エッセイ

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気球とタコとBLM  以前、北極に鯨を追う捕鯨船が主役の冒険小説を手がけたことがあった。神秘的な北極の自然描写が素晴らしくて、その訳出に苦労させられたのだが、まさかそれと同じ苦労をこの小説『ワシン
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始まりの木
「諸君、旅の準備をしたまえ」  我ながら、少し不思議な物語を書いた。変わり者の民俗学者とその教え子が日本各地を旅する物語である。格別奇をてらったわけではない。コロナ騒ぎでほとんど病院を離れられない腹い
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いつも通りこの原稿を担当の催促を受けて書いている。 もはや漫画『刑務所の中』で、服役した主人公が刑務所の食事に対し「しかしまあ毎日忘れもせずメシをくれるもんだよなあ」と感心していた感覚に近い。よくもま
Chiemon
陸から見る海の風景  2015年8月17日、山口県周南市の櫛ヶ浜へ行った。台風の影響でJR山陽本線のダイヤが乱れていた。徳山駅から1駅、5分足らずの近場だが、天候不良のため電車は1時間に1本もなかった
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第43回
先日ツイッターで「最近の作家は編集者や出版社の愚痴や悪口、告発が多い。出版社側は敵ではない。協力し合わなければ余計出版界に未来はない」というような意味のつぶやきを見たような気がする。 これを言っている
思い出の味 ◈ 大島真寿美
「大島小姐~、許留山、つぶれちゃったらしいですよ、知ってます?」 「知ってる~。泣」 これは、約二十年ぶりに繋がった友人とのメッセージのやりとり。 許留山、というのは香港スイーツのお店の名前。私が好き
武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
東京に引っ越して数年が経つが、ふとした瞬間に故郷の味が恋しくなる時がある。 実家に住んでいた頃は当たり前に得られていたものが、実は得難いものだったと気付いたのは最近になってからだ。 今回は京都に住んで
OsoroshiBakudan
恐ろしく自由な女──その名は乙子 いつの頃からか、会う人会う人に「お気楽でいいね」「自由だね」などと言われることが多くなった。むべなるかな。ノリで再受験した大学の途中から週刊誌の記者として働きはじめ学
思い出の味 ◈ 伊吹亜門
晴明神社が近い堀川今出川の角に、是空というラーメン屋があった。 通っていた大学の近所で、しかも当時私が下宿していたアパートの数軒隣だったこともあり、学生時代には足繁く通った店だ。鶏ガラと豚骨の濃厚なス
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第42回
また担当の「進捗どうですか?」のメールを受けてからこの原稿を書いている。 だがそれを言うのは癪なので、「原稿は出来ていたけど、未送信になってました」と言って送ろうと思う。 おそらく漫画家に限らず、全く
◇自著を語る◇  五條 瑛『パーフェクト・クオーツ 北の水晶』
『パーフェクト・クオーツ 北の水晶』は、在日米軍のHUMINT担当の情報分析官を主人公とするシリーズものの諜報小説の中の一作だ。このシリーズはすべてタイトルに鉱物の名称を使っているために一部の人たちの
Koufukunorecipe
女中さんたちに捧ぐ! 少し前に、SNSでちょっと話題になった投稿があった。 戦前の少年雑誌の豆知識のようなコーナーの後に、「このことは家の女中さんたちにも教えてあげましょう」という一文があった、という
◇自著を語る◇  はらだみずき『海が見える家 それから』
 小説の最後のページのその先は、本来、読者に委ねるべきもの。僕も同じ意見ですが、時にそれは言い訳のように聞こえる場合もあります。その先、続きを書くことは、それが予定されていない場合、かなり勇気のいる作
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第41回
現在8月4日、漫画家はお盆進行の真っただ中、と言いたいところだが、本当の意味でお盆進行が関係あるのは雑誌連載の漫画家だけである。 前にも書いたと思うが、何故お盆や年末進行と言って締め切りが前倒しになる
henbutsu_Zamurai
へんぶつによる、へんぶつの物語 この本が完成し、編集者の方が届けに来て下さった日。 駅前の建物のロビーで待ち合わせたが、わたしは案の定、道に迷ってしまった。 逆方向に歩いていたことに気がつき、同じ道を
◇自著を語る◇  山本甲士『つめ』
 拙著の中に〔巻き込まれ型小説〕という名称でくくられている作品がある。  最初は二十年ほど前に書いた『どろ』という、隣人トラブルがエスカレートしてゆく話だった。結果的にあまり売れず、文庫化された後でち
◇自著を語る◇  榎本憲男『DASPA 吉良大介』
 執筆に際して僕が念じているのは、小説とはまずは面白いお話でなければならないというテーゼです。  都内のマンションでアメリカ人のプログラマーが毒殺される。その手口から外国の関与が見えてきて、さらにテロ