◎編集者コラム◎ 『喪われた少女』著/ラグナル・ヨナソン 訳/吉田 薫
◎編集者コラム◎
『喪われた少女』著/ラグナル・ヨナソン 訳/吉田 薫
「読み終わっても頭から離れない」「〝誰もが想像できないラスト〟に偽りなし」「衝撃に言葉を失う」などなど、読者に巨大すぎるインパクトを残した前作『闇という名の娘』。
待望の第二弾『喪われた少女』(原題:「The Island」)が、ついに日本上陸です!
『闇という名の娘』を読んだ方は、「続編て……どういうこと……?」と不穏な気持ちになっているでしょう。
もちろん本作、単独で読んでも、面白さは保証します。が、『闇という名の娘』のあとに本書を読むと、物語の奥行きが何十倍、何百倍にも広がってゆく感覚を味わえます。ページをめくれば、「うわあ、前作のあれが!」と身もだえすることうけあい。『喪われた少女』から読み始める方、この「物語に飲み込まれる感覚」ぜひ試してみてください。
物語は、1987年のアイスランドで幕を開けます。西部フィヨルドへ、秘密の週末旅行に出かけた若いカップル。数日後、地元警察はそこで死亡している女性を発見します。レイキャヴィーク警察のリーズルは、物証から父親が犯人だと断定し、逮捕に踏み切ります。そして10年後、死亡した女性を偲び、仲の良かった友人たち4人が集うことに。IT企業を興したベネディフト、農場に嫁いだアレクサンドラ、職を転々としているクラーラ、そして被害女性の弟であるダーグル。彼らが向かった先は、この世のものとは思えない景観を誇る、絶壁の無人島・エトリザエイでした。ところが旅程最終日、彼らうちの一人が崖から転落死していると通報が。捜査にあたるフルダ・ヘルマンスドッティル警部はさっそく現地に向かいますが、彼らの口ぶりになんとも言えない違和感を覚えます。フルダは調べを進めるうち過去の事件に隠されていた、とんでもなく深い闇に潜り込んでいくことに……。
過去と現在をクロスオーバーさせながら、単なる事件捜査だけに終わらないヒューマンドラマを描き出すのは、ラグナル・ヨナソン氏の特徴といえる手法。さらに本作ではフルダ自身が生き別れの父を探しに行く旅の様子も差し込まれ、シリーズとしての厚みも増しています。
アイスランドで発売された本書ですが、すでにヨーロッパ各国を中心に翻訳版が発売中。なかでも欧州最多発行部数を誇るドイツの週刊誌「Spiegel」のベストセラーリストでは本書が3週連続ランクインの第3位。前作『闇という名の娘』はなんと10週連続ランクインで現在第2位の快進撃!(7月31日現在)
映像化も待たれる本シリーズ、アイスランドの美しい景色を思いつつ、楽しんでいただけたらと思います。
──『喪われた少女』担当者より