【知的好奇心を掻き立てる】大人も子供も楽しめるおもしろ図鑑特集
好奇心を育て、研究などにも役立つ、「図鑑」。子供たちはもちろん、大人を含めた幅広い年齢層に読まれています。今回は知識を深めたい時や話題作りをしたい時に最適な、大人にこそ読んでほしい図鑑10冊を集めました。
生き残るって簡単なことじゃない-『わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』丸山貴史(著)今泉忠明(監修)サトウマサノリ,ウエタケヨーコ(イラスト)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478104204/
はじまりがあれば、かならず終わりもあります。
命の終わりは「死」。そして種の終わりが「絶滅」です。
絶滅とは、その種類の生き物がこの世から1匹残らず消えること。
強い生き物も、賢い生き物もたくさんいました。
けれど、さまざまな理由でほろびていったのです。
研究者たちは化石や時代について研究を重ね、環境の変化や生息していた動物の情報を基に、絶滅理由を想像してきました。大きな絶滅の後には、大きな進化を遂げるいきものが現れ、新しい生命体が生まれることもあります。
地球にうまれた生き物は、いつか絶滅する運命。
むしろ生き残ることの方が例外なのです。
実際にティラノサウルスやマメンチサウルスをはじめ、地球の王者として君臨していた恐竜たちが絶滅し、人間が生まれました。今まで地球に誕生したいきものは、99.9%が絶滅していると言われています。その中でも絶滅した理由が面白かったり残念だったりするいきものたちは、体長3mのヘビや7mのワニなど、現代に生きていたとしたらとても強い力をもつ種ばかり。地球にはかつてどんないきものが住んでいたのか、歴史を知りたい方やクスリと笑えるちょっとした知識を知りたい方におすすめです。
最強の暇つぶし、始めませんか-『超☆暇つぶし図鑑』ARuFa
https://www.amazon.co.jp/dp/4800268877/
人生において「やるべきこと」は有限ですが、「しなくてもいいこと」は無限にあるもの。そこに目を向けた時、きっとあなたの人生から退屈な時間はなくなることでしょう。
真の暇人とは“暇”そのものを生み出すことができるのです。
2005年からインターネット上で活動を始め、日常の徒然や手間暇かけた驚きの実験を記事にしてきたARuFa。人気ブロガーとして名を馳せる彼の特殊な暇つぶしを1冊にまとめた『超☆暇つぶし図鑑』には、いつ思いついたのかと笑ってしまうようなことから、どうしてここまでやったのかと尋ねたくなるほどのクオリティーを誇る作品が載っています。「力士が撒いた塩で焼き鳥に味付けをしてみる」、「カレーを24時間食べ続けると『2日目の味』の境目がわかる」などなど……。普通に生活していたら思いつかないことばかりが試されています。
暇つぶしのコツとして、「当たり前のことを疑う」というものがあります。
日常で習慣化されていることや見慣れた風景でも、もう一度よく観察してみたり見方を変えたりすれば、これまで見逃していた暇つぶしのヒントが見つかるかもしれません。
手先が器用で発想力が豊かだからこそ作り出せるハイクオリティーな作品たちに、創作意欲を刺激される人も多いはず。お子様に面白い工作をさせたいと思われているなら、ぜひ一緒に読んでみてください。
きのこの世界へいらっしゃい-『小学館の図鑑NEO きのこDVDつき[改訂版]』保坂健太郎(監修)大作晃一(写真)
https://www.amazon.co.jp/dp/4092173229/
きのこは、菌類の体の一部です。専門的な言葉では「子実体」とよばれています。
色鮮やかで美しいものから美味しいものまで、多くの人に愛されているきのこ。日本で確認されているきのこは2,000種以上で、その中の約700種を紹介している本格的児童向け図鑑です。
担子菌類(注1)はハラタケ目(注2)やイグチ目(注3)などで、ハラタケ目であるヒラタケの仲間は人口的に栽培できます。ご家庭の食卓にもよく出てくるエリンギやシイタケをはじめ、多くの人に認知されているきのこはハラタケ目が多いです。
子のう菌類(注4)はよくみるきのこの形とは異なることが多々あります。例え形が近くても、かさにひだや管孔などがなく、多様性は担子菌類よりも高いかもしれないと言われていて、別の種のように感じられます。
昔は、「塩につけたり、かわかすと毒がなくなる」「ナスといっしょに油でいためると毒がなくなる」などの俗説がありましたが、これらはまちがっています。毒きのこの中には、腹痛やはき気だけではなく、死んでしまう猛毒きのこもあるので、気をつけなくてはなりません。
