◎編集者コラム◎『真犯人』翔田寛
◎編集者コラム◎
『真犯人』翔田 寛
WOWOW「連続ドラマW」枠での映像化のタイミングで、翔田寛さんの『真犯人』が文庫化されました。
発売までの半年間、怒涛の日々のスタートは2月の撮影現場見学でした。
主演の上川隆也さんの白熱の演技をモニター越しに拝見し、すみずみまで作りこまれた(煙草のパッケージや新聞の記事、刑事たちの持つ手帳まで!)昭和のセットに感激し、スモークを焚いてわざと埃っぽさを出すという演出には感嘆。それまでは文字だけの世界だった物語が、多くの人の手によって立体化される工程の一部を見て、とても心を動かされました。
著書の映像化は初めてという翔田さんの目がとてもキラキラと輝いていて、それまでふわっとしていた「映像化」を、強く実感した日でもありました。
翔田さんに本文の推敲を重ねていただきながら、カバーや帯のデザインを進め……と、私たちがひとつひとつを積み重ねているのと並行して、WOWOWさんサイドでは、ドラマの情報が少しずつ解禁されていきました。このドラマの主演が上川さんであることがまず発表され、少しずつキャストが明らかになり、メインビジュアルが、特報映像が、と次々に情報が解禁されていき、さまざまな媒体で紹介されていきました。ドラマが完成に向かって進んでいることを感じ、とても励みになりました。また、それらの一つ一つのお知らせに、翔田さんがとても感激してくださることも嬉しく、心強かったです。
文庫版『真犯人』の帯には、ドラマの放送に合わせて掲出されるポスターのデザインを使わせていただきました。カバーと同じサイズの通称ダブルカバーといわれるものです。大きなサイズで使用されるものを、文庫のサイズに落とし込みつつ、さらに文字情報などの要素を載せることの難しさを改めて実感したのですが、粘り強く取り組んでくださったデザイナーの舘山一大さんには感謝しかありません。ぜひ実物をご覧ください! また、ダブルカバーの下に隠れたカバーにもご注目。タカラカオリさんの明るそうで不穏そうな絶妙なイラストもぜひ見ていただきたいです。
完成したドラマを一足お先に見せていただきました。(ストーリーを知っていても)ドキドキの展開、豪華な出演陣、映像ならではの見せ方も面白く、充実の全5話でした。
平成の殺人事件と昭和の誘拐事件、ふたつの事件が交差する誘拐ミステリー『真犯人』。ドラマから観ても、小説から読んでも楽しんでいただけると思いますが、ドラマの放送は9月23日から。放送スタートに備え、まずは原作文庫を読んでみてはいかがでしょうか?
──『真犯人』担当者より