岩井圭也

週末は書店へ行こう!
 都会でもなく田舎でもない、どこにでもありそうな地方都市。その街でほんの一瞬袖振り合うのは、一見フツーの老若男女。6つの短編の6人の主人公たちを善人か悪人かで分ければ、悪人は一人もいないだろう。けれど皆々不器用で、自分の気持ちを上手く相手に伝えられない。だから、不満や反論をつい飲み込んでしまう。自然、我慢したり譲歩した
思い出の味 ◈ 岩井圭也
 我が家の冷蔵庫には、母が手作りした味噌が常備されている。実家ではなかなか消費できないらしく、頼むと定期的に送ってくれる。母は料理が趣味で、よく家族のためにお菓子を作ったり、近所の友人を集めてパンを焼いたりしていた。私と妹は母のお菓子を食べて育ち、一人暮らしをはじめてからもパンを送ってもらった。