派手な色だから毒きのこというわけでもなく、赤いベニテングタケとよく似ている食用のタマゴタケもあるため、見分ける時には注意が必要です。
菌類が胞子形成のために作り出す子実体とはどのようなものなのか、進化し続ける不思議な存在「きのこ」についてじっくりと研究された図鑑です。
注1.担子菌類は真菌類の一群。主に菌糸が集まって傘状の子実体をなし、傘の裏面などに担子器を生じ、担子胞子をつくるもの。一般にキノコとよばれるものの多くが含まれる。マツタケ・サルノコシカケ・ショウロなど。
出典:小学館デジタル大辞泉
注2.ハラタケ目(Agaricales)はキノコの分類。子実体は、柄と傘からなり、イグチ科はしっかりしているが、それ以外は柔らかく壊れやすい。虫に食べられていることも多い。傘の裏にはひだ、もしくは管孔があり、そこから胞子を飛ばす。ひだや管孔は幼菌では白いものが多いが、胞子が成熟すると色が変わるものも多い。胞子の色は科を調べる重要な手がかりになる。マツタケやシイタケ等、食用になるものも多いが、毒キノコの大半がハラタケ目に属している。
出典:Weblio辞書
注3.イグチ目(学名:Boletales)は担子菌門、真正担子菌綱、ハラタケ亜綱に属する菌類の目の一つ。様々な外観を持った子実体を作る、多くの種を含んでいる。イグチ類はその中でももっとも良く知られたものであり、近年までこの目にはイグチ類以外のものを含まないと考えられていた。現在ではハラタケ類や腹菌類、その他の明確に異なる外見のキノコがここに含まれることがわかっている。
出典:Weblio辞書
注4.真菌類の一群。体は菌糸からできていて、子嚢を形成し、中に子嚢胞子をつくる。コウジカビ・酵母菌や一般にカビとよばれるものの多くが含まれる。
出典:小学館デジタル大辞泉
目指せ化学者への道-『世界で一番美しい元素図鑑』セオドア・グレイ(著)ニック・マン(写真)若林文高(監修)武井摩利(訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4422420046/
地球も、この本も、あなたの足も、知覚や検知ができるすべてのものは元素からできています。あなたの足は大部分が酸素で、そこに相当量の炭素が加わり、有機分子構造を作り上げています。
2002年から2009年までの短い期間で、人が保存して所持することができる代表的な元素を2,300点を集めきったセオドア・グレイ。元素コレクターとしての自分に誇りを持ち、研究の成果として、世界を形作る根源118個の元素をオールカラーで一冊にまとめ上げた本作は、全世界で100万部を販売したベストセラー図鑑です。
例えば酸素や水素をはじめ、よく耳にする元素の色を知っている人は数少ないでしょう。「酸素は-183℃で美しい薄青色の液体になる」といった化学の知識を、写真付きで楽しく知ることができます。特に物理学者や化学者を目指しているお子様や学生は必見です。
かわいそうなホウ素。さえない名前でだれかに尊敬してもらえそうには見えません。ホウ素は洗濯に使われるホウ砂としてよく見かけると言ったところで、なんの足しになるでしょう。でも、ホウ素は実はあなたが考えるよりずっと有用で魅力的です。
各元素の説明は上記のように、興味を惹く文章から始まります。最後まで読み切った時にはとても楽しく知識を身に付けていることでしょう。
この世界を作り出している物質「元素」について学ぶことで、今まで見ていた世界観を揺り動かす新たな価値観に出会えます。幻想的な結晶の目を見張る美しさをお楽しみください。
元素の美しさを存分に感じられる写真ばかりですので、美術作品が好きな人が見ても楽しい1冊です。
話のネタに困らなくなる1冊-『図解!! やりかた大百科-役にたつ(かもしれない)438の豆知識。』-デレク・ファーガストローム,ローレン・スミス,ショー・ミー・チーム, 和田侑子(訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4756241093/
『図解!!やりかた大百科』は、生活に役立つ豆知識(過激なのもあるけど)を楽しんでもらうための本だ。
イラストによって正確で詳しい説明を簡単に理解できるばかりでなく、情報のおもしろさもひとめでわかるようになっている。
生活をする上であらゆるノウハウを知っているととても便利です。本作は「つくる、食べる、洒落る」などをはじめとした大見出しのほかにおまけもあり、徹底した調査を行った438点もの“やりかた”がイラストで解説されています。「本書に載っている“やりかた”はすべて娯楽を目的としている」と描かれている通り、どのタイミングで使えるのか判断が難しい特殊な豆知識も多数載っています。
