◎編集者コラム◎ 『さよなら、田中さん』鈴木るりか

◎編集者コラム◎

『さよなら、田中さん』鈴木るりか


『さよなら、田中さん』写真
さよなら、田中さん』文庫化に向けて鈴木るりかさんから直筆メッセージをいただきました。

 面白い! 文章がキラキラしてる!

 文庫化に伴い、約6年ぶりに熟読して、その魅力の色あせないことに驚いた。

 鈴木るりかさんとの出会いは、彼女が小学5年生の時まで遡る。

 12歳の文学賞で小学4年、5年時に大賞を獲得した彼女に才能を感じた学年誌の担当者が

「もしかしたら才能があると思うけれど、私たちでは作家として育てることができないので、もしよろしかったらそちらで育ててみてくれませんか」。そういわれて初めて会ったのが小学5年の時。でも、中学受験もあるし進路が決まってからまた相談しましょうね。それがスタートだった。その後、小学6年時にも大賞を受賞。そして中学が決まり、再会。思えば当時小学6年の彼女に、とにかく思っていることをすべて話してみよう、と話しまくった。「入稿とは」「校了とは」「キャラクターを立てて」「連作短編集とは」……。おとなしい彼女は、うつむきがちに、でも一つ一つうなづいていた。ラッキーだったのは、私にも同じくらいの娘がいたこと。対応の仕方も苦労しなかったし、話をするときも、娘に対峙するときと同様、「子ども扱い」は全くしなかった。

 そして、その半年後に送られてきた原稿を読んで、鳥肌が立つほど衝撃を受けた。私が話したことをすべて吸収して、彼女のものにして、アウトプットされている! すごい才能だ、と思った。それが、本作品の2番目に置いた『花も実もある』。そこで初めて「行ける!」と思った。

 そこから、新たに新作を2作品書き下ろしてもらい、既作品は改稿してもらい、小説として読み応えのある一冊にまとめたのが、本作品。このデビュー作は話題を呼び、鈴木るりかさんは新聞の一面を飾ったり、ニュースの1コーナーで特集を組んでもらったり、様々な媒体でインタビューを受けて、取材していただいて、メディアにすれば180以上が取り上げてくれて、異例の12万部を超えるベストセラーとなった。

 何より彼女は当初から「書くことが楽しくて仕方ない」と言った。その気持ちをとにかく大切にして、最優先にして、「書き続けることの大切さ」を話し続けて、今も彼女は「書くことが大好きだ」と言う。そして自分の生活も大切にして、昨年20歳となった。現在も、サークル活動やバイトで多忙な大学生活をエンジョイしている。今年は大学3年生。就活も始めるというし、今後も彼女なりのペースで、書き続けてくれると思う。一番のファンでもある私は、これからの彼女の作品が、楽しみでしょうがない。

──『さよなら、田中さん』担当者より

さよなら、田中さん
『さよなら、田中さん』
鈴木るりか
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