ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第17回
「老後までに2000万」問題を考えてみた。
「老後までに2000万」というホットワードが出て久しいが、みなさんは何か策を講じているだろうか。
大別すると以下の3タイプに分かれるのではないだろうか
① 2000万貯めるために貯蓄を始めている
② 貯めなければと焦っているが今の生活で手いっぱいで何も出来ていない
③ ハナから無理なので逆に穏やかな気持ちで何もやっていない
④ とりあえずスイスで安楽死をする費用を貯めることにした
3タイプと言いながら、すでに4つ出ている。ちなみに私は④寄りの③だ。
フリーランス、特にクリエイター関係の人間の生活というのは常に「こんな感じ」なのである。
「こんな感じ」というのは「この学園には7不思議がある」と言いながら、3個しか出なかったり、逆に36個出たりする。
そもそも最初から「この学園には、7、8…約10個の不思議がある」と、指針からして定まっていないことが多いのだ。
事務仕事なら「この書類を1時間で終わらせる」という計画を立てて実行することもできるだろう。
しかしクリエイターが「1時間で未だかつてない斬新なアイディアを出す」と計画を立てても、ほぼ無意味なのである。
だが、こういう「計画通りに行かないのが当たり前」「答えがない」世界があるおかげで、ルールと秩序を重んじる「社会」で生きていけなかった人間が、餓死せずに済んでいるのだ。
学園7不思議をきっちり7個出さなければいけない世界しかなかったら、今頃私は餓死して怨霊となり8不思議目になっている、死んでも秩序を乱す存在なのだ。
よって、このコラムで、漫画家やライターの仕事の辛さについていろいろ書くことはあるが、それは辛いことを除くと、書くことがなくなるからであって、実はそこまで苦ではない。
「苦ではない」というのは、秩序のある業界でルールに沿って仕事をするより、苦ではない、という意味だ。
特に文系科目が得意というわけではないが、理系科目が壊滅的なため「文系です」と答るのと同じである。