今月のイチオシ本

_百年泥
 第158回芥川龍之介賞は、若竹千佐子の文藝賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』と、石井遊佳の新潮新人賞受賞作『百年泥』の2作が受賞した。新人賞受賞作が芥川賞を獲るのは珍しくないが、2作同時は史上初だろ
_サイコパス解剖学
「サイコパス」という言葉をよく聞くようになったのは映画『羊たちの沈黙』がヒットした後だと思う。アンソニー・ホプキンスが演じた頭脳明晰な殺人犯、ハンニバル・レクター博士のような人、それをサイコパスと呼ん
_幕末ダウンタウン
 新撰組ものは人気が高く、これまでも多彩な作品が発表されてきた。第十二回小説現代長編新人賞を受賞した吉森大祐のデビュー作は、新撰組の隊士が漫才師になる奇想天外な物語となっている。  慶応三年の京。新撰
_総力捜査
 多くの作家が警察小説に手を染め始めた一九九〇年代、よく聞かれたのは、現場情報がなかなか得られないという愚痴だった。今は情報開示が進んでいるが、当時の警察はまだ外部に門戸を閉ざしており、取材をしても通
_そのバケツでは水はくめない
 中堅のアパレルメーカーに勤める佐和理世は、勤続四年めにして、新ブランドの創立メンバーにMDとして加わることに。ヨーロッパのアンティークスタイルを、現代日本のファッションに融合させる、という理世のアイ
_少女を殺す100の方法
 いやはや『少女を殺す100の方法』とは、なんとも凄いタイトルをつけたものである。著者の白井智之は、惜しくも受賞は逃したものの横溝賞史上最大の問題作として話題を集めたデビュー作『人間の顔は食べづらい』
 横田増生が『ユニクロ帝国の光と影』を上梓したのが2011年3月。その後、ユニクロが版元の文藝春秋を相手取り名誉毀損の訴訟を起こす。最高裁が上告を棄却したのが2014年12月。版元側の完全勝訴である。
 近年、谷津矢車、大塚卓嗣、簑輪諒ら歴史群像大賞出身の若手歴史小説作家が目覚ましい活躍をしている。『甲州赤鬼伝』でデビューした霧島兵庫も、同賞を受賞した一人である。今後の成長が期待される著者の二作目と
 今日の警察小説人気に火をつけたのは逢坂剛の公安警察シリーズや黒川博行の大阪府警捜査一課シリーズ等、一九八〇年代の諸作の功績といっていい。中でも警視庁系の捜査小説の正統派として今なお厚い人気を得ている
JLハルは異世界で娼婦になった』書影
  この仕事を始めてから、まさかこんな日が来るとは思わなかった。アトランダムにページを開くだけで、マ◯コだの、チ◯ポだのという単語にヒットする小説を紹介する日が来ようとは──。 本書の内容は、タイトル
 「生まれ変わったら何になりたい?」と考えたことはあるだろうか。鳥になって自由に空を飛びたい、イルカのようにすいすい大海原を泳ぎたい。でも所詮それは現世では叶わぬ夢だ。   だが本書の著者、トーマス・
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 昭和二十年。美作宗八郎は東京の生家を遠く離れ、片田舎にある名門中等学校──白霧学舎に編入することに。するとそこで、寮長を務める一学年上の滝幸治、美作と同学年同室の斎藤順平のふたりが主宰し、・教授・な
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 文藝賞は、河出書房新社が主催する純文学系の長編新人賞。15歳、中学3年生で受賞した三並夏、17歳で受賞した堀田あけみ、綿矢りさ、羽田圭介など、若くして獲る人が目立つ賞という印象だったが、『おらおらで
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 テロが起こるのは違う世界の話だと思っていたのだが、ここ数年、そうとは言えなくなってきている。つい先ごろもロンドンで爆発のあった地下鉄に知人が乗り合わせていたと聞いた。日本でもいつか起こる、そんな予感
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 弓子は夫と別居中で、一年ほど前から川沿いにあるアパートで暮らしている。弓子の部屋の隣人は楓という女性で、ひっそりと日々を送る弓子とは対照的に、部屋を訪れる男性が後を絶たない。  安普請のアパートは、
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 今いちばん乗ってる警察小説作家は誰かと訊かれれば、吉川英梨と答える。  吉川は警察もの以外の作品も発表しているので警察小説専門作家のようなレッテルを貼ってはいけないが、「女性秘匿捜査官・原麻希」シリ
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 昨年、五年ぶりに発表された『「茶の湯」の密室』で第二期が開幕した、愛川晶〈神田紅梅亭寄席物帳〉シリーズ。それから十カ月という早さで上梓された最新作『手がかりは「平林」 神田紅梅亭寄席物帳』は、これま
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 2017年の小説界でいちばん大きな話題を集めたデビュー単行本は、たぶんこれだろう。本書発売と同時に14歳の誕生日を迎えた著者・鈴木るりかは、新聞やテレビでも“驚異のスーパー中学生„としてひっぱりだこ