『六人の噓つきな大学生』浅倉秋成/著▷「2022年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR
これぞ究極の体験型読書!
「私の固定観念をぶんなぐるような物語、読ませてほしいです」
これは『六人の嘘つきな大学生』の企画を始める際に、著者の浅倉秋成さんに私がお願いしたことです。2019年に刊行された『教室が、ひとりになるまで』が、ミステリ界で話題となった浅倉さん。『教室~』は異能力が出てくる特殊設定ミステリであり、“伏線の狙撃手”という異名も知られるようになったため、「次回作も伏線を張りめぐらせた特殊設定ミステリだろう」と思われていた方もいたと思います。ただ担当編集としては、浅倉さんの作品の魅力は「類まれなる伏線回収」である以上に、「優れた青春小説の書き手」である部分だと感じています。
そのため浅倉さんに新作に関してお願いをしたことは、「(モラトリアムの終わりとしての)就活」「密室の会話劇」、そして最初に書いた「読者の固定観念をぶち壊してほしい」という盛り上がりに欠けそうな3つのお題でした。(伏線のふの字もない)このぼんやりした無茶ぶりを、浅倉さんが一つの物語に紡いでくださったのが本作『六人の嘘つきな大学生』です。
急成長中のIT企業の採用選考に残った、六人の優秀な大学生たち。内定者に相応しい者を決める議論が進む中、彼らの過去の悪事を暴く封筒が発見され――という、最終選考の様子を描いているのが前半。後半は選考から8年後に時間が飛び、内定者の視点から物語が紡がれます。(前半部分は弊社サイトで試し読みができますので、是非、こちらをチェックしてください!)
細かく内容をお話ししたい気持ちはあるのですが、本書は先入観を持たずに読んでいただいてこそ楽しい作品なので、これ以上語ることはやめたいと思います。ただ、あなたの固定観念をぶん殴る究極の読書体験ができること、大人も子どもも楽しめる最高の青春小説であることを、保証いたします。
ありがたいことに、刊行直後にテレビ番組でご紹介をいただいてから版を重ね続け、文学賞の候補や各種ミステリランキングにも入り、昨年末には「『王様のブランチ』BOOK大賞2021」受賞など多くの反響を頂きました。そしてこの度の「本屋大賞」ノミネートという報を聞き、「本当にたくさんの方に届いているのだな」と改めて実感しています。読み終えた後、誰かに語りたくなる作品になっていると思いますので、身近な方と一緒にこの体験型読書をお楽しみください!
──KADOKAWA 角川文庫編集部 今井理紗
2022年本屋大賞ノミネート
『六人の噓つきな大学生』
著/浅倉秋成
KADOKAWA
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