95年ぶりに電子全集として復刊! 現代ユウモア全集

現代ユウモア全集 大バナー

現代ユウモア全集とは

 昭和初期の1928年(昭和3年)に創刊された『現代ユウモア全集』は、当時大ヒットを記録。「ユーモア小説」が大衆文学の一ジャンルとして認知されていく初期の過程で、大変重要な役割を果たしました。当時まだ一般的でなかった「ユウモア」という言葉が斬新に受け止められ、バラエティ豊かな作家陣で弊社の黎明期を支える大ベストセラーとなった「日本ユーモア文学の礎」とされるこの電子全集が、95年ぶりに蘇ります。


3大ポイント

  • 発刊当時の本文(旧字体総ルビ)や挿絵を再現、読みやすい新字体も新たに追加
  • ユーモア文学の第一人者による詳しい解説
  • 月報、内容見本など当時の貴重な資料も収録

  • 価格2,700円+税
  • 全24巻 毎月最終金曜日配信予定
  • 対象端末/電子書籍専用端末、スマートフォン、タブレット端末、PC ・販売サイト/主な電子書店
  • 販売サイト/主な電子書店

最新刊

第6回配信(2025年4月25日)ラインナップ

現代ユウモア全集6巻 『明るい人生』 佐々木邦

現代ユウモア全集6巻
『明るい人生』 佐々木邦
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D158710000d0000000

価格2,700円+税

 佐々木邦は、日本のユーモア小説の先駆けにして第一人者。1926年、明治学院大学の講師や慶應大学教授を退職して、作家生活に専念する。本巻は専業作家となってから彼の最初の作品集で、長編「夫婦者と独身者」を始め、「抜目のある男」、「ケチな人の話」、「大量生産者の話」、「重役候補の話」、「理想的良人」、「日記の発心」、の計7編を収録。これらの収録作品で、邦は、深く人間の機微に触れ、健全で明るい笑いを提供する「ユーモア小説」というジャンルを確立することになる。

 特に「大量生産者の話」や「理想的良人」などでは、この当時で男女を平等な視点で扱い、むしろ女性が強さを発揮する。この作品を読んで、苦笑する男性、すっきりする女性、

 たくさんいたことだろう。このような雰囲気に、大正時代の自由主義も感じられる。

 装幀・挿絵は、田中比左良。漫画漫文だけではなく、美人画、肉筆画なども手がけて、当時、人気を博した漫画家。さらに、邦が作家デビューした大正末年は、「漫画」が市民権を得る時代でもあった。邦が新しいユーモア小説のスタイルを確立したことは間違いないが、その人気を支えた側面には「漫画」の流行と定着が貢献している点も、見逃せない。

 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、本全集収録以外の田中比左良の挿絵ほか、当時の貴重な資料を収録する。

第1回配信(2024年11月29日)ラインナップ

現代ユウモア全集1 後生樂 坪内逍遥

現代ユウモア全集1 後生樂 坪内逍遥
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D150340000d0000000

価格2,700円+税

 第1巻は、大作家、坪内逍遙。

 古今東西の笑いの理論にも親炙していた逍遥は、「悲哀と好笑は表裏一体、悲しみと可笑しみが縄のごとく絡まり合うのが人情あるいは世態風俗であり、それを写す小説にあっても、両者が好対照となればこそすぐれた効果を発揮する。そうした好笑の機微を理解せず、ただ『馬鹿笑ひ』できる話を求める作者読者のなんと多いことか」と嘆く。

 W・シェイクスピアの喜劇『真夏の夜の夢』やN・ホーソーンの小説「ハイデッガー博士の実験」を翻案した戯曲『回春泉の試験』に始まり、昔話「浦島太郎」や「竹取物語」を翻案した舞踏劇、「読売新聞」に連載され後に単行本化された小説『松のうち』、さらには「忠義な鷹」、「チリの油壺」など海外童話を翻案した短編戯曲(13篇)に至るまで、様々なジャンルの作品を収録。

 解説文は追手門学院大学准教授・佐藤貴之。付録には、月報や全集のラインアップ広告など、貴重な資料も収録する。

 巻末には雑文家・平山周吉も特別寄稿

第2回配信(2024年12月27日)ラインナップ

現代ユウモア全集2 櫻の國・地震の國 堺利彦

現代ユウモア全集2 櫻の國・地震の國 堺利彦
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D152000000d0000000