本書が紹介した「やりかた」に挑戦することで、新しいこと(すばらしいものも、ヘンなものも)を知って世界を広げるきっかけになれば、僕たちの作戦も大成功なのだ。
すぐに試せる自分の運勢がわかる「紅茶占いのやりかた」やプレゼントにぴったりの「きれいな押し花のつくり方」といったものから、「ミステリーサークルのつくり方」、「妖精になるには」など、ユニークな物もたくさんあります。図も載っているのでわかりやすく、読み進めるうちについ試したくなってしまう豆知識を見つけられるでしょう。
虫に対する苦手意識を克服しよう-『小学館の図鑑NEO イモムシとケムシ チョウ・ガの幼虫図鑑』鈴木知之,横田光邦,筒井学(執筆・写真・幼虫飼育)広渡俊哉,矢後勝也(監修)杉本美華(監修協力)
https://www.amazon.co.jp/dp/4092172230/
いっぱんに、成虫が昼間に活動し、美しいはねをもつものを「チョウ」、夜活動し、地味なはねのものを「ガ」と呼んでいます。
日本には6,000種を超えるチョウやガが生息していて、自然が豊かな場所はもちろん、高層ビルが建ち並ぶ都心でも日々見かけるいきものの一種とも言えます。チョウとガに生物学的な違いはないと言われていますが、1匹ごとに異なる特徴を持っていて、姿形や色も様々でとても面白いいきものです。
イモムシや毛虫の体の構造はどうなっているのかというと、大きく分けて頭部・胸部・腹部に分かれています。感覚器官やあごを備えている頭部以外には、たくさんの足があります。グループによって多種多様な特徴がありますが、基本的に体の構造は同じです。そこから模様や刺毛、特殊な器官が発達していき、個を現していくのです。
イモムシや毛虫は、卵からかえって育ちます。大きくなると蛹(さなぎ)へとすがたを変え、はねをもつ成虫に変身します。このようにすがたを変えることを「変態」といい、蛹の時期がある変態の仕方を「完全変態」といいます。
大人になるために「変態」をする繊細ないきもの・イモムシとケムシの魅力が凝縮された1冊です。
おじさんの生態丸わかり-『おじさん図鑑』なかむらるみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4093881391/
おじさんて絵になるなあと思って、ついにおじさんの絵を描くようになった。そうやって今まで見てきたわたしなりの「いいおじさん」を集めたのがこの本だ。図鑑なので「嫌なおじさんも」入れたけど。
そう語る著者の研究結果が図解とともに綴られている『おじさん図鑑』。「普通のスーツのおじさんの特徴」から始まり、「おじさんがかぶる基本の帽子の知識」や、著者が酔っ払いのおじさんの元へ突撃したコラムなど、とにかくおじさんの情報がてんこ盛りです。電車や公園で見かけたおじさんを観察した一言に頷いてしまう人も多いでしょう。日々見かける様々なおじさんが続々登場します。
最初のページには「おじさん予想診断」もあり、将来自分がどんなおじさんになるのかを知ることができます。
おじさんは小さいことは気にしない。半ば強引ともいえるパワーでとにかく前に進む。いつだって自分が中心。そのタフさと見切りの早さは、長年の経験が生み出した術。おじさんを見習い、たまには本能に赴くまま過ごしてみてはいかがだろうか。
「おじさんインタビューカタログ」もついているため、社会を支えるおじさんたちのリアルな言葉を読み、素敵なおじさんが持つ「おじさん力」について学べます。
“イケてる”おじさんを目指したい方はバイブルとして持つのも良いかもしれません。
天才と変人は紙一重-『奇想天外発明百科:ややっ、ひらめいた!』マウゴジャタ・ミチェルスカ(著)アレクサンドラ・ミジェリンスカ,ダニエル・ミジェリンスキ(イラスト),阿部優子(訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4198640394/
発明とは人間の夢を形にしたものです。
当時の人々は、ダ・ヴィンチのことを「変人」だと思っていましたが、現在は「時代を先取りしすぎた天才」といわれています。
天才の発想は時代が追いつくまで理解されないもの……。生活に役立つアイデアを形にしようとしても、時代によっては必要な部品や技術が足りないこともあります。そんな時にも諦めずに懸命に挑戦し続けた人たちは、当時は英雄となるか変人と思われるかの二択でした。奇想天外と言われながらも発明をやめなかった偉人たちのおかげで、私達の生活はとても豊かなものとなっています。
発明は、だれが挑戦してもいいのです。必要なのは、想像力とやる気だけ。想像力は、これまで存在しなかったすばらしいものや役に立つものを生みだす力なのです。あなたがなにか思いついたとき、ばかげているとか、くだらないとかいう人がいても、気にしないこと。やってみなければ、なにも生まれないのですから。
