ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第61回
私の漫画家人生初代担当が
ついに異動になってしまった。
しかしその頃には私も神経がマヒしており「あの担当なら人の生活費を3か月ぐらい忘れることもあるだろう」と何故か「納得」していたし、その時はFGOにも課金するところがなくウマ娘にもはまってなかったし、主食はパスタと栄養のある粉とパブロンだったため、悠長に構え「言わなかった」。
今思えば、3か月分の貯金があるからと言って、3か月給料が振り込まれないで文句を言わない会社員はいないだろう。
その後、私とは関係ない内部事情で諸々の手続きが滞っているということを聞かされ「じゃあ、原稿料が3か月止まっているのはそのせいですか?」と聞いたところ「多分そうです」という返答が返ってきた。
「左様か」と電話を切り、その後原稿料は振り込まれ「何事もなかった」感じになったが、もしかしたらこれは、叩きつけた杯を、もう1回拾いに走って「この杯は奴の血でしか満たされん!」と、城が無人になるレベルで出兵しても良かったのではないだろうか。
このように、あんまりつまらないことで怒り続けると、いざという時の怒り時がわからなくなる。そして「大ごと」というのは、どれだけ大ごとでも、怒っている奴がいないと「大ごと」として認識されないので、相手が「ただ事ではない」ということをわかってなかったら、かぶっているキャップを床にたたきつけるぐらいしないとダメだ。
厳密には担当のせいではないが、それを主食が粉じゃなかったら餓死するレベルで長期間言わないのもすごい。
今思えば、これが最後の激怒チャンスだったかもしれない。そう思ったが、異動後になって「新担当との引継ぎに失敗」したため、私の連載が休載になるというメールがきた。
そのメールにまだ返事はしていないし、怒っているかというとすでに「おもしれー担当」というスパダリ俺様生徒会長スピリッツになってきている。
だが、これが最後かもしれない。例え尿が漏れても死ぬほど怒っておこうかと思う。これが私の贐(はなむけ)だ。
(つづく)