ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記 ☆2026年4月前半★

ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記2026年4月前半

 4月1日 

 
 落ち着いて、楽しく、丁寧に、やるのがよい。

 何も進まない時の特徴……
 落ち着かず、生真面目に、適当に、自分を責めている。

 4月2日 

 
 朝から外苑前なんか行かない。ワタリウム美術館で朝活。ジャッド|マーファ展。誰なのかは知らなかったけど、友達と二人でなければ行かない展示だからこそ友達と行くのがこの、月1美術展朝活の醍醐味なのでそれでよい。選択はよいのだが、今日は作品も展示もつまらなかった。今日行ったばかりなのにあまり何も覚えていない。表現媒体それ自体に疑問を呈しながら新たな提案をしたりするタイプの人で、その角度の提案が面白いかどうかは作品次第だろう。個人的でも政治的でもなく物や素材の使われ方を自分なりに考えてみてるだけって印象で、そういう人いるよなーって思った。この人の問題意識と自分の人生の感想は交わることがなさすぎる。「ニューヨークに神秘的なものは何もない。ただ知識と多くのビジネスがそこにあるだけだ。」という本人の言葉は、軽く写メを撮りたくなるフレーズではあったけど、それだけ。正確に明晰に感想を絞り出した結果が「そうですか」になる時ってある。悪い展示だったのかすらわからないような隔たり、目の前に展示されている思考との大きな距離。一昨年末に坂本龍一の展示を見た時もそんなことを思った気がする。この人が美術で考えた内容を私が考える日は来ない。でも坂本龍一展は帰りに「もしかして……」と飛躍した予感がして、坂本美雨さんの音楽を改めて聴いてみたら名盤と名曲をいくつも発見するという好機に恵まれて幸せ者だった。美雨さんの歌声とエレクトロが本当に好き。

 笑いたきゃ、笑え。昔は、いや、少し前まではフランフランなんて立ち寄らなかった。この俺が。散らかった部屋はフランフランのインテリアや家具を必要としない。目の前に陳列されているクッションカバーのある暮らしと現実との遠さ。でも私は今引っ越しを控えていて、次の部屋は散らかさないつもりである。可愛い部屋にするつもりである。自炊だってするつもりである。こんな部屋出て行ってやる!って家出のような心持ちで毎日ギリギリで家を飛び出していた日々にさよならを告げるつもりである。私がよく暮らそうとすることを笑いたきゃ、笑え! それでも私は急に生まれ変わったりしない。自分自身にハッタリをかましたりできない。成長や変化に合わせて、できることを冷静に増やしてきた。だから今度は今よりよくなるはずだ。青山のフランフランで夢を広げた。買うか分からんがあの椅子かわいい。今までゲーミングチェアを使っていたけど、キャスターは実はいらないと気づき始めていた30歳。注意欠陥の私たちはキャスター付きのデスクチェアを使え説があるけど、私が一番集中力を発揮するのは約束の丘──喫茶店の座席であり、喫茶店の座席にはキャスターはない。丘の椅子は動いたりしない。だから、キャスターはいらない。という結論になった。動かない椅子をネットで探してみる。ZARA HOMEも行った。ワタリウムからじわじわと歩いて青学に近づいていった昼。

 
 夜はロフト芸人カラオケ大会。いつもの松永天馬さん、マリアンヌ東雲さん。で今回はベッド・インのかおりさんに代わってでか美ちゃん。でか美ちゃんが=LOVE『とくべチュ、して』を歌い始めて、サビ以外の完璧に歌えない箇所は間違った予想で歌うという芸当を披露。私の正面の二列目の客席には、イコラブを完璧に踊れるお客さんがいた。私は曲中、ずっとその人を鏡にして、あたかも自分がイコラブを踊れるかのように、振りコピ(しかも振りが入ってるから軽く確認みたいなフリをした振りコピ、見よう見まねリアタイでやってるからそうなるだけなのに)をし続けて一曲終わった。これが俺の、とくべチュ。

