【水平思考クイズ】「ウミガメのスープ」あなたはこの謎を解ける?

回答者が出題者に「YES」「NO」「関係ありません」のいずれかで答えられる質問をしていくことで真相を導き出す水平思考クイズ、「ウミガメのスープ」。今回は、ウミガメのスープを扱った書籍の中から選りすぐりの問題を5問ご紹介します。

ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文した。
スープを一口飲んだ男は、それが本物の「ウミガメのスープ」であることを確認し、勘定を済ませて帰宅した後、自殺した。一体、なぜ?

「ウミガメのスープ」と名づけられたこのクイズをご存じでしょうか。提示されているのは、自ら注文したスープの味を確かめた男がその直後に自殺してしまうという、一見不可解な状況。
このクイズの答えは、

男はかつて数人の仲間と海で遭難し、とある島に漂着した。食料はなく、仲間たちは生き延びるために力尽きて死んだ者の肉を食べ始めたが、男はかたくなに拒否していた。見かねた仲間の一人が、「これはウミガメのスープだから」と嘘をつき、男に人肉のスープを飲ませ、救助が来るまで生き延びさせた。男はレストランで飲んだ「本物のウミガメのスープ」とかつて自分が飲んだスープの味が違うことから真相を悟り、絶望のあまり自ら命を絶った。

というものです。「たった数行の問題文で、こんな複雑なストーリーがわかるわけないじゃん!」と思われた方もいるかもしれません。しかし、問題文だけでは答えになかなか辿り着けない、というのがこのクイズの肝。

「ウミガメのスープ」に代表される、水平思考クイズとも呼ばれるこのようなクイズは、出題者1名と回答者に分かれて遊びます。出題者がクイズを出し、回答者は「YES」「NO」「関係ありません」のいずれかで答えられる質問を出題者にし、答えを推理していくというものなのです。

たとえば、冒頭の「ウミガメのスープ」のクイズであれば、

質問1:男がウミガメのスープをレストランで注文するのは初めてでしたか?

回答1:YES、初めてです。

質問2:自殺の理由は金銭的な問題ですか?

回答2:NO、男はお金には困っていませんでした。

質問3:男は、ウミガメのスープを飲んだことがきっかけでなにかを知りましたか?

回答3:YES!

といった質問から、徐々に真相に迫っていくという楽しみ方ができます。
2人以上集まれば、いつでもどこでも解くことができる水平思考クイズ「ウミガメのスープ」。今回は、「ウミガメのスープ」ブームの火付け役であるポール・スローンの著作などから、既成概念に囚われない思考が試されるクイズを5問紹介します。質問と回答の例も4つずつ用意したので、ひとりで解く際には参考になさってくださいね。

【第1問】銀行に来た男(難易度:★☆☆)

【問題】

ある男が銀行の前に車を停め、銀行の中に走りこんだ。男は25人を動けなくし、200ドルを持って銀行を飛び出した。

一部始終を見ていた警官が男を呼び止め、「そんなことをしてはいかん」と叱咤したが、警官はすぐに男を解放した。なぜだろう?

質問例

質問1:男は、銀行強盗をしましたか?

回答1:NO

質問2:警官が男を呼び止めたのは、正当な理由からでしたか?

回答2:YES。おそらく、どの警官でも同じことをしたでしょう。

回答3:男が200ドルを手に入れたのは、合法的な方法でしたか?

回答3:YES! 合法かつ、一般的な方法です。

質問4:「25人を動けなくした」とは、犯罪行為を意味しますか?

回答4:NO! いい質問です。犯罪ではありませんが、迷惑行為にあたります。


 

クリックして解答をチェック!

【解答】


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4767803322/

男は、200ドルをおろすために銀行の前に車を停めた。そのせいで渋滞になり、うしろの25人のドライバーが動けなくなってしまったため、警官に怒られたのだ。


【第2問】アントニーとクレオパトラ(難易度:★☆☆)

【問題】

アントニーとクレオパトラが、エジプトの屋敷の床で息絶えていた。屍のそばには、割れた金魚鉢。彼らの体に傷はなく、毒を飲んだ形跡もない。死亡時、屋敷には誰も居なかった。アントニーとクレオパトラはどうやって死んだのだろうか?

質問例

質問1:アントニーとクレオパトラの死因は、他殺ですか?

回答2:NO

質問2:アントニーとクレオパトラの死因は、自殺ですか?

回答2:NO

質問3:アントニーとクレオパトラは不仲でしたか?

回答3:関係ありません。

質問4:割れた金魚鉢は、アントニーとクレオパトラの死因に関係していますか?

回答4:YES! いい質問です。大いに関係しています。


 

クリックして解答をチェック!

