ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第117回
「作者体調不良のため休載」
を見かけることが多くなったが、
「休む」という判断は難しい。
いつものように原稿の催促がきているが、私は今、目が痙攣しており、悪いがそれどころではない。
自分で言っていてそれどころではない理由が弱すぎると思うが、正確に言うと片方の目の下瞼が痙攣している。これでも精いっぱい強くした方なのだ。
鏡を見ると下瞼が私にあるまじきリズム感でビートを刻み続けており、異常は明らかなのだが、それで仕事ができないかというと、そうでもない。
これが上瞼であれば、視界にビブラートが入る視覚聴覚コラボ開催により仕事どころではなく、私もタブラで参戦するところだが、下瞼となると「気になる」「何となく不快」以上のことがない。
そもそも私自身が社会にとって何となく不快な存在として40年やってきているため、この程度は私という不快を彩る「アクセサリー」とも言える。
ネットで調べると「眼瞼ミオキミア」という症状らしいのだが、対処法は基本的に「クソして寝ろ」であり、眼科からの「わざわざ来なくていい」という強いソルティメッセージを感じる。
「眼瞼ミオキミア」の原因は「ほとんどの場合ストレスと疲労」だそうだ。
むしろ原因がストレスと疲労ではない疾病を見つける方が困難であり、そのストレスと疲労ですらバラモスにすぎず、その後ろに「仕事」という名のゾーマがいることは誰でも知っていることだ。
何故「仕事をなくす」という特効薬を誰も開発しようとしないのか、大いなる利権の匂いを感じる。
日本は、他国がチルするために違法薬物に手を染める中、働くためにクスリを流通させていた過去がある過労国家だが、それでも一昔前に比べれば「体を壊してまで働くのはおかしい」という考えが広まってきている。
「体を鍛えるために車に轢かれるのはおかしい」と同レベルの気づきな気もするが、今でも「仕事」の優先順位を異常に高く設定してしまい、心身を壊す者が後を絶たないのが我が国である。
数日前、某人気連載作品が、作者の体調不良により休載を発表していた。
昔に比べて「作者の体調不良による休載」を見かけることが多くなった、と感じている人もいるかもしれない。