 4月3日 

 
 Red Velvetのアイリーンのソロアルバム『Biggest Fan』がリリースされてから、K-POPの新譜をバシバシ聴いていったるぜーの勢いが再燃、今年発表されたガールズグループやソロ女性アイドルの楽曲をこの数日間でほとんど聴いた。めっちゃいい曲―と思ったものはプレイリストに入れていった。楽しい。CHUU『Cocktail Dress』、YUNA『B-Boy』、IVE『HOT COFFEE』とか。ちなみに私は「聴く」と決めたものはアルバムごと全曲通しで聴く古風な様式を守っている。その中で自分が気に入る音楽は、わざわざ選び抜いて聴いた10曲のうちでやっと1曲くらいあるな、と感じている。映画でもどれを観るかしっかり悩んで決めた10本に1本くらい好きなのがある確率。本もそれくらいなのかもしれず、でも読書にそこまで時間を割けていないから、私は私の本当に好きな書籍をまだ知らないんじゃないかと期待している。

 似たり寄ったりの大好きなミーハー音楽ことK-POPを聴いている時の私の耳に近寄る虚無の影がある、怠惰な嫌疑がある。私の音楽の趣味は明瞭で、四つ打ちで女性ボーカルでキラキラしていてちょっと切なさがあれば、好きに決まっている。好きな音楽はそれだけではないけど、もう自分の耳にはいくつかのツボがあって、知らないグループの新譜を聴いている時も、完成された色違いの受け皿に取り分けていくだけみたいな軽作業バイト感覚になりかねないときがある。好きなものを探すのは楽しいけど、一方で最悪を感じる。だってせっかく新曲を聴くなら、新しいものの良さに気づいたり、聴いたことのない音を好きになったりする営為のほうが豊かなように思える。結局私は新譜を聴いているふりをして、古くに確立されて流動しないマイフェイバリットセンサーが反応するに決まっているものをかき集めて喜んでいるだけなんじゃないかと、なんか不安になる。文化享受なんて楽しければそれでいいけど、もっと楽しくて嬉しいのは、新しい芸術や魅力や考えに出会って、自分がそのセンスを良いと思うための新たな感受性を早急に築くときである。新しいものを好きになるとき、わかろうとするとき、その良さが先にあって、自分の中にそれ用の感受性が増える。あれは、幸せと呼ぶにふさわしい瞬間。

 4月4日 

 
 弱音吐いて弱音吐いて弱音吐いて実はがんばりますのスタイルでここまできたけど、誰にもオススメできない変な生き方。絶え間なく何かをしているのに、少しずつは終わらせているのに、一番やりたいべき作詞と執筆に20時になっても辿り着かない。時間の使い方が間違っている、30年目の1年生。

 
 来月リリースするEPのジャケットに須藤はる奈さんのイラストを使いたくなった。髪の長い女性が海辺に佇んでこちらを見ている作品。疲れたような、諦めたような、何も考えたくないような表情。風が吹いているけど、どうでもいい。でもこの人がかけがえないってことを私は知っている。と思ってはる奈さんに連絡したら快諾してくれた。この絵には英題が似合う気がして、でも自分が元々考えていたタイトルもあって、もう少し考えてみる。答えは必ず出るはずだ。

 4月5日 

 
 ミア・ハンセン=ラヴの『EDEN』という映画を観た。いま配信にないのでブルーレイを買った。フレンチ・タッチと呼ばれる、90年代のパリの音楽シーンでのハウスミュージックの盛り上がり。DJを主役にその衰退までを描く。期待しすぎたのもあって退屈な映画だった。ダフト・パンクが出てきたり、その頃のヒットソングが流れるのは楽しいけど、それだけだった。ミア・ハンセン=ラヴには、年代記を描く才能も、映像と音楽を同期させる情熱もない。でもこの映画を私は5年くらい強く観たがっていた。その5年がこの映画をつまらなくさせたっていうのもある。観たいままでまだ観てない、この期間が長ければ長くなるほど、その作品と関係なく、その作品が自分の中で名作に仕上がっていってしまうから。だからやっぱり、観たいものはすぐ観るべきだなーと思った。

 
 引っ越し用のダンボールが40枚届いた。20枚では足りないと思いますって言ったら倍にしてくれた。よしどんどん捨ててどんどん実家に送ろう。最大7名で暮らしていた岡山の実家に今は両親だけが住んでいる。とりあえずダンボール2箱分の冬服を詰めて、引っ越しが始まりはじめる夜。

