【2~3歳の寝かしつけに効く!?】パパ、ママのための「お助け絵本」7選
夜、なかなか眠ってくれない我が子に悩まされているお父さん・お母さんも多いのではないでしょうか。今回は、2~3歳の子どもに人気の絵本を中心に、夜読み聞かせると子どもがぐっすり眠ってくれるという絵本を7作品紹介します。
小さな子どもを持つお父さん、お母さんが1日のうちで唯一ゆっくりできるのは、子どもが寝たあとの時間。毎晩、なかなか眠らない我が子をさまざまな方法で寝かしつけようとするものの、うまくいかなくて焦ってしまう……、という方も多いのではないでしょうか。
そんなときに味方になってくれるのが、「寝かしつけ」のための絵本。寝る前にYouTubeなどの動画を見せると興奮してしまう子や、お話を聞くのが好きな子には、王道ながらも「絵本」はおすすめです。
今回は、2~3歳の子どもに人気の絵本を中心に、夜読み聞かせると、子どもがぐっすり眠ってくれるという絵本を7作品紹介します。
また、「本当に寝るの?」と半信半疑な方のために、実際に3歳の息子を持つお母さんに1週間の期間を設けて絵本を1冊ずつ読んでもらい、モデルとして、それぞれの本がどのくらい効いたかをレポートしてもらいました。
■レポートに協力してくれた人
はたさん親子
息子のYくん(3歳)は、ようやくイヤイヤ期が過ぎた頃。元気いっぱいで夜まったく眠ってくれず、お父さん、お母さんは困ることもしばしば。絵本はもともと大好き。
……そんなはたさん親子に協力してもらった検証結果も交えつつ、7作品の読みどころとおすすめポイントを解説していきます。
「寝かしつけ」に効く心理学的効果が実証済み! 『おやすみ、ロジャー』(2歳~)
出典:http://amzn.asia/d/2I1lZe3
『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』は、行動科学者のカール=ヨハン・エリーンが手がけた「寝かしつけ専用絵本」です。著者が持つ心理学・行動科学の知識を活かしたこの本は、2010年に自費出版され、2014年に英訳されるやいなや世界的なベストセラーになりました。
この本のいちばんの特徴は、心理学的なアプローチによる「眠りを誘う」しかけが満載であること。絵本の最初には“車を運転している人のそばで絶対に音読しないこと”という注意書きがあるほど、その効果は子どもだけでなく大人にも抜群です。
ストーリーは、なかなか眠れない子うさぎの「ロジャー」が眠ろうとする、というシンプルなもの。本文では、
ロジャーのきょうだいはみな、毎晩、おかあさんうさぎがおふとんに連れていくと、すぐに眠ってしまいました。でもロジャーは違います。横になって、いますぐ眠るかわりにやりたいことを、あれこれ考えていました。おそとで何をしようか、しばふの上で何をして遊ぼうか、ただ走りまわろうか……うんと疲れちゃうまで。そう、くたくたに疲れて、もう走りまわれなくなっちゃうまで。
などと、「言葉や文を強調して読む」ところは太字、「ゆっくり、静かな声で読む」ところは青い字で書かれています。“すぐ眠る”という言い切りの強い言葉に“くたくた”といった繰り返しのフレーズが加わることによって、自己暗示の効果が高まり、自ずと眠くなってしまうのだと監修者は解説しています。
【実際に読んでみて】
はたさん:本を読み始めてから5分くらいで息子がうとうとし始め、10ページあたりですっかり寝てしまいました。すごい! 読み方を指定されている箇所が多いので、その通りにゆっくりと、念仏のように読んだのが効いたのかもしれません。
これ、正直読んでいて私のほうが眠くなってしまいました(笑)。言い回しの独特さもあって、いい意味で、文章が全然頭に入ってこないうちに眠気に襲われてしまうのが不思議です。
『おやすみ、ロジャー』に続く「寝かしつけ専用絵本」第2弾『おやすみ、エレン』(2歳~)
出典:http://amzn.asia/d/dzev5Wl
世界的な大ヒットとなった『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』ですが、「ロジャーを読み聞かせても眠らない」「イラストが苦手なのか、子どもが夢中になってくれない」という声も多く寄せられたそう。
その声を受けて、可愛らしいゾウのイラストを用い、さらに「眠れるよう」な工夫が施されたのがシリーズ第2弾の『おやすみ、エレン 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン著)です。
ストーリーは、エレンという女の子のゾウが、魔法の森の向こうにある「お布団」を目指すというもの。『おやすみ、ロジャー』と違って主人公が女の子のため、男の子の親御さんはロジャー、女の子の親御さんはエレンを選ぶケースも多いようです。
