ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記 ☆2026年1月後半★

ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記2026年1月後半

 1月14日 

 
 文化放送。いとうあさこさんに『情熱大陸』見ましたよって伝えたら「いやーもうー葉加瀬太郎さんの音楽がいいからねえ」と言っていた。何回もこの会話をさせてしまってるであろうことは反省。

 
 武田砂鉄さんも西村志野さんも指定校推薦で大学に入ったらしい。なぜか最近はこの話題が多い。指定校推薦の過去がある人の多くが自分が指定校推薦だったことに負い目を感じている。指定校推薦の十字架は中年になっても降ろせない。私は一般の方式で入学した人間だが、自分のアイデンティティの中に「一般受験」はない。「私、一般受験だからさ……」と優越を感じたことも、敗北を感じたこともなく、指定校推薦の人たちに特別な思いはない。綿矢りささんの『激しく煌めく短い命』のなかに、「偏見ってさ、他人の中やなくて自分の中にあるんよね。大人になってから気づいた」という記述があったことを思い出した。許されざる者という顔ををされても、なんの罪でもないので、他の入試方式の人々は対応できない。指定校推薦の話をするのは、指定校推薦だった人だけだ。指定校推薦の人たちの中に、指定校推薦に対する偏見があるだけなのだ。ぜひ指定校推薦の人たちで集まって、エッセイアンソロジーでも出してほしい。指定校推薦の人が読むだろう。

 
 ラジオ局のビルのデニーズで対談の質問案を提出し、カラオケで仮眠を取ろうとしたけどaikoをしっかり歌ってしまい、病院と薬局に行き、青学の食堂で12月の日記の加筆修正作業を進め、夜は別の大学に移動して社会人向けの講座を受けた。忙しすぎない時期にこゆこと始めないとね。やりたい人はね。そのあと約束の丘行って日記の続きやってモカジャバ飲んで、終電逃したのに充電切れ始めて諦めて帰宅。風呂には入れた。明日は朝からうまく行くはず。

 1月15日 

 
 夜は焼肉。元AKB48の内田眞由美さんが経営している焼肉屋さん「IWA」に行きたいねって工場さんと話してるんですよーって11月の代官山UNIT楽屋で竹中夏海さんとYUHEIさんに伝えたら二人ともなぜかその店についての知識を持っていて、さらにYUHEIは大学生の頃「焼肉小倉優子」に何度も通っていた経験者だというので、4人で行こうって話になった。竹中さんがお子さんを連れてくることになって、口々に「自分追いかけっこする体力あります」「私は背負ったりできます」「難関対策やれます」と得意分野を発表しあって、集合した。店内の液晶では内田さん在籍時の映像ではなく最近のAKBの映像が流されていて、優しい人だなあって思った。

 1月16日 

 
 日仏学院でクロード・シャブロルの特集上映。文筆家の五所純子さんが『女鹿』の上映後トークに登壇するので見逃せない。「観直して気づいたんですが、この映画、午後にしか撮影していない気がします。確信しました。」と自己紹介を待たずに語りは始まった。疲労や倦怠感を印象する斜光に包まれた〝イヴニングの映画〟であること、そして〝イヴニング〟は現実をお知らせしながらじりじりと逃げ場がなくなる時間帯で、秘密を隠すのと秘密を暴露するのが同時に起きるのが夜なのだと、すらすらと鋭利な批評が続いた。主要人物の二人がおんなじメイクをしている『女鹿』は支配と模倣の映画で、支配と被支配の関係がある中で、被支配者が支配者のブルジョワスタイルを模倣することで上昇しようとしている。この映画では階級社会の中においてまだカードゲームのような遊戯性、階級を盗めるかもしれない享楽性があり、入れ替わることができるかもしれない、変身ができると信じる希望がまだある。ブルジョワ階級とは新興勢力であってやんごとなき人たちとは違うもので、スタートアップ企業の社長が赤坂で寿司を食うように、支配者のお決まり事を模倣するのがブルジョワジーであり、その空虚さや退屈がブルジョワジーそのもの。というような話だった。あと、この映画の演技についてはとにかく登場人物が「ゆっくり歩いて、ぼんやり話す」と何度も表現していた。アフタートークって直前に全員で観てるから細部の指摘にみんながついていけるのが良い。作品のコアを摑んで語るってこういうことだよな、私ももっと頑張ってみようと決意した。

