辻堂ゆめ「辻堂ホームズ子育て事件簿」第37回「どうしましょう、習い事」

辻堂ホームズ子育て事件簿
ついに4歳になった長女。
令和時代の習い事、
半信半疑で始めたら、目から鱗!?

 あ、そうそう。前段が長くなってしまったが、今回語りたかったテーマは、子どもの習い事どうしようかな、ということなのである(唐突に)。

 4歳というと、いろんな習い事が解禁される年齢だ。もちろん3歳以下から始められるものもいろいろあるのだけれど、私が調べた範囲だと、特にスポーツ系の習い事は、4歳を受け入れ下限年齢としている教室が多い。

 私のエッセイがネタ切れしないように絶えず気遣ってくださっている担当編集さんからも、ちょうど、以下のような質問をいただいた。


Q. 0歳や1歳から忙しく子どもを習い事に通わせている人も多いと聞きます。仕事をしていると送り迎えが難しいし、そんなに小さいうちからやらないとダメ? とやや億劫なのですが笑、辻堂家のお子さんは習い事、どうされていますか? もしくはどんなふうに考えられていますか?

 

A. 今になってこんなエッセイを書いていることからもお分かりのとおり、まだろくにさせてません……。

 0歳や1歳のときには、習い事をさせようとは考えもしなかった。友人にヨガインストラクターがいるので、ベビーヨガのレッスンは受けたことがあるけれど、あれは子どものためというより親の習い事だな、と感じた。当たり前のことだが、0歳や1歳の乳幼児はまだひとりでは何もできないのだから、講師の指示を聞いて主体的に動くのはあくまで保護者なのである。

 つまり、子どもを連れて習い事の教室に行き、他の親子と触れ合う思い出作りをしたいと「親自身が」願うなら、行けばいい。子どもとの思い出の作り方など他にいろいろあるのだから、別にお金を払ってまで教室に通う必要はないかなと「親自身が」考えるのなら、やめればいい。

 たぶん、その時期に週1回や月1回の習い事に行くか行かないかで、子どもの能力や人格はそう変わらない。変わるのは、子育て中の親の日常生活の充実度だ。習い事に行くことでそれが上がる人もいるし、下がる人もいる。私は……圧倒的に後者である。興味がないし、面倒臭い……。

 だから子どもが自発的に物事に取り組めるようになる年齢まで待った。それが今である。とりあえず、自宅では練習環境が用意できないスポーツ系の習い事は、外でやらせたい。どんなものに興味を持つかまだ分からないから、まずは通っている幼稚園の体操クラブにでも入れてみようかな、と夫婦で話している。それが合わなければ次の選択肢を考える。トライアンドエラーだ。


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辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)

1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー。2021年『十の輪をくぐる』で第42回吉川英治文学新人賞候補、2022年『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞を受賞した。他の著作に『コーイチは、高く飛んだ』『悪女の品格』『僕と彼女の左手』『卒業タイムリミット』『あの日の交換日記』『二重らせんのスイッチ』など多数。最新刊は『山ぎは少し明かりて』。

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