ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第2回
このように「次」とは言われるが、本当に次があるかどうかは確定ではない。
人気作家なら出版社も終わってすぐ次の作品を描かせたがるだろうが、何せ打ち切りで終わった作家なので、ほぼ1からのスタートだ。
むしろ一回「打ち切り作家」になっているので、ド新人より不利と言っても良い。
また同じ打ち切りでも、作風によってさらに、有利、不利がある。
私のような、そもそもページ数が少ないギャグ作家はまず単行本が出るまで1年かかるため少なくとも「連載1周年」まで行けてしまうので、あまり「打ち切り感」がしない。
また大してストーリー性がある漫画を描いていないので「あと1回で終われ」と言われてもとりあえず出版社を爆破しておけば「オチ」がついてしまうのである。
むしろギャグ漫画の場合「打ち切り」もギャグにできるから良いのだ。
しかしストーリー性のある週刊少年漫画の場合、人気があれば10年以上の連載は当たり前なので、初回から地球を包めるレベルの大風呂敷を広げることになる。
そんな、風呂敷をあと1回で畳めと言われても当然無理であり、とりあえず丸めて「団子」にでもするしかない。
その結果、読者も納得できないが、作者はもっと納得してないことがわかる「THE打ち切り漫画」が爆誕し「【これはヒドイ】打ち切り漫画10選」というクソまとめ動画にされて、打ち切られた上に、他人のアフィリエイト収入のネタにされるという有様なのだ。
よほどの天才でなければ、それなりの猶予がなければ大風呂敷を畳むことはできない、「伝説のクソ漫画」が生まれてしまうのは、まとめる猶予を与えない雑誌のシステムにも問題があるのだ。
だが「よほどの天才」であればそもそも打ち切られることはない、という意見もある。
つまり「よほどの天才じゃない」我々が全部悪いのだ。