【鈴木るりか、大学生になります!】初の書き下ろし長編『落花流水』が刊行! 現役受験生作家が描く、同世代主人公のリアルな孤独や希望、友情や恋――等身大の青春がここに!

2022年2月4日に、中学2年でデビューし活躍を続ける作家・鈴木るりかさんの新作長編『落花流水』が発売に。現役受験生として感じた、勉強と執筆の両立の難しさや、これから始まる大学生活への希望、書いてみたい作品の構想など、さまざまな質問に答えていただきました。

「とにかくやってみよう」という意欲が長編執筆のきっかけに

――現役受験生としての生活と、執筆活動を同時に進めるのは、大変なことも多かったのではないでしょうか。

鈴木るりかさん(以下、鈴木):そうですね。高校3年の4月から少しずつ書き始めて、夏休みに一気に集中して書き上げて。それからいったん中断して、秋からは受験勉強に集中していたんです。推薦受験の準備をしつつ、一般試験の勉強もしていたので、秋はけっこう大変なことが多かったですね。

――(受験勉強と執筆を)両立するのは難しい部分もあったでしょうね。

鈴木:はい、自分で受験に集中する時期を決めて、その時は受験勉強、小説を書く時は書く、と区切りをつけてはいました。
新作を2月に発売することは、仮に決めてあったんですけど、もし12月の推薦受験の結果がだめだった場合は、一般受験の期間が2月までずっと続くことになるので、新作の発売予定にも影響してしまう、というプレッシャーがありました。そのあと無事に推薦試験の合格をいただいたので、こうして新作を発表することができて、本当に良かったと思っています。

――おめでとうございます。現役受験生だったからこそ書けた、といえる部分はどんなところですか。

鈴木:デビュー作の『さよなら田中さん』を始め、今までの作品では、自分より年下の人物や、年上の主人公を描いてきたので、同い年の人物を主人公にしたのは初めての試みで。今まで以上に、自分の気持ちや感じていることが、主人公の水咲に投影されているな、と思っています。例えば、作中で出てくる受験の孤独感とか将来に対する不安。そういう気持ちは、私が実際に生活の中で考えていたことです。

孤独は嫌いじゃなかったが、孤独にもいろいろある。受験で感じる孤独は、嫌な孤独だった。深夜、机に向かってるときもひとり、試験会場で戦うときもひとり。

――受験生という期間を振り返ってみるといかがでしたか。

鈴木:受験生だったからこそ、いまのリアルな気持ちとか、受験生じゃないと感じられない思いが多くあったと思うので、現役受験生だからこの小説が書けたんだな、と思っています。

『落花流水』に込められた思いと長編への挑戦

――書きたい、という意欲は、どんな風に湧いてくるのですか。

鈴木:執筆の依頼を受けてから、何をどうやって書こうか、と具体的に考え出しますが、小説にするものはいつも意識して生活しています。それで依頼があったら、書き始めます。何もなければ、自発的には書かないです。初めて書いた小説も、文学賞に応募するために書いたので、そういうところはずっと変わっていないんだと思います。

――そうなんですね。これから書きたいことはどんなことですか。

鈴木:さまざまな依頼に応えられるように、書きたい事のストックは溜めているんです。注文条件を満たしたうえで、さらに良いものに仕上げていくにはどうしたら良いのか、ということをよく考えていますね。今回も、最初は担当編集者の方に、「受験があるから小説は無理かもしれないけど、エッセイなら書いてみてもいいんじゃないかな」、と言われて書き始めたのですが、書いていくうちに、エッセイにするよりも小説にしたほうが面白いんじゃないかと思い始めてきて……、試しに書いていってみると、面白くなる感覚があったので、長編小説に変更しました。

――なるほど。今までの著作と比較して違ったところは具体的に言うといかがですか。

鈴木:私は、短編と長編では、書くことに対しての思いや書き方が変わるので、すごく難しいと思っていて。よく短編のほうが難しいと言われますが、私は長編のほうが難しいと感じました。とは言え、私が書いたのは長編といっても(原稿用紙)300枚くらいなので長編にしては短いですし……、上下巻にわけて、などして書く人は本当に大変だなと思いました。

今の鈴木るりかだからこそ書けたリアルな描写

――高校3年生ならではの等身大の登場人物の姿がいきいきと描かれていますが、実際に、るりかさんの学生生活とリンクする部分がありますか。

鈴木:私立の女子高に通う私と公立の共学校に通う主人公とでは、置かれた環境は全然違うのですが、勉強しなくちゃいけないと思っているのにやる気がでないとか、そういったところは似ている。もし私が、地方の共学高校に行っていたら、こんな感じなんじゃないかなと思って想像をしながら書いていました。