価格2,700円+税

「日本社会主義運動の父」とも呼ばれ、日本共産党委員長もつとめた堺利彦。実は彼、「貝塚渋六」のペンネームで、「日本一のユーモリスト」とも呼ばれていた。生涯で五度も投獄されている彼は、「楽天囚人」と名乗り、牢獄生活すら持ちネタとしていた。

 本巻には小説(『野外劇の一幕』)、エッセイ(「猫のあくび」)、海外文学の翻訳(モーパッサン「五十五年の片恋」)、戯作評論(「火事と半鐘の関係」) をはじめ、紀行文、新聞記事批評など33編を収録。その多くが大逆事件以後から1920年頃の「冬の時代」に発表されたもの。

 暗澹たる現実社会に向けられた辛辣な文章も多い一方で、堺のもう一面を象徴するのが、ある種の楽天的な理想を膨らませた空想的作品群である。この「空想」のあり方こそ、本巻のもうひとつの見所。

 特に「小剣が百卅五になつた時」は、公共インフラや最低限の社会保障も整わない当時に、飲み食いにも交通にも買い物にさえお金の要らない百年後の理想社会を描いている。現代の私たちが感じる幾倍もの驚きと痛快さを当時の読者に与えたことだろう。ユーモラスな口吻の奥には、不公正な世界への激烈な憤りと、貧困や圧政にあえぐ人々へのいたわりが常に覗いている。

 解説文は追手門学院大学准教授・佐藤貴之。付録には、当時の月報ほか、貴重な資料を収録する。

第3回配信(2025年1月31日)ラインナップ

現代ユウモア全集3巻 樂天地獄 戶川秋骨

現代ユウモア全集3巻『樂天地獄』 戶川秋骨
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D154440000d0000000

価格2,700円+税

 文芸評論、随筆家、翻訳者、英文学者、英語教師でもあった戶川秋骨が、精力的に活躍した36歳から57歳までのもっとも読み応えのある随筆、計52点を収録。

 全体は4部構成。[スケッチ]では、日常の風景を別の角度からながめ、単調な日々に新しい価値を付与しておもしろくする、まさに「ユウモア」文章のお手本となる作品が並ぶ。[追想]では、小泉八雲、夏目漱石ら恩師を中心に同時代の人々との交流を描いている。[紀行]では行く先々での出来事を秋骨流の手さばきで、貴重な思い出となる出来事へと変身させられる。[パラドクス]は、一見すると矛盾するが、そこにある種の真理があることを意味する。思わぬつながりに「なるほど」と感じることで、パラドクスとなる対象の差が大きくなると、そこに笑いが生じる。特にこの章は、現代ユウモア全集全体の面目を躍如させる章でもある。英語を生業としている秋骨が、「翻訳は不可能」、「英語なぞやるのが馬鹿々々しい」と述べる。それ自体に大きな矛盾を感じるが、ここで秋骨が述べていることは、約100年後の今も、なるほどと思ってしまうことばかりだ。

 また、大正時代の雰囲気を醸しだし、「大正レトロ」の味わいを伝えると同時に、古き良き東京の様子、とくに関東大震災前後の様子を描き出した貴重な記録としても、読む価値は高い。同時に、秋骨を中心とする当時の文化人の、意外なネットワークを現代に伝える役割を担っているので、ただの「ユウモア随筆」ではない。近代文化人の隠れた精神史を明らかにする「貴重な歴史書」にもなっている。

 解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、当時の月報ほか、貴重な資料を収録する。

第4回配信(2025年2月28日)ラインナップ

現代ユウモア全集4巻 『奇妙な精神病者』 長谷川如是閑

現代ユウモア全集4巻 『奇妙な精神病者』 長谷川如是閑
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D155830000d0000000

価格2,700円+税

 ジャーナリスト、評論家、作家と様々な肩書きで、明治~大正~昭和という、激動の時代に活躍した著者の、明治~大正にかけて発表された、入手困難で貴重なユーモア作品、計20編を収録。

 雅号=如是閑は「にょぜかん」と読む。友人による命名で、「是(かく)の如く閑」、つまり「こんなに閑」となっているが、日本新聞社→大阪朝日新聞に入社、天声人語を担当し、社会部長として、全国中等学校優勝野球大会(後の夏の甲子園)を企画創設し、大正デモクラシーを代表するジャーナリストとして進歩的、反権力的な立場で論陣を張り、戦後は最後の貴族院勅撰議員として日本国憲法の制定に携わったりと、実際は94歳の長寿で亡くなるまで、多忙を極めて駆け抜けた。

