『星を編む』凪良ゆう/著▷「2024年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

『星を編む』凪良ゆう/著▷「2024年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

一番星、再び!


 凪良さんが『汝、星のごとく』で昨年の本屋大賞を受賞されたことは、皆さんの記憶にも新しいことと思います。久しぶりに従来の形での授賞式が開催され、書店員の皆さんとPOPに囲まれながら写真を撮る凪良さんは、本当に嬉しそうな表情をされていました。緊急事態宣言の発令と重なり十全に寿げなかった初受賞時の、まさに「リベンジ」ともいうべき素晴らしいセレモニーでした。

 フィクションなら大団円で終わっていたのかもしれませんが、凪良さんはさらに素晴らしい続きを見せてくれました。それが今回の『星を編む』です。

 私が河北編集長と一緒に凪良さんの担当をさせていただくことになったのは、2022年の暮れ──『汝』が刊行されて少し経った頃です。この頃からすでに『星を編む』の企画は進んでおり、第1編「春に翔ぶ」は雑誌に掲載されていました。

「ただでさえ素晴らしいのに、この続きも読ませてもらえるんだ」と、完全に読者気分で喜んでいたのを覚えています。

 果たして読んでみると、最終編の「波を渡る」というタイトルにふさわしい海のような広がりを感じる作品でした。読者の皆さんにも、「この2作で初めて、『汝、星のごとく』で『星を編む』なんだ」と思っていただけるでしょう。

 私と河北さんとスタッフのYさんで、『星を編む』の宣伝物を考えていると、Yさんが「油断すると、キャッチコピーに『愛』っていっぱい入れたくなっちゃうんですよね」とポツリ。大きくうなずいてしまいました。

 作品の魅力は決してそれだけではないのですが、たくさん言ってしまいたくなるくらい、愛と名づけてしまいたいくらい、読むと心がじんわりと温かくなるのです。

 

 長き本屋大賞の歴史において、受賞作の続編が2年連続でノミネートすることは史上初の快挙だそうです。これは、凪良さんが読者と書店員の皆さんに愛され続けている何よりの証だと思います。

 また愛の話ばっかりになってきました。この作品が再び、みなさんの一番星になりますように。

『星を編む』写真
「2冊をクリスマスプレゼントに」という企画で作った包装紙&名言を誂えたメッセージカード。上品な質感が装幀にも合います。

──講談社 文芸第二出版部 伊藤蓮矢


2024年本屋大賞ノミネート

星を編む

『星を編む』
著/凪良ゆう
講談社
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