 4月6日 

 
 レコーディング今日のはずだったけど延ばしてもらったーーごめん君島くんーー歌詞書けないけど歌詞書けなかったことないから大丈夫でも書けない書けるけど結局

 4月7日 

 
 今朝は引っ越し先の部屋の内見。物件情報を見つけて申し込んだ時はまだ居住者がいたので内見をしていなかった。部屋が空いたので採寸がしたくてやっと内見。申し込みの時の担当者とは違って、エレガント人生の祥子さんみたいな人が内見に来た。クローゼットではない、押入れでもない、小さな部屋みたいな収納があって、「反省部屋ですね」とスムーズにその人の口から出たので笑った。反省部屋? それ、内見とかでよく使う語彙? 採寸をしまくって、本棚の理想的な高さも、ベッドの占める割合も見えてきたので、夜まで一生スマホの中で家具を見続けて終わった。見続けると正解を出せる。でも歌詞は書けていない。

 
 知らん女子高校生三人の卒業までの内輪ネタTikTokがそろそろ終わってしまう。編集が遅れたらしいおかげで三月末では終わらなかった。カリスマ性のあるオタクと、友達の前で面白いことを言い続けたい子と、個人で普通に可愛い動画を上げていて三人の動画にはいないときもある女の子。それぞれ良いところを言い合うみたいなやつで、「いつも一口くれる」とか言っている。一人がギターを弾いて、三人でラブリーサマーちゃんや相対性理論を歌ったり。あと「カラコンをとられたのも、いい思い出」って卒業文集に書いてたのかっこよかった。絶え間なくミームの元ネタ動画が編集で差し込まれるけど、私はアニメを知らなくてよくわからない。ただ、この三人の動画を見ると、高校生にとって、友達がいた人間にとって、昼休みというものがどのような時間であったか、その新鮮味のないふざけた手触りをすべて思い出すことができるのだった。内容は思い出せない、いや、昼休みに内容なんて存在しない。テクスチャだけが蘇りうる。

 
 着実にしか成長できない俺。テレビは24型、32型を経て40型になりました。どうしてもホワイトフレームの40インチのテレビが欲しくて中古で買ったのが届いた。フリマアプリで買ったら「旅行に行くので帰ってきたら発送します」と言わなくてもいいことを言ってくれて、旅行どこ行くんだろうって思った。「布団が届きました」と佐川が言う。私が頼んだのはテレビである。なんとそいつはたぶん捨てたいマットレスがあったんだろう、マットレスを緩衝材として利用して、マットレスの中にテレビを挟んで発送してきた。ウケた。この大きさに飽きないうちに映画を観るのが楽しみで仕方ない。

 4月8日 

 
 今日もひたすら横になってスマホで家具を探し求める。家具というか未来の生活をする自分の、今より少し機嫌のいい状態を探す。精神的なお部屋の目標はユキビデオ2のジャケットイラストであり、森万里子のWave UFOみたいな作品であり、燃え上がるメリーゴーランドの映像みたいなもの。気持ちはね。実際は、白を基調としたIKEAや韓国のシンプルな家具にゴージャスの違和感が目立ってそこに「ガーリー」が立ち上がっているみたいな部屋にしたい、高級志向ではなく、ガーリーな違和感としてのシャンデリアが必要なのだ。私は初めてファッションのように部屋を組み立てる実践に着手している。みんなこんなふうに楽しんでいたのかーと感嘆する。用意されたスタイルは興味なく、韓国っぽすぎるのもなんか違う。YUKIのMVみたいにしたい、Tommy february⁶ が選びそうなものを選びたい、物量やかましすぎて意識飛んでいかない部屋にしたい、可愛くてちょっと変なハイコンテクストガーリー仕事部屋にしたい。ミッドセンチュリーっぽい椅子、二つセットだけどこの部屋に友達とかくるのかな。来れる部屋にしよう!いったれ。食器は、喫茶店ぽいステンレスのもので揃えたい。新居を作るのは私じゃない。ごめん、野田凪に作って欲しい。だから私の中の野田凪に、打診している。今日も家具を見あさって1日が過ぎた。歌詞が生まれる場所であるデスクは、やっぱり妥協できない。ところでラグは無限の選択肢、選べる日が来るのかってくらい、無限の選択肢。どうしようラグ。

