【テンポの良いストーリー展開】池井戸潤のオススメ作品5選!
大学卒業後は銀行員として働いていた池井戸潤。物語の舞台も銀行となっている作品が多く、銀行内部のシステムや仕事が非常に細かくリアルに描かれています。勧善懲悪のストーリー展開で最後にはスカッとさせてくれる、読後感の良い作品が多いのも池井戸作品の特徴です。その中から特におすすめしたい作品をご紹介します。
ルーズウェルトゲーム
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/406217376X
廃部寸前の社会人野球チームの物語です。倒産の危機にある電子部品メーカーの青島製作所。リストラを進めている会社内では、数億という資金が必要な野球部の存続について疑問の声が上がります。しかも野球部の監督が主力選手を引き抜いてライバルチームに移動してしまい存続危機の状態に。そこで新監督を迎えて新しいチーム作りをする野球部。廃部を阻止するべく立ち向かう野球部と社長の細川が青島製作所を守るために奮闘する姿が描かれています。著者は余裕も無駄もある社会が好きだと語ります。一見無駄に見えるものこそが本当に社会を円滑にしているのかもしれません。
ロスジェネの逆襲
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/4167904381
ドラマにもなった人気の半沢直樹シリーズの第3作目です。『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』に続き、この作品でも半沢直樹が活躍します。東京中央銀行の子会社である東京セントラル証券に営業企画部長として出向となった半沢は、あるIT企業からライバル企業買収についての相談を受けます。しかしこの大きなチャンスを、東京中央銀行の証券部長に横取りされてしまいます。事の顛末に疑問を感じた半沢は調査を開始し、内部に裏切り者がいることを突き止めます。買収の裏側を暴くために奔走する半沢の姿が描かれています。
ようこそ、我が家へ
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09408843
主人公の倉田太一は電車で割り込みをしようとした男を注意したことから、男の恨みを買いストーキングされます。それから一家は嫌がらせを受けるように。庭が荒らされ、郵便ポストには瀕死の猫。まともに取り合ってくれない警察に頼らずに家族で犯人を突き止めることになり……。嫌がらせは誰の仕業なのか?そして明らかになる意外な真実。身近なところに潜む恐怖をテンポのいい文章で描きます。
下町ロケット
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09408896
第145回直木賞受賞作品です。宇宙開発機構のエンジニアとしてロケット開発に携わっていた主人公の佃航平。ロケットの開発に失敗しエンジニアとしての夢を諦めた航平は、父の跡を継いで車の部品を製造する佃製作所の社長となります。佃製作所は銀行から融資を断られ資金繰りに苦しんでいるところ、ライバル企業から特許侵害で訴えられます。そんな時、ロケット開発をしている大企業から、佃製作所の開発しているエンジンシステムの特許を20億で買い取りたいと申し入れがあります。しかしエンジニアとしての夢を捨てきれない航平は、技術の提供ではなく自分たちで部品を作りたいと思い始めます。資金調達のために技術を売ることに抵抗を感じる航平は会社を守ることができるのか…。
「ロケット編」「ガウディ編」は『下町ロケット』1と2として好評発売中。
こちらから試し読みもできますので、是非チェックしてみてください。
▼関連リンク
『下町ロケット 1』の試し読みはこちらから
『下町ロケット 2』の試し読みはこちらから
果つる底なき
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/4062731797
第44回江戸川乱歩賞受賞作品です。著者の小説でのデビュー作となる金融ミステリーとなっています。主人公の伊木は、銀行の融資課で融資担当を務める銀行マン。同じ銀行で債権回収を担当する友人の坂本が、謎の言葉を残して死んでしまいます。その後、坂本が顧客の金を着服していたことが判明します。坂本の妻は伊木の元恋人であったこともあり、伊木は坂本について独自に調べ始めることに。坂本の死の真相とは?銀行という大きな力に立ち向かう伊木の姿が描かれます。
最後に
池井戸作品はどの作品もテンポのいいストーリー展開で、一度読み始めると止まりません。登場人物の魅力的なキャラクターや印象的なセリフにも注目してみてください。
初出:P+D MAGAZINE(2016/11/20)