 集まっていた人たちで打ち上げ。明日のチケットは完売だったから五所さんのトーク行けないんですよーと言うと「カラオケだけでも来てよー」と日仏学院の坂本安美さんに言われた。アビさんに誘われたら行く。ていうかカラオケに誘われたら行く。一緒に打ち上げにいた友人から終電をギリギリ逃したと連絡が来て、私はまもなく終電に乗ろうとしてたけど、なんか楽しくなって、新宿の喫茶店で朝まで喋ることにした。映画の話だけで4時間が過ぎていた。情熱的な映画人だった。静かにしてくださいと言われた。

 1月17日 

 
 文化人カラオケ、それだけが僕の、All My Treasures。11人いる。坂本安美さんの歌った『六本木心中』を忘れない。私はglobe『FACE』を歌ったら今日の自分の肉体にすべての歌詞が沁みてきて泣きそうになった。情けないようで、たくましくもある。五所さんが最後に歌ったのは和田アキ子。

 1月20日 

 
 朝の試写会に行き損ねた。三菱一号館美術館でアールデコとモード展。キスリングとレンピッカが好き。外が寒すぎる。パナソニック汐留美術館でユートピア展。よくわからなかった。駅で立ち食いしたビアードパパが美味しかった。児玉雨子さんと合流し、TOHOシネマズ日本橋で英国ロイヤル・バレエ『リーズの結婚』。上演前にも幕間にも解説やバックステージ取材映像が入った親切設計。地元を離れる直前の春、TOHOシネマズ岡南に「不思議の国のアリス」のバレエを観に行ったの懐かしい。タイ料理屋であれこれと話したあと、さらに移動して深夜までカフェで話した。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をナチュラルに「プロ倫」と略されて、普通にメロついた。

 1月23日 

 
 自分の今と今年と来年について悩みながら『ダンス・ダンス・ダンスール』の6〜8巻を読んでいると、早くもっと頑張らないとやばいって焦るのも、焦るばかりではいけないのもそりゃそうだよなと思える。挫折しない人が天才なのかな。そんなキャッチーなことを言ったら誰かに簡単にグッと来られてしまうから言葉に気をつけなさい。ジョージ朝倉作品の見どころの一つ、才能のある主人公(純平)に対して白くない気持ちを抱えるキャラクター(兵太)のエピソード回が来た。『溺れるナイフ』で言うところのカナ、『ハッピーエンド』ならマリエ。兵太がいじめていたヌッくんへの屈折した感情による行動が痛い。輝いてゆく純平に寂しさを感じる兵太が切なくて泣いてしまう。

 まどマギの映画の公開延期の告知が流れてくる。延期はとても勇気のいる決断で苦しいよね、と感情移入して、自分の中のまだ誰にも発表していない計画を現実的に延期する決心がついた。まどマギありがとう。

 カウントダウンライブは去年みたいなものだったので今年初のライブ。初めての渋谷WOMBでハレトキドキと『トロピカル・ノープラン』『かけがえながり』歌いました。俺もこの夏ノープラン。冷めちゃいけないのはミスドのエビグラタンパイ。ハレトキのボーカルのみさつん、とにかく私服の趣味が近すぎて滅。

 1月24日 

 
 執筆のために図書館に来たけど、図書館に来たから数時間は読書に費やしてしまう。大きなソファの右端でおじいさんが座ったまま口を開けて寝ていて、左端でおじさんが同じ格好で寝ていた。私が読んでるのは図書館資料ですらなくまた『ダンスール』。自分に悔しさを与えることのできるたったひとりの存在であるライバル。そう信じていた相手を久しぶりに見た時につまらなくなっていたときの怒りが描かれていて目頭が熱くなった。目頭が熱くなるって涙が出ることの言い換えくらいに思ってたけど、目の潤みや涙の流れ方には種類があって、今日はぴったりと、目頭が熱くなる体験をした。

