も貯めるより流すのが重要。ケチケチせずに入ってきたものを流通させるとうまくいきます。『気宇』は包容力を表すので、人のためにお金を使うと良いですね。ここの間が広い人は、時流を読むので投資にも向いています」

 続いて芳田さんは、文字の間隔についても教えてくれました。

「福の漢字のつくりの部分の横線が等間隔で書かれている人は、何事も計画的に進めるタイプ。逆に間隔がバラバラな非等間隔な文字の人はその時の気分で動くタイプで、行き当たりばったりになりがちです。お金もなかなか貯まりません」

 私の字はわりと等間隔だそうで、A型の保守的なところが出ているのでしょうか。

 さらにお金が貯まらない、要注意な筆跡の人について伺ってみました。

「まず、口の下の部分が開いている人。金運的にも漏れやすいし油断しやすい。ミスも多くなりがちです」

 お金とは関係ないですが、性的に乱れている人の筆跡について伺うと……

「性的にゆるいタイプは、はねがない人です。あきらめが早いので、面倒なことは避けて、他に誘いがあったら離れていってしまいます。また、文章を短めに区切る改行ポイントの早い人も、周りをキョロキョロして目移りしやすいタイプです。文章がうねるように波打つ人も気心が多いです」

 とのこと。私の文字も左右に波打つ傾向があるので、これからは気をつけてまっすぐ一直線に書くことを意識します。これは男女とも交際相手の手書きをチェックしたほうが良いですね。いきなり直筆を見たいというのも不自然なので、アンケートやお店の順番待ちリストの文字をチェックするとかでしょうか。

 ところで、「右肩下がり」という言葉があるように、右が下がっている文字は運気が停滞しているのを表すのでしょうか。

「運気というより、右が下がっている文字を書く人はへそ曲がりで周りに合わせようとしないタイプですね。個人で仕事しているクリエイターにも多い筆跡です。日本語はやや右肩上がりのほうがきれいに見えます。右が顕著に上がっている文字の人は、役人気質で組織や慣習を守ろうとするタイプです。終身雇用が一般的だった一昔前は、右上がりの字を書く人が多かったように思います」

 時々自分の文字がやたら右下がりになっていることがあり、運気が下がってきているのか心配になっていたのですが、オリジナリティや個性の表れなら良かったです。

「門が末広がりに開いているのも、どっしりとしていて運気的に良いです。神社の鳥居も末広がり。安定しつつ発展していく筆跡です」

 弘法大師も末広がりの文字を書いていたと聞くと説得力があります。他にも有望な筆跡について教えてもらいました。

「横線を左に突き出るように長く書くのは、頭の回転の速さと才能のほとばしりを表します。代表的なのは聖徳太子。渋沢栄一も左の横線が長いです。成功者に多い筆跡でもあります」

 私の文字には残念ながらそのような特徴は見られませんでした。今は地味な筆跡でも、賢者の文字をまねることでポテンシャルを引き出したいです。

 何人か資産家の有名人の筆跡を探してみたので、芳田さんに見ていただきました。まずはイーロン・マスクから。英語でも筆跡鑑定はできるそうです。

「英語は基本的に右に傾く書き方をしますが、彼は逆に左へ傾いている文字なので、周りに合わせないへそ曲がりタイプ。良くも悪くも空気を読まない人です」

 だからこそあれほどの財をなし、発言で株価を変動させるほどの影響力を持てたのでしょう。

 続いてビル・ゲイツの筆跡は……

「Dの空間が大きいですね。エネルギッシュでモチベーションが高いことを表しています。『i』の点の部分をやたら外側に打っていて、自己顕示欲やスター性、華麗な社交性が出ています」

 昔は陰キャ風に見えましたが、確かに今は華やかなイメージです。

 ウォーレン・バフェットの筆跡については、

「縦長の文字が多く、振幅が大きい。進行方向に対して無駄な動きをあえてしています。世話好きでおせっかい焼きかもしれません」

 調べたらほぼ全財産を慈善事業に寄付する計画を進めていたり、これまでも多額の寄付をしてきたそうです。

 大谷翔平の筆跡は……

「私はこれまでに何度も鑑定していますが、左ばらいも右ばらいも長く、へんとつくりがぶつかっている文字が多いのが特徴。スター性があって、ものごとに夢中になる性格です。ふつう、隣り合う文字の線がぶつかるのは線衝突型といって、トラブルメーカーになりやすいので、一般の人の場合は直すように勧めています。でも、大谷翔平の場合は、普通の人なら怖気付く場面で勝負できる度胸を表していると思います」

 マイナスの要素もすべてプラスに変えてしまうのが大谷翔平の人徳とスーパースターたるゆえんです。

 今回、金運と筆跡について教えていただき、とりあえず、口の下を閉じるのと、末広がりと、へんとつくりの間の空間は意識していきたいと思いました。

 芳田さんも著書で「筆跡が変われば人生が変わる」と書かれています。最近世の中は字を書く人が減少傾向にありますが、手書きのほうが良い運気を潜在意識に刷り込めそうです。

「脳の機能的にも、文字を『打つ』よりも『書く』ほうが、脳が数段活発に動いていると言われます。介護施設の脳活にも役立ちます」とのことで、人生の後半こそ積極的に文字を手書きしたほうが良さそうです。

 ただ、年々自分の手書きのメモが読みづらくなっていっていますが、それはまた別の問題かもしれません。そして毎回校正のときに指摘していただくイラスト内アキツメの誤字。まずは筆跡鑑定以前の問題をなんとかしたいです。

今月の一言

手書きする人は、デバイスで入力している人よりも開運の伸びしろがあります。

 

辛酸なめ子「お金入門」18 イラスト

(次回は2月24日に公開予定です)

 


辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都千代田区生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部卒業。漫画家、コラムニスト、小説家。著書に『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』『女子校礼讃』『電車のおじさん』『煩悩ディスタンス』『江戸時代のオタクファイル』『世界はハラスメントでできている』などがある。
Xアカウント@godblessnameko

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