ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第35回
コロナの影響で進んだ、
漫画業界のリモート化。
アシスタントとはどう接するのか?
漫画業界のリモート化。
アシスタントとはどう接するのか?
しかし、アシスタントを雇う場合、重要なのは指示出しである。
1つの部屋で作業している場合はアシの「ヤバ…」という小声で異変に気付けるし、逐一進行をチェックできるがリモートではそうもいかないのでわかりやすい指示がより重要になってくる。
アシスタントへの指示の仕方は作家によって違うようだが、原稿に直接指示を書き込んで渡すというタイプが多いようだ。
よってまず「解読可能な字を書かなければいけない」ということになってしまう。
この時点で難易度が高い、アシには漫画技術の前に古文書解読スキルが必要になってしまう。
そしてデータの場合、わかりやすいデータでなければいけない。
デジタル作画の場合「人物」「背景」「ベタ」「トーン」「乳首トーン」のようにレイヤーを分け、わかりやすいように名前を付けたりフォルダ分けをしたりするのだが、当然私はそんなことしていない、乳首のレイヤーが行方不明になったら、探さないで「もう一個乳首レイヤーを作る」という足し算の発想なので、無限にレイヤーが増えていく。
よってアシスタントは「乳首レイヤーにハイライト入れて」と指示を出されても、どの乳首レイヤーかわからないし、「どれですか」と聞いても私も把握していないので、「どれでも良い」という返答をするしかなくなってしまう。
つまり、リモートで仕事場を構えるとしたら、まず「整理整頓」ができないといけない、ということである。
つまり私にはムリということだ。
今後もしばらく、1人で行方不明になった乳首レイヤーを探すことに時間をロスしながら仕事をしていくことになりそうだ。
(つづく)