お話の中では、主人公のエレンが頻繁に読者(「きみ」)に向かって話しかけます。
「ついておいでよ。わたしがいつもぐっすり眠る場所を教えてあげる。眠くなったらいつでも寝ちゃっていいんだよ。お話が終わる前でもね」
この「語りかけ」が効き、子どもが安心して眠れると評判に。実際に、読み聞かせている大人までがリラックスして眠ってしまいそうになる1冊です。
【実際に読んでみて】
はたさん:6分くらい読み進め、11ページで息子がぐっすり眠りました。
『おやすみ、ロジャー』でも眠ってくれたんですが、ロジャーは鉛筆書きの絵がちょっと怖かったようで、あまり気に入った様子はなく……。一方で『おやすみ、エレン』は絵をしっかり見てくれました。
途中にある「ねむいねむい階段」……というくだりでは読んでいる私自身もあくびが出てしまうほどで、息子はちょうど一段ずつ降りていくくだりですごく眠くなったみたいです。
エリック・カールの名作。お父さんに読んでほしい『パパ、お月さまとって!』(3歳~)
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『パパ、お月さまとって!』は、『はらぺこあおむし』で有名な絵本作家、エリック・カールが1986年に発表した絵本です。1987年にボローニャ国際児童図書展・エルバ賞推薦となったこの作品は、発売から30年以上が経過してもなお、世界中で愛されている1冊です。
主人公のモニカという女の子が、ある晩、とても近くに見える「お月さま」に手が届かず、「パパ、お月さまとって!」とねだり始める……、というストーリー。お話が進んでいくと、折りたたまれていたページが上下左右に広がるようになり、どんどん「お月さま」の絵が大きくなっていくというしかけが子どもをワクワクさせます。
中には、しかけを見るのが楽しくなってしまい、何度も読み聞かせをねだる子どももいるよう。美しくファンタジックな絵とストーリーで、絵本を自分で読める年齢になった子どもにも長く読まれ続ける本、という声も多い名作です。
【実際に読んでみて】
はたさん:4分くらいで読み終わりましたが、眠ってはくれませんでした。閉じたり開いたりするしかけに夢中になって、パタパタと自分で遊んだりしながら楽しんで読んでいました。
最近、月が大きくなったり小さくなったりすることにちょうど興味が出てきたところだったので、「あれ、お月さま、どのくらいだったっけ?」「ちょっと見てみよう」と布団から出て窓をのぞきに行っていました。うちの場合、寝かしつけにはあまり効かなかったのですが、息子にとってはかなりお気に入りの1冊になったようでよかったです(笑)。
“あー ねむたい”がくせになる『おやすみ みみずく』(2歳~)
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『おやすみ みみずく』(パット=ハッチンス)は、森の仲間たちのせいで眠れない「みみずく」が主人公のユーモラスな1冊です。
夜行性のみみずくは、森に住む鳥やリスたちがにぎやかな昼間のあいだに眠ろうとしますが、動物たちがそれを許してくれません。
はちが ぶんぶん
はね ならす。
みみずくは あー ねむたい。
こまどりが
ぴい ぴい ぴい となく。
みみずくは あー ねむたい。
ついにずっと眠れなかったみみずくは、夜になると反対に、
ぶっきょっこー
ぶっきょっこー
……と鳴き出すのです。大人もクスッと笑ってしまうようなこの1冊は、リズムよく繰り返される“あー ねむたい”という言葉を復唱することで、子どもを自然と眠りに就かせてくれます。昼と夜のページの対比が効いた、美しい絵も見どころです。
【実際に読んでみて】
はたさん:4分くらいで読み終わり、途中で少し眠そうにしていたものの、うちの子は残念ながら寝ませんでした……! ただ、文章をリズミカルに読めるのと、最後はきまって「みみずくは あーねむたい」で終わるので、途中から「あーねむたい」と一緒に言ってくれました。
鳥の鳴き声が特徴的で、やっぱり面白いのがみみずくの「ぶっきょっこー」という響き。私まで「ぶっきょっこー」にハマってしまって「どんだけ〜」と同じ音程で読んでしまったせいか、響きが息子のツボに入ってしまったようで……。ここは、ムダに抑揚をつけずに読むべきだったと反省しました。
「怖いけど、おばけに会いたい」不思議な名作──『ねないこ だれだ』(1歳半~)
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『ねないこ だれだ』(せなけいこ)は、言わずと知れた「怖い絵本」の名作。1969年に発表されて以来、さまざまな世代の子どもたちに読みつがれています。
(合わせて読みたい:【怖い絵本】子どもには内緒にしたい「大人向け絵本」の世界)
