むちゃぶり御免!書店員リレーコラム*第16回
入院中のおばあちゃんに贈りたい本
おじいちゃんが入院したとき、高校生だった私が「これだ!」と持っていったのは、エーリッヒ・ケストナーの『人生処方詩集』。
この本は「年齢が悲しくなったら」「自信がぐらついたら」などの症状別に詩を処方してくれるのですが、ユーモアあり刺さる言葉ありで、当時、詩にイラストを添えて新聞に投稿するほど愛読していたのです。
でも、詩集って意外と取っ付きにくいのかも?
開かれないままそっと私の元に戻ってきました……。
今改めてお見舞い本を選ぶなら、寄り添う本より、自分の日常から離れて知的冒険ができる本!
ということで『ヒエログリフを解け』をご紹介します。
世界史ではさらっと「シャンポリオンがロゼッタストーンにより解読」と習っただけのヒエログリフ。
でも、そんな単純なことじゃなかった……。
ナポレオン遠征からのエジプトブーム、三種の文字が併記されたロゼッタストーンの発見と英仏の奪い合い、美しすぎる文字ヒエログリフへの誤った解釈。
ロゼッタストーンの発見ですぐに解読が進むと思いきや、ヒエログリフは10年以上経っても未解読のままでした。
そこに登場するのが、バカンスがてら解読を始めたマルチな天才ヤングと、子供時代からエジプトに夢中だった語学の天才シャンポリオン。
繰り広げられる熱い解読レースに、ふたりの天才の情熱と叡智に、入れ込みすぎて最後はまさかの大号泣でした。
読み終えたら著者と同じテンションで誰かに教えたくなること間違いなし!
何かに情熱を注いでみたくなる、元気が出る本です。
『ヒエログリフを解け
ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』
エドワード・ドルニック
杉田七重=訳
東京創元社
坂上麻季(さかがみ・あさき)
ガイド・芸術と御書印担当。紙ものや雑貨が大好きで、ついつい集めてしまいます。
【次のお題】
こんな本だったの? 表紙やタイトルとのギャップに驚いた本
【答える人】
正和堂書店 小西敬子さん
本連載は、「〇〇な時に読む本」というお題で、書店員の皆様に「推し本」を紹介していただきます。〇〇部分は、前回執筆した方が、次の執筆者に対して提案します。