【作品は没後有名になった!?】教科書でもおなじみ、宮沢賢治のおすすめ作品5選を紹介!
教科書にも登場するような名作を生んだ宮沢賢治ですが、実は、ほとんどのの作品が生前に発表されることはありませんでした。自然を愛した宮沢賢治は、農学校で教壇に立ちながら数多くの詩や童話を残しています。その中でも特におすすめの作品を紹介します。
銀河鉄道の夜
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4001140128
宮沢賢治の代表作の一つで、長く愛されている名作です。主人公はジョバンニという少年。貧しい暮らしをしているため、同級生にからわかわれることも。ある日、草むらに寝転がっていたジョバンニは不思議な夢を見ます。夢の中でジョバンニは、銀河鉄道という名の列車に乗って宇宙を旅します。そして列車の中で友達のカンパネラに出会いますが、悲しそうなカンパネラは意味深な台詞を残していきます。目がさめると…。幻想的な情景描写が印象的な、ファンタジー小説となっています。
注文の多い料理店
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101092060
9つの短編が収録されている短編集となっています。表題作の注文の多い料理店は、2匹の犬を連れた2人の紳士の物語。2人の紳士が山道を歩いていると、道に迷ってしまいました。そこで見つけたレストランには、「どなたでもどうぞお入りください。遠慮はいりません。」という看板が。ただでご馳走が食べられると思った2人は、喜んでレストランに入ります。お店に入ると、「髪を整えてください。」、「鉄砲をおいてください。」、「体にクリームを塗ってください。」などの指示があります。戸惑いながらも指示に従う2人を待ち受けていたのは……。
シンプルなストーリーですが、読み終わった後に何か感じることのある物語です。子供の頃に読んだ方も多いと思いますが、大人になった今もう一度読み返してみても楽しめる名作です。
セロ弾きのゴーシュ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4041040027
音楽に造詣が深かったことでも知られている宮沢賢治。自身もチェロの練習をしていたという経験が今作では反映されています。主人公のゴーシュは、畑仕事をしながら、楽団でセロを引いていました。しかし、なかなか上達しないゴーシュは、いつも注意されてばかりでした。ゴーシュが家に帰ってセロの練習をしていると、猫やカッコウ、ネズミの親子など動物たちが訪ねてきます。はじめはうるさいと追い返していたゴーシュですが、次第にセロの調整などになるアドバイスを聞きはじめます。そして演奏会の日、ゴーシュの演奏に観客たちは…。どこか意味深な形で終わるストーリーに、今までの宮沢賢治作品とは異なる面白さを感じます。
よだかの星
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4039633806
「よだか」という鳥の物語です。よだかは醜い見た目から、まわりの鳥たちに嫌われていました。よだかの名前に鷹と入っていることが気に入らない鷹には、自分の名前を使うのをやめないと殺すと脅されます。怯えたよだかは、燃え尽きてもいいという覚悟で太陽へと向かって飛び立って行きますが…。物語中でよだかが鷹に殺されることに怯えている自分もまた虫を殺しているのだということに気づくシーンでは、殺生に罪悪感を感じて菜食主義となった宮沢賢治の思いが反映されていると言われています。この作品では、いじめや自分の存在意義、食物連鎖などたくさんのテーマが盛り込まれ、深く、じっくりと考えさせられます。
風の又三郎
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4003107624
山あいの学校に、又三郎という少年が父親の仕事の都合により転校してきます。同級生たちは、外見や性格が風変わりな又三郎のことを伝説の風の妖精である風の又三郎だというようになります。又三郎と遊ぶうちに、同級生達は空を飛ぶ様子などをみて不思議に思います。まるで空想のような不思議な物語です。田舎の小学校にやってきたミステリアスな転校生。又三郎に戸惑いながらも、徐々に又三郎と仲良くなっていく子供達の様子が描かれています。村の子供たちの心象風景が手に取るようにわかり、その幻想的な世界が印象的です。
最後に
多くの作品が没後に発表され、国民的作家となった宮沢賢治。1982年には出生地である岩手県花巻市に、宮沢賢治記念館が開館しました。記念館では関係資料や作品の解説などが展示されています。広く作品世界を覆っているのは、宮沢自らの裕福な出自と、郷土の農民の悲惨な境遇との対比が生んだ自己犠牲精神であるとも言われており、また幼い頃から親しんだ仏教も強い影響を与えているようです。教科書で一度読んだことがある作品も、大人になってから読むとまた違った感動が得られるかもしれません。ぜひ、手にとってみてください。
初出:P+D MAGAZINE(2016/12/03)