◎編集者コラム◎ 『あえてよかった』村上しいこ
◎編集者コラム◎
『あえてよかった』村上しいこ

村上しいこさんの小説は、いつも突然にやって来る。
この小説も「是非、読んでいただきたい作品があります」と、一冊丸ごとの原稿が突然やってきた、ところからスタートした。なかなか読む時間が取れずお待たせしてしまって申し訳なかったけれど、ある日読み始めるとどんどんグングン引き込まれて、あっという間に読了してしまった。
あのときの「良い小説読んだ~」感は、忘れられない。
子育てを経験したものだからこそ、響くこともたくさんあった。学童クラブ、そういえばあんなこともあったし、こんなこともあったなあ、と。私の娘は、こんな空間にこんな感じでいたのかなあ、など。子どもって本当に面白い。とっても無垢なエネルギーに溢れている。やっぱり児童文芸のベストセラー作家村上さんの描く世界だからこそ、こんなにも子供たちが生き生きして引き込まれてしまうのだ。
あまりに感激した私は、ネット検索で学童クラブのアルバイトを探して応募までしてしまった。(結果、社員と並行してのアルバイトは難しく諦めるしかなかったけれど)。
ハラハラドキドキの展開ではないけれど、心がとっても温まる。なんだか疲れて身体が重い夜は温かい浴槽に浸かりたくなるように、なんだか心が疲れているとき、是非読んでほしい一冊だ。
──『あえてよかった』担当者より