ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第41回
以前にもまして宣伝には
力をいれるようになった
前から1日68時間ツイッターをやっていたのだが、主にエゴサで自分について好意的なツイートを見つけたら「気にいった」と心の中で大切に握り込んでいたダンゴムシを3つほど贈呈してリツイート、批判を見つけたら歯間が2ミリ広がる呪いをかけてミュートするぐらいであった。
しかし、最近では毎日自分で作品紹介のツイートをするように心がけている。
元の発行部数が数千部しかないのだから、1日1冊でも売れればバカにならない。
そしてアマゾンリンクなどを忍ばせることにより、たまにポイントが貯まってトイレットペーパーとかが買える。
つまり、医者が助走つけて匙を投げるレベルの塩分が効いた生活をしている。
これは漫画家なんかより、ユーチューバーやゲーム実況者になりたいという子どもが増えるはずである。日本の子どもに見る目があって何よりだ。
もちろん今でも漫画家というのは当てれば儲かる夢のある職業にはかわりないが、当たらないとアフィリエイトで便所紙を買うようになるのだ。
つまり世の中全体がそうであるように、漫画家も格差の広がりがエグくなったということだ。
今の漫画家ピラミッドは縦長にとがっており、尻に入れやすくなった。
そんなわけで、宣伝活動と一緒に力を入れているのが「困っている漫画家探し」である。
自分だけが困っているのは納得がいかないので、自分と同じように単行本が売れなくて連載が切られそうなってる作家を探して心の平穏を保つリラクゼーションを積極的に行っている。
言っておくが、このマインドは漫画家のみならず、どの職業でも伸びない奴の思考である。
下にいるとき上を見て這い上がろうとするのではなく、同レベルや下を見て安心しているようでは伸びるはずがないし、気づいたら自分が底辺になっているのだ。
よってユーチューバーを目指すお子様も、自分の動画が48再生しかされないからと言って28再生の奴を見つけて笑うような真似をしてはいけない。ヒカキンでも見ろ。
しかし、そんな空になったコンデンスミルクの容器をハサミで解体して内側を舐めるような行為にも収穫はある。
打ち切られそうな作家の証言を集めると、今漫画というのは大体紙の本と電子書籍があるが、連載が続くか否かの判断はほぼ紙の本が重版するか否かで決まっているということだ。
「電子書籍の売り上げも考慮に入る」とは一応言っているが、どう見ても紙基準なのである。