ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第50回

ハクマン50回日本は「紙フェチ」国家だが、
コロナの影響でさいとうたかをプロまで
デジタル化するレベルである。

おそらくこれが2020年最後か2021年最初の記事になるはずなのだが今の時点では判然としていない。

WEB連載には年末進行がない代わりに「正月休みという概念」も消失している場合が多く、ただでさえ誰が読んでいるかわからない私の連載が1月1日という、おそらく最もネットに人がいない日に更新されたりする。

いかに人の目に触れるかが重要なWEB連載界において、逆に「どれだけ人に見つからないか」という独自の戦いをしているとしか思えない。

この休みの概念がなくなる現象は、コロナの影響で編集者まで在宅になったことにより加速したような気がする。
皆さまももうお気づきと思うが、リモートワークの普及は「出社しなくても良くなった」という易きに向かう文化ではなく、いつでもどこでも、桜木町でも路地裏の窓でも、仕事をしなくてはいけないという、ワンモアビジネスワンモアワーク状態になってしまったに過ぎない。

しかし、日本は「やっている」ことより「ヤッとる感」を重視してしまうところがある。
在宅勤務で獅子奮迅の働きを見せる社員よりも、電車で2時間かけて出社し、その間ずっとソシャゲの周回をしている社員の肩の方を「君はがんばっとるね」と社長が叩きがちなのである。
よってもしコロナがなかったら日本のリモートワークはもっと遅れていたと思う。

それに伴い業務のデジタル化も進んだ。
日本が世界に誇る性癖といえばNTRがあまりに有名だが、歴史としては「紙フェチ」の方が長い。
紙好きが高じるあまり、もはや他の先進国では歴史資料館に置かれているというファックスが未だに現役稼働しているという有様である。

その感覚のまま欧米で「ファックス」などと言ってしまったら「FUCKS」ととられ大変なことになる恐れがある。
ただでさえヤバい言葉なのに複数形となったら射殺されても文句は言えない。

 
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

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