 
 夕方はさすがに作詞をしようと思ってドイツのデザイン美術館で開催されたナイトクラブやディスコについてのデザイン展の図録『Night Fever:Design und Clubkultur 1960-heute』を持ってファミレスへ。ドイツ語なんて読んだことはないけど通販で買った。1月に水戸芸術館で磯崎新の設計したパラディウムというクラブを知ってから興味が止まらない。 Chen Weiという写真家の撮るクラブにいる人々の写真が、自分の今一番見たかった景色って感じがした。もう今必要なものはインプットではないと頭ではわかっているのに、Chen Weiの写真集をまた注文した。何か外から持ってくるような作詞をするはずがないのに、資料を見たり買ったりしていると、進んでいないのにサボっていない気がして、何もしないよりは気が楽なのだ。メモだけは進んだ。

 4月9日 

 
 朝起きると金原ひとみ先生から「ラグは狂気の世界。狂わないと買えない。」と連絡が来ていて、やっぱりみんなそうなんだ!狂わないと買えないよなあ!と安心して、別の友達に話したら、「それは金原さんとゆっきゅんの世界。みんな迷いはするけど狂わなくても買えてるよ」と言われて、半日の儚いエコーチェンバーだった。

 
 いま、原稿やら作詞やらが進んでいなくて、引っ越しの作業が最も単純で気楽に「それでも今日はこれができた」を積み重ねられる体験になっている。とりあえず毎日1箱をノルマとして、でっけー本棚三つから私なりの十進法みたいなカテゴライズで本を下ろしていく。それにしても読んでない本ばっかり。理想の図書館ではあるのだが。

 
 4/26のレア曲ワンマンライブのフライヤーを自分で作成した。私はプロの仕事が好きだから外注をするのが好きだけど、これくらいは自分でやるしかない。いつも誰かにデザインをお願いするときは言葉やリファレンス画像でのイメージの共有に加えて、フライヤーなら自分がラフを作成して提出しておくようにしているけど、そのラフみたいな画像を今回は完成品として、告知。ないよりはある方がいいよね。と信じて。

 4月10日 

 
 夢の中の私はTWICEの新メンバーでFeel Specialの練習をしていた。牧野真莉愛さんも一緒に加入することになっていて、立ち位置とか最初から頭に入れてきててさすがだなーって思った。私の頭はお花畑。昨日は若槻千夏さんと郊外の祭りで一緒に遊ぶ夢を見た。地元密着型のフェスだった。その前は、楽屋でアイドルさんとめっちゃ仲良くなる夢を見た。あのときは久しぶりに起床即「夢か……」と落胆した。夢だろ。夢の中で私はいつも私のままの私で、深層心理の分析が不必要な夢ばかりを見て生きてきた。会いたい人に言われたいことを言われたり、会いたくない人に言われたくないことを言われるみたいな。昔は飛ぼうと思って空を飛べた、前の部屋で見ていた夢はそうだった。空は飛ばなくなったし、尊敬している人に認めてもらえないという以前よく見た悲しい夢ももう見ないけど、車の運転はよくやっている。夢の中の私は現実と同じなのでもちろん無免許運転の夢を見るわけである。あと目が覚めて1分以内、どうしても続きが見たいと願って目を閉じれば夢の続きが見れる。続きが見たくなる夢が見たい。

(次回は6月25日に公開予定です)

 


ゆっきゅん
DIVA・作詞家 1995年岡山県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科比較芸術学専攻修了。2016年、ルアンとのサントラ系アヴァンポップユニット「電影と少年CQ」を結成。2021年よりセルフプロデュースでのソロ活動「DIVA Project」を本格始動。アーティストとして楽曲を発表するほか、作詞提供、コラムや映画評の執筆など活躍の幅を広げている。アルバムに『DIVA YOU』『生まれ変わらないあなたを』、最新EPは『OVER THE AURORA』。文化放送「武田砂鉄 ラジオマガジン」水曜後半レギュラー。
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