むちゃぶり御免!書店員リレーコラム*第17回
こんな本だったの? 表紙やタイトルとのギャップに驚いた本
旅が好きです。それゆえ旅を題材とした小説やエッセイを好んで読みます。
今回ご紹介する『『祖母姫、ロンドンへ行く!』も、ゆるゆるとした気持ちで、旅に行った気分になりたいと思い、手に取りました。「ロンドン」と装画の「スコーン」に惹かれて。
ところが。不覚にも終盤には涙が滲み、与えられた金言の数々や素敵なエピソードに、ジーンと胸が熱くなるではありませんか。どうしたどうした、こんな気持ちになる旅エッセイ、これまで出会ったことないぞ!
旅のはじまりは、祖母が『「一度でいいからロンドンに行きたい、お姫様のような旅をしたい」と告げたこと。一族総出で支援する5泊7日の豪華イギリス旅行が決定し、英国留学経験のある孫娘(=著者)が同行することになりました。
大英博物館、ハロッズ、憧れのアフタヌーンティーに5つ星ホテルのおもてなし…
頑固で優雅な祖母姫を満足させるため、著者の奮闘が底抜けに面白く描かれています。
旅気分になれるのはもちろんのこと、特筆すべきは登場人物がみな大変に魅力的であること。特に祖母姫とバトラーのティムのエピソードが素敵で、折に触れ読み返したくなります
「自分を信じて努力して、その結果生まれるのが自信」
ううっ、その通りであります。経験に裏打ちされた祖母姫の言葉が、ぼーっと読んでいるわたしをシャキリとさせます。ありがとう祖母姫。
ゆるゆると旅気分で楽しむつもりが、嬉しくも思いがけず、たくさんの学びがありました。
お 2 人の宝物のような日々を分けてもらえる一冊。ぜひ読んでいただきたいです
『祖母姫、ロンドンへ行く!』
椹野道流
小学館
小西敬子(こにし・けいこ)
オンラインショップ担当、元旅行会社勤務で旅行が大好きです。
【次のお題】
心がざわめくときに読む本
【答える人】
toi books 磯上竜也さん
本連載は、「〇〇な時に読む本」というお題で、書店員の皆様に「推し本」を紹介していただきます。〇〇部分は、前回執筆した方が、次の執筆者に対して提案します。