ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第15回
いまや「エゴサーチャー」という
仕事になりつつある。
他人の不幸の話になると、ついつい筆が乗ってしまい、漫画家と全く関係ない話を半分ぐらいしてしまったが、私のもう一つの職業は「エゴサーチャー」だ。
エゴサーチャーとは、インターネットで自分の名前などを検索し、世の中の人間が自分を褒めたり貶めたりしているのを見て一喜一憂する仕事である。
私はこの仕事を1日68時間という確実に労基に反するレベルでやっている。
しかし、これを本業にしているのは私だけかもしれないが、副業ぐらいにしてしまっている作家は割と多いのではないだろうか。
そのぐらい最近は個人でSNSをやっている作家というのは珍しくないし、何だかんだで自分の評価は気になる物なのだ。
中にはそういった意見に左右されたくないので、SNSはおろかネットすら見ないという作家もいるが、誠に賢いと思う。なぜそんな聡い人が作家になってしまったのか不思議なぐらいだ。
ところで、読者側は何を求めて作家のSNSをフォローしているのだろうか。
おそらく大半が、作者に興味があるというより、作品が好きというきっかけでフォローしていると思う。
よって、キャラクターのイラストを描いてくれたり、作品の裏話的なものを聞けることを期待しているのではないだろうか。
しかし、作家全員がその期待通りということはない。
例えば私をフォローした場合、何が流れてくるかと言うと、何せ職業がエゴサーチャーなので「カレー沢」でエゴサーチして出て来たつぶやきの中から「褒めているもの」だけを選んで行われる「大量のリツイ―ト」である。まずこれが8割だ。
よって私のアカウントを「リツイート非表示」にすると、その時点でかなり無口になってしまう。
残りの2割は、ソシャゲのガチャのスクショ、他人のキャラが尊いという話、他人のキャラのイラスト、他人の猫などだ。
自分のキャラも描かないこともないが、圧倒的に他人のキャラの方が多い。