滝沢カレンさん 第3回 インタビュー連載「私の本」vol.10 

小さい頃から、想像力を膨らませてどっぷりと本の中に入るのが、滝沢カレン流の読書。滝沢さんの「本人生」の中でずっと1位に輝いているという本や、過去いちばん声を出して笑った本、現在読んでいる本など、おすすめの本を教えてもらいました。


 子供の頃は絵本が好きでした。文章だけだとゼロからの想像になってしまうので大変ですが、挿絵があるとイマジネーションが湧くからです。

 でも美しく派手で、全部説明してくれるような絵より、木が1本立っているだけだったり、ただ緑に塗られているような感じのそっけない挿絵のほうがいいですね。そのほうが想像力が膨らみます。

 印象深いのは『霧のむこうのふしぎな町』という絵本で、小学校3年生くらいのときに、夏休みの読書感想文で手にしました。

 私としてはもううれしすぎるタイトルで、これも10ページに2回くらい挿絵が出てくるだけなので、想像を自由に広げて、そのあと挿絵を見てさらに内容が深まるという感じで。あのときは本のなかに入ってしまったんじゃないかと思うくらい、そればっかり考えていました。

 自分も霧の向こうに行きたかったし、物語が終わってしまうのが嫌だったから、途中まで読むと霧を探しに外へかけ出すんです。まぁ、夏だから霧はないんですけど(笑)、その頃は霧は寒いときにあるとわかっている時代じゃなかったから、うちの近くの各地に霧を探しに行ってました。

 今でももう一回読みなおしたいと思うくらい、あの絵本は私の本人生のなかでずっと1位に輝いています。

どっぷり感動に浸ったノンフィクション

 とはいえ、中学生になるとファンタジーも少し難しくなってきて、読んでいて〝ん?どっからここに来たんだ?〟と感じることも増えてきました。だから選ぶのはむちゃくちゃファンタジーに振り切ったものか、本当の話か、どちらかになりましたね。

 なかでも誰かの生き様を書いているノンフィクションが好きでした。『アシュリー ~All About Ashley~』は世界で30~40人くらいしかいない早期老化症という病気にかかった子供の話。人の10倍の速さで年をとるので、平均寿命は13年という難病なんです。

 細かい心情だったり、指先から伝わってくる感情だったり、振動のようなものが感じられて、どっぷり感動しました。

 こういう悩みを持っている子供がいるんだと世界の広さを知ったように感じられたんです。中学生の頃の私はすぐ泣くし、すぐ怒るような女だったから、そんなふうじゃいけない、私は本当に幸せなんだと思って。毎日を大切にしようと、人生の重みについて考えさせられたりもしました。

 そして高校になると、さくらももこさんのエッセイに夢中になります。もちろんアニメの『ちびまるこちゃん』は小さい頃から観てきて、DVDも全部持っていて。

 読んだのは『もものかんづめ』とか『さるのこしかけ』とか、『ももこの世界あっちこっちめぐり』などで、もうどハマりして毎日持ち歩いていました。本当に面白くて、声を出して笑った本は、この本以外には過去にもなかったし、これからもないです。

たくさん、同時進行で読む

 今、本はスマホにダウンロードして読んでいます。紙だと持ち歩くことからやらなければいけないから大変なんですけれど、スマホならいつも持っているから、Instagramをやり終えて何もやることがないときとか、移動時間なんかを読書にあてています。

 いま読んでいる最中なのは西加奈子『ふくわらい』、それに今村夏子の芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』ですね。人に薦められて。

 あとは水野敬也『夢をかなえるゾウ』。象の置物がしゃべりだしたりと、こっちのほうがもっとファンタジーで自分寄りの内容ですが、逆に想像が膨らんでしまって、最後までいきつかないんです。

 スピリチュアル本も私の大好きな世界のひとつです。飯田史彦『生きがいの創造 スピリチュアルな科学研究から読み解く人生のしくみ』は、「死後の生命」や「生まれ変わり」の体験談を集めたもので、けっこう夢中になりました。

 いつも本は、何冊かを同時進行してしまいます。読みたくなったものをとりあえず読んでいく感じなので、いろんな本が中途半端です。

 そういう状況だと、複数の本の内容を自分の頭のなかで組み立てて、別の話になってしまうこともあります。読んで想像力が膨らんで、本に戻ったときに世界が違っていると、〝あーもういいや〟っていう感じになったりと、いろんな意味で大変です。

 でも、文章を書く連載もやらせていただいているし、読書はなるべく癖にしたいと思っています。暇があれば、1日1ページでも読み進めたいなって。そうやって少しずつでも、本から何か得られればいいなと考えているんです。

(次回へつづきます)
(取材・構成/鳥海美奈子 写真提供/サンクチュアリ出版)

滝沢カレン(たきざわ・かれん)
1992年東京生まれ。2008年、モデルデビュー。現在は、モデル以外にもMC、女優と幅広く活躍。主なレギュラー出演番組に『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ)、『沸騰ワード10』(日本テレビ)、『伯山カレンの反省だ!!』(テレビ朝日)、『ソクラテスのため息~滝沢カレンのわかるまで教えてください~』(テレビ東京)など。


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