 14時になったらさすがにやるべきことをやるんだって決意して、中学時代からこの決意を繰り返してきたなと気づいた。そういう時間にみづゑを読み、装苑を知り、hon-ninで笑い、キネマ旬報に学び、papyrusの巻頭インタビューを読み、FRaUにフェミニズムを教わり、ユリイカで興味を広げ、東京人に辿り着き、私は大人になったのだ。さっきと同じソファの前を通りかかると両端で別のおじさんが寝ていた。

 
 やれば終わる連絡や書類や手続きの作業をまとめて終わらせるために友人宅へ。人がいてくれたらすぐに寝転ばないで済む。18時から過集中して終電を逃すほどに仕事をしまくってしまった。全部できそうな夜そこを逃すな絶対。お互いを褒め合って高め合えばよいのに、すごいじゃんと言われても「いえマイナスをゼロにしてるだけなので何もすごくありません」とか言ってる。一緒に東京事変を歌う。

 深夜2時半に契約書に署名と捺印をしまくって気づいた。これまでずっと、私の生活時間の中には契約書記入のための時間帯は用意されていなかった! 朝も昼も夕方も夜も、他にもっとやりたいこともやるべき仕事もあって、だから書類記入なんて真夜中、つまり夢の中でしかやれないんだ。寝言のように個人情報を書き続けた。返信用封筒って本当にありがたい存在。

 
 私たちの理想はいつでも高くてよく、そこに向けて少しずつよくなっていく。

 1月27日 

 
 幸せな撮影をした! 誰にも頼まれていなかったDIVA活動だったのに、今は同じイメージを共有して膨らませてくれて共に輝いて共に進んでいける技術者たちがいて、本当にこんな状況は恵まれていて奇跡だと感じる。それでも本当はずっと着実だった。私のプロジェクトのために才能や技術や時間を尽くしてくれる人がいるのは、自分なりにやってきたひとつひとつの成果でもあるのだ。胸張って突き進んでよし。これが私の人生の成果。

 
 夜、久しぶりにテレビを見たら、IKKOさんがいつもとっても良い匂いなのでその匂いを料理番組のような体裁で再現して、さらにIKKOさんの長年の親友である相田翔子さんに嗅がせたら「IKKOさんの香りだ」って正解していた。もっとテレビ見た方がいい気がした。

 1月28日 

 
 ラジオのおたよりテーマが部活だったので「女バスの口癖は〝次行こ次〟、女バレ仕草といえば自分の両頰を叩いて〝集中ー!〟なんですよ」と言えてよかった。私は吹奏楽部だったのに、女バレの同級生と仲が良かったから、女バレの友達と一緒にいない時でさえ、女バレの先輩を見かけたら挨拶していた。女バレの先輩は怖かった。てかなんかこの前地元帰ったときファミマの前に女バレの先輩いて、隣にたぶん元野球部の先輩いて、この二人はあの放課後からずっとファミマの前にいたのではないかと思った。

 ついにEE JUMPとソニンの楽曲がサブスク解禁された。『カレーライスの女』然り『津軽海峡の女』然り、ソニンソロの詞世界は基本的に『レ・ミゼラブル』の『夢やぶれて』の日本語訳のバリエーションみたいなものだと解釈している。