【解答】


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4767804647/

アントニーとクレオパトラは金魚だった。事故で金魚鉢が割れ、2匹は不運にも床の上で死んでしまったのだ。


【第3問】理想のタマゴサンド(難易度:★★☆)

【問題】

タマゴサンドは、タクロウさんの大好物。中でも一番好きなタマゴサンドを出すパン屋へ向かったタクロウさんは、売り切れの札を見て喜んでいる。一体、なぜ?

質問例

質問1:「売り切れの札」とは、タマゴサンドの売り切れの札ですか?

回答1:YES。タクロウさんは、タマゴサンドが売り切れたことがわかり喜びました。

質問2:売り切れてしまったことで、新しく焼いたばかりのタマゴサンドが食べられるからですか?

回答2:NO

質問3:タマゴサンドが売り切れることで、タクロウさんはなんらかのメリットを得ますか?

回答3:YES! タクロウさんは金銭的なメリットも得るでしょう。

質問4:他の人が同じパン屋へ行って売り切れの札を見ても、同じように喜びますか?

回答4:NO! いい質問です。喜ぶのはおそらくタクロウさんだけか、限られた数名の人たちだけでしょう。


 

クリックして解答をチェック!

【解答】


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/434499230X/

タクロウさんが向かった店とは、理想のタマゴサンドを提供する自分の店だったのだ。


【問題4】野原の死体(難易度:★★☆)

【問題】

ある男が、野原で死んでいた。死体の隣には、開かれていない包みがあった。この男の死因とは?

質問例

質問1:男の死因は他殺ですか?

回答1:NO

質問2:男の死因は事故ですか?

回答2:YES! 不慮の事故でした。

質問3:包みが開かれていたら、男は死にませんでしたか?

回答3:YES! いい質問です。包みが開かれなかったために男は命を落としました。

質問4:本来は開かれるべき包みが、なんらかの理由で開かれなかった?

回答4:YES! とてもいい質問です。男は包みを開こうと奮闘したはずです。


 

クリックして解答をチェック!

【解答】


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4767804647/

男はスカイダイビング中、パラシュートの包みが開かなくなってしまい、不運にも命を落とした。


【第5問】地下室の扉(難易度:★★★)

【問題】

小さな女の子が両親に「決して地下室の扉を開けてはいけない、開けたら見てはいけないものを目にする」と注意されていた。しかしある日、両親が出かけている間に女の子は地下室の扉を開けてしまった。果たして、女の子が見てはいけなかったものとは何だろうか?

質問例

質問1:地下室の扉を開けてしまったことで、女の子は危険な目に遭いますか?

回答1:NO。危険な目には遭いませんが、女の子は驚きました。

質問2:地下室の中に、両親はなにかを隠していましたか?

回答2:YES! 地下室には、本来入れられるはずのないものが閉じ込められていました。

質問3:地下室の中に閉じ込められていたのは、生き物ですか?

回答3:YES! いい質問です。

質問4:両親には、女の子にその生き物を見せたくなかった理由がありますか?

回答4:NO。両親は、その生き物を見せたくなかったのではなく……。


 

クリックして解答をチェック!

【解答】


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4767803322/

女の子はその日、言いつけを破って生まれてはじめて地下室の扉を開き、外の世界を目にした。両親の手によって地下室の中に閉じ込められていたのは、その女の子だったのだ。


おわりに

水平思考クイズ、みなさんは何問正解できましたか? これらのクイズには思い込みや既成概念を利用するものが多く、真相に辿り着くには、「アントニーとクレオパトラは人間なのだろうか?」、「女の子は扉を外からではなく、中から開けようとしているのでは?」──といった発想の大きな転換が必要になります。

「ウミガメのスープ」を始めとする水平思考クイズは、本記事でもご紹介した『ポール・スローンのウミガメのスープ』(ポール・スローン、デス マクヘール著/日本語版は2004年刊行)シリーズが火付け役となり、近年ではYouTuberがクイズに挑戦する動画の人気なども相まって、じわじわと注目を高めています。友人や家族と問題を出し合うと、相手の意外な思考の癖が見えてくるのも水平思考クイズの面白いところ。ぜひ、親しい人たちと一緒にクイズに挑戦してみてください!

初出:P+D MAGAZINE(2020/09/16)

【著者インタビュー】中野ジェームズ修一『中野ジェームズ修一×運動嫌い わかっちゃいるけど、できません、続きません。』/前代未聞の「読む」エクササイズ本!
上野 誠『万葉学者、墓をしまい母を送る』/だれもがいつか直面する「親の看取り」と「家の墓」の問題を描く