【情景が目に浮ぶ】小川糸のオススメ作品5選を紹介!
まるで匂いが届いてきそうな料理の描写と優しい文体。ファンを惹きつけてやまない小川糸さんの魅力はどこにあるのでしょうか?彼女のおすすめ作品5選をご紹介します。
食堂かたつむり
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4591115011
イタリアの文学賞である、「バンカレッラ賞料理部門賞」を受賞した作品です。祖母の形見のぬか床だけを持って、都会から故郷の山あいの村へ戻ってきた主人公。失恋のショックで声を失い、人とのコミュニケーションが取れない彼女は、一人ひっそりと小さな食堂を開きます。まるで吸い寄せられるように食堂の扉を叩くお客様が、彼女の料理を食べたら……。仲違いをしていた家族との関係は? 1日1組だけのお客様をもてなすために、心を込めて料理を作る主人公の姿に、「食べることは生きること」だと改めて気付かせてくれる物語で、著者の心温まるデビュー作です。こちらの作品は2010年に柴咲コウ出演で実写映画化されています。
あつあつを召し上がれ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4103311916
食べ物にまつわる7つの短編で構成されている物語。単純に食べものや食事の描写をしただけではなく、そこには常に「人」の存在があります。美味しいごはんも、一緒に食べる人やその時のシチュエーションで味わいが変化するもの。幸せな時も悲しみにくれている時も、人はごはんを食べて生きている。五感をいっぱいに使って食べる食事だからこそ、人の心に深くいつまでも思い出として残ります。「食べること」を通して、人の繊細な心の機微や強さが描かれています。
つるかめ助産院
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4087468461
家族を失って傷心のままたどり着いた南の島で、ふとしたことから助産院で居候をすることになる主人公。思いがけなく発覚した自身の妊娠に驚きますが、産むことを決意します。美しい自然の中で、個性豊かな島の仲間達との生活を通して、主人公は人を愛し愛されるとはどういうことかに気づいていきます。また悲しい過去と向き合い、彼女が成長していく過程も繊細に描かれています。小さな助産院で繰り広げられる、命の誕生と再生が煌めいています。2012年、NHKにて仲里依紗主演でテレビドラマ化されています。
ツバキ文具店
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4344029275
鎌倉にある古い小さな文房具店で「代書屋」を営む主人公の女性。手紙を通して思いを伝えたいというお客様から、風変わりな依頼が舞い込みます。大切に思っている人だからこそ、なかなか素直な気持ちを伝えられない……。そんな人たちのために、心を込めて代筆をします。彼女自身も先代である祖母との間に、拭いきれない後悔を抱えて生きています。人のための代書を通じて、彼女が大切なものに気づいていきます。著者の特徴である優しい文章で読みやすく、読んだ後に誰かに手紙を書きたくなるかもしれません。
喋々喃々
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4591124193
「喋々喃々」とは、「男女が楽しげに小声で語り合う様」。この作品は切なくも甘い大人の恋の物語です。主人公は東京・谷中で小さなアンティーク着物店を営んでいる独身女性。果たして彼女の恋の行方は? 折々の情景と著者が得意とする美味しい食べものの描写がたくさん登場します。上品でしっとりとした文章は、文字を追うごとに目の前に風景が浮かんでくるほどです。下町の日常を通して日本や日本語の美しさを再発見できます。
最後に
小川糸のオススメ作品5選は如何でしたか?
小川糸の作品には多く「食事」のシーンが多く登場します。映像化された作品では視覚的にも食事を楽しむことが出来ますので、作品と併せてチェックしてみては如何でしょうか。
初出:P+D MAGAZINE(2016/12/14)