今でこそ当たり前に使われているヘリコプターや潜水艦だけではなく、実現できずお蔵入りとなった発明やこれから実用化されるのでは、と思われる発明も数多くあります。本作で紹介している発明は、「空飛ぶ自動車」や「旅客用ドラゴン」といった夢が溢れるアイデアが勢揃いしています。
「やってみなければ始まらない」ということを世間に伝え続けた発明家たちの28点の発明の構造や背景を、イラストともに楽しめます。
いきものにはそれぞれ事情があるのです-『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』今泉忠明(監修)下間文恵,徳永明子,かわむらふゆみ(イラスト)
https://www.amazon.co.jp/dp/4471103644/
ざんねんないきものとは、一生けんめいなのにどこかざんねんないきものたちのことである。
(前略)すべての生命の始まりは、約40億年前にうまれた「細胞」でした。
何かのきっかけでぐうぜんうまれたのか、はたまた宇宙からやって来たのかまだわかっていませんが、ともかくこの細胞が、変化する地球の環境に合わせてさまざまに進化して、たくさんの種類の生き物が登場したのです。
すべてのいきものの始まりは「細胞」ですが、環境に合わせて進化を続け、数えきれないほどの種類のいきものが誕生。いきものたちは進化を重ねるにつれて、自分が生き延びやすい姿や必要な能力を手に入れました。不老不死をはじめとした魔法のような能力を持ついきものから、水中生物でありながら眠ると溺れてしまういきものまで、あっと驚く能力を見せるいきものが存在しています。
地球がいつ、どう変わるのか、だれにもはっきりとはわからないので、進化に正解はありません。
生き残れるかどうかは、もはや運しだいなのです。
本作は「進化のどの過程でその “ざんねん”さを身につけてしまったのか」と思ってしまう、シュールないきものにフォーカスしています。「タカアシガニは足が長すぎて、脱皮中に死ぬこともある」、「カメムシは自分の匂いが臭すぎて気絶する」など、本当なのか疑ってしまうほど“ざんねん”な情報が満載です。読み終わった時には、いきもののおもしろ知識博士になっているかもしれません。
これぞ最強の自由研究-『文房具図鑑 その文具のいい所から悪い所まで最強解説』山本健太郎(著・イラスト)
https://www.amazon.co.jp/dp/4866070048/
この文房具図鑑は、文房具好きな小学6年生の息子が約1年かけてコツコツと文房具の事を綴り、夏休みの自由研究として学校へ提出した図鑑を元に出版された書籍になります。
文房具好きな小学6年生の男子の夏休みの自由研究が書籍化され、話題となったのがこの本です。細部まで再現された文房具のスケッチとリアルな使用感が書かれていて、文房具選びに悩んだら本作を読めば良いと言えるほど濃い内容になっています。文房具のイラストはほとんど原寸大で、リニューアル後の細かな変化もしっかりと描かれているというから驚きです。
作者が調べたキャンパスノートの進化やメーカー別のボールペン比較に対して、その評価を見たメーカーの担当者からの一言も掲載されています。
『文房具図鑑』は、発売前にもかかわらずどんどん有名になっていきました。SNSでは「文房具図鑑スゲー!」という声が溢れ、テレビ取材などのありがたいお話も続々やってきて、そうして世界が動いていくのを私は見ていました。
(中略)『文房具図鑑』は好きなことをやりきれば、誰かの世界を動かすことができると証明しているように思います。
こどもはもちろん多くの大人の心まで動かしてしまった文房具図鑑。休みの日に「どこかに行く?」と訊くと「文房具屋さんに行きたい」と言っていた著者の文房具愛を存分に感じてください。
「鉛筆には鉛が含まれているか」「フリクションインクはストーブの近くにおいておくと消えてしまうか」など、大人子供関係なく気になる疑問の答えも見つかります。新学期や誕生日にお子様に買ってあげたい文房具や自分のお気に入りとなる文房具が見つかるかもしれません。
【おわりに】
いきもの図鑑から変わり種の図鑑まで、年齢を問わずおすすめできる10冊を紹介しました。お子様と一緒に読むもよし、自分1人で楽しむもよし。専門家や科学者たちの研究結果を見て心に新しい風を感じたなら、研究を始めるチャンスです。自分の好きなことを突き詰める楽しさや知識を学んでいく喜びは、かけがえのないものです。これを機に童心に返ってみませんか。
初出:P+D MAGAZINE(2019/09/13)