スピリチュアル探偵 第17回

スピリチュアル探偵 第14回
コロナ渦をサバイブする
やり手経営者の伝手をたよって、
いざ鎌倉!

主婦の姿は世を忍ぶ仮の姿!?

腹切りやぐらから走ることもう数分。到着した先は、周囲が緑に囲まれていること以外は、ごく普通の民家でした。聞けば、今回視ていただく先生は主婦の方だそうで、紹介を受けた客のみ、こうして自宅に招いてカウンセリングしてくれるのだとか。

料金は60分で6000円。この手のカウンセラーとしては破格に安い料金設定です。これは好印象!

インターホンを押すとすぐに、いかにも人の好さそうなお母さんがニコニコと出迎えてくれました。Tシャツ姿のラフな出で立ちは、とても霊能者には見えません。これはあくまで世を忍ぶ仮の姿、なのでしょうか。

促されるまま、ダイニングテーブルに着席する僕たち。先生は2人同時で構わないと言いますが、せっかくだから何でも赤裸々に相談したいということで、僕が先攻、Mさんが後攻と分かれ、個別にカウンセリングを受けることに。

僕のターンが終わるまで近所のカフェで待つというMさんを送り出すと、先生はまず、僕の生年月日と、視てほしい人たちの生年月日、さらに僕の下の名前だけを聞いてきました。

逆に言うと、それ以外の情報はいっさいヒアリングなし。インチキほど事前にあれこれリサーチしたがるものなので、これはますます好印象です。下の名前を聞かれたのも、単にコミュニケーション上の都合で、カウンセリングには一切関係ないようでした。

僕が自分の生年月日のほか、母親の生年月日を伝えると、先生は「計算するので、ちょっと待っててくださいね」と、メモをとりながらスマホを電卓代わりにチャカチャカと忙しなく指を動かし始めました。

5分ほど待って、いよいよセッションスタートです。

知らないうちにどん底から盛運期に!

先生は手元の紙に羅列した数字を見ながら、まずこう切り出しました。

「哲さんは昨年、どん底の時期だったんですよ。この場合は節分を1年の区切りと考えるので、昨年というのは2019年の2月から今年の2月までを指します。そして今年の2月からは盛運期に入っていて、仕事でも何でも非常に好調な流れに突入していますね」

なんと、どん底だったのですか僕は……。ちなみに節分を大晦日とし、2月4日の立春を1年の始まりとするのは、数秘術の考え方なのだそう。この日を境に、運気の流れが変わるらしいです。

試しに今年の2月までをざっくり振り返ってみれば、確かに取り立てていいことはなかった気がします。我ながら憂さ晴らしが得意なタイプなのですぐ忘れてしまいますが、嫌なことや傷ついたこともいくつか思い出せました。

でも、そんなのは誰にだってあること。どちらかというと、何も建設的なことがなかった空虚な1年であったことのほうが、僕にとっては由々しき問題です。言ってみれば、そこはかとない停滞感に悩まされた1年でした。

また、気になるのは今年の2月から盛運期に入っていたという事実。盛運期とは文字通り、運気が盛り上がっていく時期だそうですが……。確かに、コロナショックの中でも仕事は途絶えませんでしたし、去年に比べて楽しいオファーが多い気はします。あくまで「言われてみれば」のレベルですけどね。

「盛運期といっても、コロナのおかげで新しいチャレンジがしにくいので、実感は薄いかもしれませんね。でも今、運気の流れは抜群にいいですよ。何かしらの停滞感を感じているとしても、きっかけひとつで一気に世界が開けるはず」

ふむ、そう言われると悪い気はしません。でも、その盛運期があと数カ月で終わってしまうのがちょっと不安。どうせならもっと早く知りたかった!

さらに先生は数字を見ながら、今度は僕自身が持って生まれた星について解説してくれました。

「ひとことで言えば、哲さんは全体的にカオスな人なんです。(数字を僕に見せながら)適性とか本人のやりたいこと、他人から見た面白い部分というのが、いろんなところに混在し過ぎてるんですよね」

果たしてそれがいいことなのか悪いことなのか僕にはわかりませんが、先生は「だからいろんな人に対応できるし、今の職業もきっとそういうお仕事でしょう?」とフォローしてくれました。

 


「スピリチュアル探偵」アーカイヴ

友清 哲(ともきよ・さとし)
1974年、神奈川県生まれ。フリーライター。近年はルポルタージュを中心に著述を展開中。主な著書に『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『一度は行きたい戦争遺跡』(PHP文庫)、『物語で知る日本酒と酒蔵』『日本クラフトビール紀行』(ともにイースト新書Q)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。

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