パパイヤ・ママイヤ

『パパイヤ・ ママイヤ』刊行記念SPECIALレビュー
評者=町田 康(作家) 息が詰まるような美しさと悲しみ 生きているといろんなことを見聞きし、その都度、いろんなことを感じ、また思うものであるが、そしてそれは嬉しかったり悲しかったりするが、人間というのは因果なもので、その際、これを自分の胸の内、腹の内に留めて自分だけのものとすることができず、これを他に露呈して、他と分か
乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』
もっと光を! 小説の舞台である小櫃川河口干潟は、木更津駅から十分ほどバスに乗り、そこから徒歩で三十分という場所にある。足を運びやすい場所ではないが気に入って、手帳によると二十回行ったらしい。潮の満ち引きが見たくて朝から出向き、風景を書きとめ、蟹と戯れ、ゴミを漁り、飲み食いし、浜で遊び、昼寝して、夕焼けを見て帰る。一日い