真山 仁『失敗する自由が超越を生む 量子物理学者 古澤明の頭の中』
夢を形にするメソッドの全てを凝縮
あんまり騒ぐと運命の女神が逃げてしまうかもしれないが、今、日本で最もノーベル賞に近い男は、とても魅力的だ。
古澤明――東京大学工学部で、光量子コンピューターの研究を続け、このままいくと世界初の量子コンピューターの実用機を「発明」できる人物だ。
私にとって初めてのインタビュー本となる『失敗する自由が超越を生む』で、その古澤明の脳内を徹底解明した。
相手の脳と心の中に潜り込むインタビューほど楽しいものはない。新聞記者、フリーライター、そして小説家と肩書きは変わっても、私の取材者としてのスタンスは変わらない。インタビューとは、質疑応答でも、事実確認でもない。本人が意識していることも無意識の領域も全て引っ張り出すセッションなのだ。
しかし、その引っ張り出した中身をそのままストレートに伝えることはしない。小説家である私は、セッションで得た事実、感性、経験、感情の全てを脳内に吸収し、小説を生み出すための器に放り込み、化学反応を待つ――。
では、なぜ、古澤明だけは、ロングインタビューを行い、それを読者に伝えたいと思ったのか。
それは、彼の思想や行動が、ダメダメに陥っているニッポンを甦らせるきっかけになると確信したからだ。
だから、若い世代に読んで欲しい。
自分の将来に不安がある人、自分探しをしても答えが見つからない人から、なりたいものは見つかったのに、成果を上げられない人まで、本書には夢を形にするメソッドの全てが凝縮されている。
だが、断っておくが、マニュアル本ではない。古澤明という一人の異能の人の言葉と行動を「自分事」にひきつけて読めば、あなただけの「成功への道」に向かって歩み出すことができる。
読み終わったとき、あなたもこう言って欲しい。
「勝てない勝負はしない」と。
真山 仁(まやま・じん)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者・フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な裏側を描いた『ハゲタカ』でデビュー。同シリーズはドラマ化、映画化され、大きな話題を呼ぶ。他の著書に『タングル』『マグマ』『ベイジン』『プライド』『コラプティオ』『黙示』『グリード』『そして、星の輝く夜がくる』『売国』『当確師』『標的』『トリガー』『神域』『ロッキード』『レインメーカー』『墜落』など多数。
【好評発売中】
『失敗する自由が超越を生む
量子物理学者 古澤明の頭の中』
著/真山 仁