――主人公・水咲のまっすぐな想いに心を打たれます。タイトルはどのような経緯でつけられたのでしょうか。

鈴木:漢字検定の勉強していたときに、「落花流水」という言葉を知って、すごく、言葉から浮かぶ情景が美しいなと思って。いつか小説を書く時に使ってみたいな、と思っていたんです。この、「落花流水」という言葉には、2つの意味があって、1つは男女の「相思相愛」という意味。そして2つ目が、「落ちぶれていくさま」、という意味があり、小説の中でどちらも絡ませて書くことができたので、良かったと思っています。

――今までと変わった雰囲気のタイトルなので、期待感も膨らみますよね。ところで、るりかさんの作品はいつも、前向きな読後感を与えて下さるのですが、それはどんなところに工夫をされているからでしょう。

鈴木:私自身が、読んでいるときに、いつも最後に希望があるような小説が好きなので、自分の作品も、最後に光があるような小説になるんだと思っています。誰か他の人を応援するような気持ちっていうのは、書きながらいつも根底にありますね。

――これから創作してみたい物語はありますか。

鈴木:今考えているのは、私が大学生になり、関わる人も広がっていくと思うので、大学生を主人公にして小説を書いてみたいですね。コロナ禍の大学生の生活を描いた作品を書いてみたいと思っています。

大学生活に向けて抱いている思い

――大学生になって、してみたいことなどはありますか。

鈴木:私が進学する学部は、政治、法律、人文などを学ぶことができるので、幅広い学問に触れることで、いずれ小説のヒントにしていくことができたらいいなと思います。
してみたいことは……、サークルに所属してみたいし、アルバイトもしてみたい。今は、特にコレ、というよりも、興味のあることをいろいろやってみたい、という気持ちです。

大学生活への希望と執筆を振り返ってみて思うこと

――先ほど伺った、サークル活動やアルバイトですが、具体的にはどんなことをしてみたいですか。

鈴木:サークルは、文学とは関係ないところがいいな。スポーツはあんまりやってきていないので、文化系にはなるのかもしれないです。アルバイトは、塾で国語を教える、などをしてみたい。自分にとっても勉強になるし、作品にも生きるかなと思うので。自分で経験したことを人に伝えていく、ということを続けていきたいです。

――大学生作家となり、一般部門になるというか、競争相手が多くなる環境になるかと思いますが、それについてはいかがでしょうか。

鈴木:今までも結構、読者の方にいただく感想で「始めは中学生として見ていたけど、次第に一般の作家としてみるようになりました」という声をいただいていたので、これから大人の作家になる、という思いには違いはないです。自分としても、本を読んでいる時に、読者としてこの話面白いな、というよりも、「この言葉いいな」「この文章きれいだな」など、作家としての読み方になってきたな、と自分でも思います。

――るりかさんの等身大の本音が、たくさんの共感を呼ぶストーリーとなっていますよね。

鈴木:はい、ぜひたくさんの方に、読んでいただけたらと思います。

――これから『落花流水』を読む読者の方へのメッセージをお願いします。

鈴木:『さよなら、田中さん』シリーズの続きを期待されていた方も多いと思うのですが、今回の初めての長編でも、ユーモアや笑いの部分は田中花実ちゃんのテイストを引き継いでいるので、変わらず楽しんで、面白く感じていただけたら嬉しいなと思います。また、同い年の主人公を初めて描いたので、私の等身大の思いが込められています。本音がいっぱい、詰まった作品なので、そこも楽しんでいただきたいです。

【鈴木るりか プロフィール】

2003年、東京都生まれ。小学4年、5年、6年時に3年連続で、小学館主催の『12歳の文学賞』大賞を受賞。2017年10月、14歳の誕生日に『さよなら、田中さん』でデビュー。10万部を超えるベストセラーに。韓国や台湾でも翻訳される。2018年、地方の中学を舞台にした2作目の連作短編集『14歳、明日の時間割』を刊行。2019年、『さよなら、田中さん』の続編となる『太陽はひとりぼっち』を刊行。近著は、2020年刊行の『私を月に連れてって』。そして、2022年2月4日、初の書き下ろし長編『落花流水』を刊行。

【落花流水 あらすじ】

現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春

 舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。
 ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった!
 その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。
 著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。

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初出:P+D MAGAZINE(2022/02/03)

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