今村昌弘

「推してけ! 推してけ!」第12回 ◆『アルテミスの涙』(下村敦史・著)
評者・今村昌弘(作家)この病室で、何かが起きた。それが最大の問題だった。 書評は、毎度のようにジレンマに陥る仕事だ。できることなら何も知らぬまま本を手にとってほしいと願いつつ、多少の内容を明かさないことには魅力が伝わらない。この物語はある私立病院に勤める産婦人科医、真理亜の視点で幕を開ける。ある夜当直についていた真理亜
今村昌弘さん『魔眼の匣の殺人』
──年末恒例の各ランキングで首位を独占、さらに本屋大賞でも三位になるなど、『屍人荘の殺人』は新人のデビュー作としては異例のベストセラーになりました。今村さんご自身も、あれほどの反響は予想しておられなか
omoide
 毎年インフルエンザが流行する時期になると両親から、ワクチンは受けたのか、と尋ねられます。というのも、僕はとても体の弱い幼児期を過ごしたのです。別に先天的な疾患を持っていたわけではなく、ただただ病気が
今村さん
──『屍人荘の殺人』は、新人賞受賞作としては珍しいほどの反響を呼びました。おもしろかったのが、本文の九十三ページで明らかになる「仕掛け」について、誰もが気を遣って、ネタばらしをしないようにSNSなどで