 現在、如是閑のユーモア作品を手軽に読むことはできない。ジャーナリスト、評論家としての作品に重きが置かれ、作家としての、とくにユーモアを活かした戯曲、小説は雑文として軽視されているようだ。理由は、そのユーモアの難しさにある。

 例えば、「無線電心機」では、機械文明が人間に利益を与えながら不利益を生むが、そこに思わぬ利益が起こる可能性があることを明らかにする。この文明批判的な眼力で現実を見抜く点が、如是閑の「ユーモア」となっている。

 その他の作品でも、落語や講談のような直接笑いを取るユーモアではないので、多くの読者は「これがユーモア?」と感じてしまう。『現代ユウモア全集』の一巻だから、どこかに「ユーモア」はある。それを読み取るのも本巻を読む楽しみだ。

 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、当時の月報ほか、貴重な資料を収録する。

第5回配信(2025年月28日)ラインナップ

現代ユウモア全集5巻 『東京初上り』 生方敏郎

現代ユウモア全集5巻 『東京初上り』 生方敏郎
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D157110000d0000000

価格2,700円+税

 明治末から東京朝日新聞などの記者として活躍し、大正期には「ユーモア作家」として多数の記事を書き、いわゆる「中間読物」作家の代表格。昭和になって『中央公論』から発表の場を奪われたが、「雑文」作家として活躍しながら社会批判を続けた。

 生方のまとまった評伝はなく、戦前に諷刺家として社会に警笛を鳴らしてきたが、今も読める著作はほとんどなく、埋もれた作家でもある。

 今回、表題作「東京上り」をはじめ、第一部小説から、第二部対話、第三部警句、第四部随筆までバラエティー豊かな全28編を収録。中でも、「下女の時代」は、架空の大正20年代を舞台にした未来小説という形で当時の女性問題を諷刺する。生方は女性問題にも積極的な発言をし、日本の社会をよくするためには女性の力が必要だと考えていた。

「子供と女性諸君とにうつたへて将来の時代を造るより他はないのです」と述べる。

 さらに、「誰にも分りよきやうに面白くユーモラスに書いてはありますが、諸君はただ笑って読みすごすばかりでなく、この笑いの中に潜んでいる著者の赤誠と著者の社会改造の意図とを挹み出して、世に宣伝し世を改造するやうに努力あられんことを希望するものであります。」と説明する。生方の諷刺ユーモアの意図は、ここにある。

 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、当時の月報ほか、貴重な資料を収録する。

第6回配信(2025年4月25日)ラインナップ

現代ユウモア全集6巻 『明るい人生』 佐々木邦

現代ユウモア全集6巻
『明るい人生』 佐々木邦
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D158710000d0000000

価格2,700円+税

 佐々木邦は、日本のユーモア小説の先駆けにして第一人者。1926年、明治学院大学の講師や慶應大学教授を退職して、作家生活に専念する。本巻は専業作家となってから彼の最初の作品集で、長編「夫婦者と独身者」を始め、「抜目のある男」、「ケチな人の話」、「大量生産者の話」、「重役候補の話」、「理想的良人」、「日記の発心」、の計7編を収録。これらの収録作品で、邦は、深く人間の機微に触れ、健全で明るい笑いを提供する「ユーモア小説」というジャンルを確立することになる。

 特に「大量生産者の話」や「理想的良人」などでは、この当時で男女を平等な視点で扱い、むしろ女性が強さを発揮する。この作品を読んで、苦笑する男性、すっきりする女性、

 たくさんいたことだろう。このような雰囲気に、大正時代の自由主義も感じられる。

 装幀・挿絵は、田中比左良。漫画漫文だけではなく、美人画、肉筆画なども手がけて、当時、人気を博した漫画家。さらに、邦が作家デビューした大正末年は、「漫画」が市民権を得る時代でもあった。邦が新しいユーモア小説のスタイルを確立したことは間違いないが、その人気を支えた側面には「漫画」の流行と定着が貢献している点も、見逃せない。

 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、本全集収録以外の田中比左良の挿絵ほか、当時の貴重な資料を収録する。