眠らない子どものところに「おばけ」がやってきて、子どもを「おばけの世界」に連れて行ってしまう──というのがこの絵本のストーリー。一見、子どもが眠らずに泣き出してしまいそうな作品ですが、「おばけ」のイラストの愛らしさもあってか、「怖いけど読みたい」「怖いけどおばけに会いたい」と言う子どもも多いそう。
夜、はしゃいでしまってなかなか眠らない子どもやベッドから出てしまう子どもには、「早く寝ないと、おばけの世界に連れて行かれちゃうかもよ」とちょっぴりドキッとさせてみるのもよいかもしれません(とはいえ、あまり怖がらせるのは禁物です!)。
【実際に読んでみて】
はたさん:この絵本はもともと持っていて、1歳くらいから読み聞かせています。息子は慣れてしまっているせいもあってか、2分くらいで読み終わりましたが寝ませんでした。
うちの子は、「いえいえ よなかはおばけのじかん」でいつも「きゃ~」と楽しそうにリアクションします。彼にとっては、おばけはちょっと怖いけど、不思議なともだち的な感覚のよう。おばけがすごく怖い子にとっては、寝かしつけに効きそうですよね。
動物たちが「ねんね」する様子に、眠気を誘われる『もうねんね』(0歳半~)
出典: http://amzn.asia/d/0rK8PBy
『もうねんね』は、『いないいないばあ』などで有名な松谷みよ子による、ロングセラーの絵本です。
絵本の中では、さまざまな動物たちが目をつぶり、眠ってゆく様子が描かれます。
いぬも ねんね
ひとりで ねんね
ねこも ねんね
まあるくなって ねんね
めんどりも ねんね
ひよこも ねんね
おめめつぶって
くう くう ねんね
短いお話ですが、繰り返される「ねんね」の言葉に合わせ、自然と眠くなってしまう子どもが多いよう。また、それぞれの動物の“ワン” “ニャーン” “コココ”という鳴き声の描写もあるので、子どもが動物を覚えるための最初の絵本に選んでもよいかもしれません。
まだ絵本のストーリーが理解できない赤ちゃんから、2歳くらいまでの子どもに特におすすめの1冊です。
【実際に読んでみて】
はたさん:3分くらいで読み終わり、そのままウトウトと眠ってくれました。
少し低年齢向けだったのもあって、ストーリーへの食いつきは弱い感じでしたが、それぞれの「ねんね」の様子を布団に入りながらまねっこしていて、いぬの時は体をのばして、ねこの時はまるくなって……など実際にしていたのが効いたのかもしれません。
愛らしい「くまのこ」との一夜の冒険──『よるくま』(3歳~)
出典:http://amzn.asia/d/hJiSocO
『よるくま』(酒井駒子)は、真夜中にやってきたくまのこの「よるくま」のおかあさんを探しに、主人公の男の子がよるくまと共に冒険に出るというストーリー。
この絵本の魅力は、なんと言っても絵の美しさと、「よるくま」の愛らしさです。「おかあさんがいない」という一見子どもが不安になってしまうようなストーリーも、どこかワクワクする絵と可愛いキャラクターのおかげで怖くありません。
あしたになったら おさかなを やこうねえ。あさごはんに たべようねえ。
それから バスにのって じてんしゃやさんに いこうねえ。
どんなのがあるか いろいろ みてみようね。
……などと、次の日を迎えるのが楽しみになるようなフレーズも印象的です。子どもの寝かしつけにおすすめなのはもちろん、親が夢中になってしまうような幻想的なお話なので、子どもが成長しても長く大切にしたい1冊です。
【実際に読んでみて】
はたさん:息子がとても気に入って2回読まされたのですが、2回目の最後あたりでそのまま眠ってくれました。2回目は1回目よりもゆっくり、少し小さな声で優しく読むようにしたのがよかったかもしれません。
最初によるくまが出てくるシーンでは「かわいいねぇ」と言ってくれて、よるくまと一緒におかあさんを探すシーンや、見つからなくてよるくまが泣いてしまうシーンは、ストーリーに入り込んでいるようでじっと絵を見ていました。
よるくまがおかあさんを探しているシーンで、「あのね、おかあさんはおさかなとりにいってるんだよ」とよるくまに教えてあげていたのも印象的です!
7冊の中で息子がいちばん夢中になっていたのは『よるくま』なので、これからも読んであげようと決めました。
おわりに
絵本というと、ついつい自分が子どもの頃に読んだ作品や、自分の好みのものばかりをセレクトしてしまいがち。もちろんそれも大事ですが、子ども自身が夢中になり、「これ読んで!」と自分から言ってくれるような作品を何冊かはストックしておきたいところです。
今回ご紹介した7冊の絵本はどれも、子どもから絶大な支持を集め続けているベストセラー。我が子がなかなか眠らなくて困ってしまったときは、これらの名作の力を借りてみてはいかがでしょうか。
初出:P+D MAGAZINE(2018/12/26)