ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第149回

確定申告期間はまだ
始まってもいないのに
税理士から催促の電話が来た。
一昨日、担当税理士から「そろそろ確定申告の書類を出してくれ」と催促の電話が来た。
年末調整野郎のワンストップ納勢である皆様におかれましては「これだからフリーランスは、日々の事務処理だけに飽き足らず、国民の義務である納税に係る手続きまで怠ろうとしやがる。もはやインボイスだけでは生ぬるい。アウトからも攻めていくべき」と思われているだろうが、まだ確定申告期間は始まってもいないのだ。
つまり、フリーランス、それも漫画家に対し、申請期間が始まる前に必要書類を揃えて送れと言っているのだ。
これは締切前に原稿を送るどころか、原稿依頼前に連載原稿を描き上げて打ち切られ終わっているレベルの時期尚早である。
前倒しを越えて倒壊を指示されたようなものであり、正気かと思ったが、私が担当してもらっている税理士は夫の紹介であり、おそらく漫画家の顧客は私しかいないのだろう。
漫画家は社会性という意味では反社に属しがちなところがある。市井の税理士事務所が反社の常識など知るわけがないのだ。
少なくとも「あまりにも期日が守られないため本当の期日は作家に教えてはならない」が常識になってしまった業界を基準にしてはだめだろう。このあまりにも早すぎる催促も他業界からすれば当たり前なのかもしれない。
これが反社の関連企業である出版社からの催促であれば1か月は無視、もしくは「カレンダーが読めてない」という理由で担当チェンジを要請するが、税理士からの催促には諾々と従い、一両日中には提出の予定だ。
漫画家にあるまじき速さであり、逆に「早きに失している」とさえ思うのだが、税理士側からしたら「圧倒的手がかかる顧客」の部類なのかもしれない。
こんなに早く催促されているのも今までの実績から「こいつは1か月前からケツをスパンキングしないと」と思われているからであり、そもそも他の顧客は言われなくても出している可能性がある。
ちなみに何の店かは言わないが、錦糸町の店でスパンキングをしてもらおうと思ったらオプション料金で1,000円らしい。
顧問料は経費にできるので、税理士に殴られれば殴られるほど節税になるとも言えるが、未だかつて税理士からの請求にオプション料がついていたことはなく、完全にサービスになってしまっている。
手間がかかる上に割に合わない顧客であり、夫の伝手でなければいつ辞任されてもおかしくないのである。
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