上流階級 富久丸百貨店外商部

老舗百貨店の外商員として男社会のなかで奮闘する高卒、中途採用、バツイチ、アラフォーの鮫島静緒。顧客は芦屋のセレブたち。ベールに包まれた外商の仕事を描く。

『上流階級4』冒頭ためし読み
第一章 外商員、部下を持つ 「おめでとう、ついに年商三億行きましたね」 帰宅したら、ナパバレーと顔のいい年下の恋人ではない男がソファに寝っ転がって鮫島静緒を待っていた。「なにしてんの?」「なにって、お祝いですよ。今日は代休だし水曜だし、百貨店の人間は朝から店じまいがすり込まれてるんです。働いてるのはあなたくらい」「……
◎編集者コラム◎ 『上流階級 富久丸百貨店外商部Ⅲ』高殿 円
 百貨店の外商部って、ふだん私たちはなかなかお付き合いありませんよね。私は一度、某有名作家のご自宅に伺っているときに、某有名百貨店の外商部員二人が、キラキラのアクセサリーが詰まった箱を開けて、作家の奥様に、「これは限定10点もののネックレスで、奥様には絶対お似合いですよ」と満面の笑顔で勧め、奥様が「そうなのね。で、おいくらかしら?」とお聞きになると、「はい、300万でございます。いつもご贔屓いただいているので、精一杯勉強させていただきます」というやりとりを聞いて卒倒しましたが、さらに、私が座っていたカーペットは2000万で外商さんから購入されたと聞いて、汚したらたいへん!と、思わずカーペットからとびのいて、床に避難した記憶があるくらいです。