穂村弘
現代短歌界をリードしてきた穂村弘さんが、「ふと思い出して嬉しくなったり、たまたま目に飛び込んできて『いいな』と思った」短歌百首を詰め込んだアンソロジー、『短歌のガチャポン』(小学館)が刊行されました。年齢もプロフィールも多様な百人の詠み手が三十一文字に込めた世界のきらめき。文字通り「ガチャポン」的なわくわく感が味わえ
何もかもが心を迂回していくようだった。言葉はすべて本心を避けて通った。 なけなしの社会性はとうに擦り切れ、もう何の気力も残っていないというのに、立ち止まる術が無い。 夕暮れが懲りもせず私を急き立てる。靴の埃を払う事さえ出来ないような日々に、幾度となく自分を恥じた。やがて冬が訪れても、豪雪ののち翳りの中にいつまでも溶け
書店員になり、新刊を出したりフェアを考えたりする仕事だけではなく、作品のおすすめなど文章を提出する仕事も増えた。学生時代から国語の授業は得意だったし、話すことも大好きだったが読書感想文や日記など、頭にぐるぐるとたくさん浮かんでいることを文章として構築することが苦手であることにいつしか気づいた。そのため詩や短歌など、文
それはもう限界超えたマイケル踊り 朝、ハイヒールの会社員らしい女性が、駅の通路にしゃがみ込んでいた。体調が悪いのかと思って、どきっとする。でも、違った。彼女はガチャポンを見つめていたのだ。硬貨を入れてハンドルを回すとカプセルがポンと出てくる、あれである。急に親近感が湧く。大人なのに、通勤の途中だろうに、そんなに本気のエ
2003年に初版が刊行された、人気歌人・穂村弘のベスト版歌集『ラインマーカーズ』が遂に!というか、待望の!というか、満を持して!というか、文庫化されました。
穂村弘さんの文庫は、小学館文庫だけでも4冊の既刊があり、そのすべてに重版がかかっています。この『ラインマーカーズ』の文庫化を待っていたファンの方も多いのではない