◎編集者コラム◎

『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』森見登美彦


『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』
小さくなった『ぐるぐる問答』を手にする登美彦氏


 対談集のタイトルに『ぐるぐる』とはこれ如何に。

 登美彦氏は本書「はじめに」において、このように述べている。

「ただ正直に、出たとこ勝負で喋るだけである。だから私はたいていの対談でぐるぐるしてしまう。それゆえに『ぐるぐる問答』である」

 すなわち、この『ぐるぐる』とは登美彦氏の対談相手への敬愛の念であったり、尊敬の心であったり、時には親愛の情(おともだちパンチ)だったりを、包み隠すことなく発露したことによって起こる感情と思索の渦を表している。と、担当編集者は考えている。

 本書には、登美彦氏がデビューして以来の15年間に行われてきた、数々の対談が収められている。収録した16名18本の対談には、それぞれの『ぐるぐる』が詰まっている。

 もちろん、その『ぐるぐる』っぷりも読みどころであるのだが、担当編集者として力強くオススメしたいのは、登美彦氏自身、あるいは対談相手自身による補足、振り返り、あるいは言い訳やセルフツッコミを満載している点にある。

 脚注にご注目いただきたい。対談中の発言に対し、テレビ番組の副音声の如く登美彦氏や対談相手のコメントが添えられている。今だから言えること、当時の発言に対する反省(?)まで……。かつてこれほどまでに本音に満ち満ちた対談集があっただろうか。いや、ない!

 もう一つの本書の推しは「こぐまのケーキ屋さん」著者であるカメントツ氏による描き下ろしカバー。さらに本文中の各所には、さまざまな表情の登美彦氏のカットもちりばめられているので、ぱらぱらめくって堪能していただきたい。

 何を隠そう、登美彦氏自身も「こぐまのケーキ屋さん」の愛読者なのだ。カバーイラスト描き下ろしのためにご対面をいただいたお二人は、その後の食事の場ですっかり意気投合。あまりの盛り上がりっぷりに、「突撃インタビュー」まで実現してしまったという次第である。こちらも本書のボーナストラックとして収録しているので、カメントツ氏の妄想上の登美彦氏と、実際の登美彦氏のギャップを楽しんでいただきたい。

 さいごに。登美彦氏によれば、氏の著書について、「大きなものと小さなものをそろえるのは紳士淑女のたしなみである」という。小さくはなったものの、内容はボリュームアップしてはちきれんばかりとなっている『ぐるぐる問答』、秋の夜長のお供としていただければ幸いである。

──『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』担当者より