 1月29日 

 
 上映情報だけは出来るだけ漏らさずチェックしているけど、Strangerに行くのはよく考えたら1年以上ぶりで、山崎まどかさんと映画に行くのもそれぶり。ロバート・アルトマン監督とアラン・ルドルフ監督の特集上映をやっていて、アルトマンの『わが心のジミー・ディーン』を観た。どちらの監督も名前すら知らなくて、特集で知って、1本だけ来れた。かつて俳優ジェームズ・ディーンのファンクラブを結成していたメンバーたちがテキサスの小さな雑貨店で再会する、みたいなあらすじが書いてあったから、ゼメキスのビートルズファン映画『抱きしめたい』(観てない)みたいなノリのガールズムービーを想像していたが、その予想は裏切られまくった。演劇の映画化で、舞台は雑貨店ひとつなのだが、そこに過去も現在も妄想も現実も入り混じってゆき、時も心もどこまでも連れていかれる。主演のサンディ・デニスの、精神に少しずつひびが入っていくような、心のどこかが壊れてしまっていたのを観客に密かにじわじわ気づかれていくような演技が凄まじい。ただごとじゃなさ。観た後はすぐ近くのジョナサンに行って何時間も喋り続けた。U-NEXTのマイリストどんどん追加しちゃうけど全く消化できないですよねって話で共感し、まどかさんでもそうなのかと安心した。

 1月30日 

 
 BABY, THE STARS SHINE BRIGHTの財布を買った。ゴールド地に大きな赤いハートのワッペンがついていて、ブランドロゴが刻印されている。去年もブラウスを買ったし、ワンピースだってスカートだって本当には着れないものなんてないんだけど、どうしても肩幅と腕の長さ的に難しいものもあって、だからこそ、ロリータファッションやガーリーなブランドの小物を普段のファッションに取り入れたいっていうのがここ数年の気分。金色こんじきの財布って金稼ぎたそうすぎてやばいかなあ?とか一瞬よぎったけど、そもそもこの世には金色の財布を持てる人間と持てない人間がいて、せっかく持てる側の人間に生まれたのに、てめえが使わないで誰が使うんだよ!って思って、優勝した。

 1月31日 

 
 ルアンとの神戸卒業旅行1日目の夜。それぞれのベッドにだらしない姿勢で寝そべって、UAが名曲『微熱』を歌う動画を再生して二人で歌っていると、その動画は何度も見てたのに、UAが裸足じゃないことに初めて気づいた。私は歌うのをやめて立ち上がり、画面に近寄って確認した。あの真ん中で分けた黒髪のヘアスタイルで、黒くて短くてシンプルでワイルドなドレスワンピースで、渋い歌声で、まさか屋内のスタジオで靴を履いているとは。疑う余地もなく裸足の声がしていたから、度肝を抜かれた。DIVAのおかげで、私はまたひとつ自由になれた。

 友達とテレビでYouTubeを見続ける時間ってなんでこんなに楽しいんだろう。ライブ映像やMVを流し続けて。私はUAも青葉市子も椎名林檎もカネコアヤノも(言うまでもないが、Charaも)モノマネした。昔ライブでコラボした歌の歌詞とか踊りとかルアンちゃんは結構覚えててすごい。8年前に代官山晴れたら空に豆まいてで一緒に歌って踊ったSummer Rocketの『夏のトライアングル』が完璧だった。俺はもう歌い出しのとこしかできんわ。さまざまな動画のタームを乗り越えた先で、「ケイト・ブッシュの『嵐が丘』(恋のから騒ぎの最初に流れてたやつ)のMVの踊りがすごいんだよ知ってる?」とか言ってきて、MVを2バージョンとも見ながら振りコピして見せてくれた。カラオケが数時間目ですごいとこまで行ってしまう場合があるのと同じく、YouTubeも何時間も見ていくと、向こう側にいける。

(次回は4月9日に公開予定です)

 


ゆっきゅん
DIVA・作詞家 1995年岡山県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科比較芸術学専攻修了。2016年、ルアンとのサントラ系アヴァンポップユニット「電影と少年CQ」を結成。2021年よりセルフプロデュースでのソロ活動「DIVA Project」を本格始動。アーティストとして楽曲を発表するほか、作詞提供、コラムや映画評の執筆など活躍の幅を広げている。アルバムに『DIVA YOU』『生まれ変わらないあなたを』、最新EPは『OVER THE AURORA』。文化放送「武田砂鉄 ラジオマガジン」水曜後半レギュラー。
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