吉良信吾『沈黙と爆弾』

警察小説と家族小説を融合させました!
2025年5月初旬のこと。見慣れない番号から携帯に着信がありました。電話を取ると、小学館ですが、と言われ、すぐに私の応募作が第4回警察小説新人賞の最終候補に残ったのだと理解しました。
その男性はとても丁寧に、最終選考の日時や選考結果の連絡などについて説明してくださいました。すべての話が終わった後、何か聞きたいことなどありますか? と就活の逆質問みたいなものがあったので、
「私にできることは、あとは神に祈るくらいですかね?」
そう尋ねると、その方はくすりと笑って、そうですね、と答えました。
神にひたすら祈りを捧げていた甲斐があったかどうかはわかりませんが、無事に受賞が決まり、『沈黙と爆弾』(応募時タイトル「それぞれの正義」)でデビューすることになりました。
ちなみにですが、最終選考に残った時、そして受賞した時に連絡をしてくださった方が、私の担当編集さんだったりします。
さて、本作は熊本県警本部監察課の阿玉清治が、課に配属されたばかりの船場新太を新人教育しながら、爆発事件に巻き込まれた不良刑事の非違事案を追う話になっています。警察の威信に傷がつかない無難な着地が求められている中、熊本地震の時のあることがきっかけで失声症になってしまった息子が動物殺しの容疑までかけられてしまい、阿玉は非違事案調査と家族問題の板挟みになってしまうのですが──
この小説はとある思いつきから生まれました。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、最初に思いついたのは、エピローグで阿玉が星を見上げて語る場面のあのアイデアです。それだけが先に浮かび、じゃあその場面を最大限活かすためにはどういった話にすればいいだろうか? と考えて物語を構築していきました。この小説が生まれるきっかけが何だったのか、実際に本を読んで確かめてもらえたら嬉しいです。
今回、ブックデザインは鈴木成一デザイン室さん、装画は大野博美さんが担当してくださいました。ど派手な柿色の表紙は、書店で目立つこと間違いなし! そこには登場人物たちのイラストがちりばめてあるのですが、最初に見せてもらった時、みんなの顔や佇まいが私の頭の中で思い描いていた通りですごく驚きました。とても素敵な本に仕上げてくださったみなさんには、心より感謝しております。
普段、警察小説やミステリーを読まない方でも、夢中になれる一冊になっていると思います。熱い漢たちの生き様をお楽しみください。
吉良信吾(きら・しんご)
1977年沖縄県生まれ、熊本県在住。本作『沈黙と爆弾』(応募時タイトル「それぞれの正義」)で第4回警察小説新人賞を受賞し、デビュー。


