ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第87回
漫画業界と漫画家を
終了にさせかねない制度が
施行されようとしている。
このように例外はいるが、漫画家には事務作業が苦手なものが多く、請求書を出すぐらいなら原稿料の方を諦めるという、本当に「金のために描いていない」リアル露伴先生もいる。
多分露伴先生も事務作業は苦手そうだから請求書提出が必要な原稿料は諦めている気がするし、国民健康保険だろう。
そのせいなのか多くの漫画出版社は作家に請求書を提出することを求めておらず、原稿を納品したら自動的に原稿料が振り込まれている場合が多い。
そうしなければ出版社の経理はパニックになり、作家は餓死し、違う意味で漫画がオワコンになってしまう。
しかし現在漫画業界と漫画家を終了にさせかねない制度が施行されようとしている。
それが「インボイス制度」だ。
ちょうどこれを書いている昨日、日本漫画家協会もこのインボイス制度に反対する旨を発表したところである。
インボイス制度とは、私もつい最近概要を勉強したという体たらくであり、解説すると間違ったことを書きそうなので詳細は控えるが、この制度が施行されると、漫画家含む個人事業主は「インボイス」という専用請求を出さなければならなくなる。
このインボイスを出せるのは年間売り上げ1000万円を越える課税事業主だけであり、仕事を発注する側も請求をインボイスでもらわなければそれを仕入れとして控除に入れることはできない。
よってインボイスを出せない、売り上げ1000万以下の事業主は仕事を発注してもらえなくなる、もしくは今まで払わなくてよかった税金を納めてまで課税事業主となりインボイスを発行しなければいけなくなる。
漫画出版社が「すげえ天才新人がいるけど、こいつインボイス出せないから描かせない」というなら、インボイス以前に漫画業界は終わってしまっているが、漫画家の仕事は出版社相手だけというわけではない。
最近はイラストやPR漫画など出版社以外からの小口依頼だってある、その仕事がなくなるだけでも痛い。
しかし、漫画家業界の理事を務めるような方達はどう考えてもインボイスが出せる課税事業主である。
森川ジョージ先生とかが年収1000万切っているような世界なら、国会より先に出版社を爆破するべきだ。