辛酸なめ子「お金入門」 19.メジャーなところから穴場まで、都内の金運アップスポット

辛酸なめ子「お金入門」19
類いない感性で世相を活写しつづける辛酸なめ子さんが、お金と仲良くなって金運をアップするべく模索する日々を綴ります!

 あらゆるものが値上がりしているけれど国の物価高対策は頼りにならないし、円安が止まらないし、収入は上がらない……神頼みが頭をよぎるこの頃です。

 東京都内でも、金運が高まるとされるスポットはいくつかあります。私が密かに頼りにしているところや、新たに発見した場所をご紹介したいと思います。
 

平日でも行列ができる小網神社

 まずはネットでも「東京の最強パワースポット」として出てくる人形町の「小網神社」。オフィスビルの間に突然古式ゆかしい木造檜造りの社殿が現れ、そこだけ異次元のような空気です。御祭神は「倉稲魂神うがのみたまのかみ(お稲荷大神)、市杵島比賣神いちきしまひめのかみ(弁財天)、福禄寿など。金運と強運、厄除けといったありがたいご利益があります。関東大震災や東京大空襲、戦争を奇跡的に乗り越えた歴史があり、きっと何百年後もこの社殿はそのまま残っているのでは、と思わせる安定感が漂っています。第二次世界大戦のときは、社殿や神楽殿が空襲を逃れただけでなく、お守りを持って出征した兵士が全員生還できたとも言われています。東京に大災害が起きたらこの神社に駆け込みたいです。有名な占い師さんがおすすめしてから平日でも行列ができる大人気の神社になりました。

 境内には、手水舎、本殿、東京銭洗い弁天様、福禄寿様、お守り授与所がコンパクトにまとまっています。「昇り龍」と「降り龍」の彫刻も厳かな気を放っています。

 市杵島比賣神様は東京銭洗い弁天として信仰され、境内の「銭洗いの井」ではお金を洗ってお財布に収めるとご利益があるとされます。最初にお参りしたときは普通に五百円玉を洗っていたのが、周りを見たら一万円札を洗っている人が結構いたので、欲にかられて一万円札、ときには銀行のキャッシュカードを洗っていました。あるときに、家にある水晶のガネーシャ像を洗おうとしたところ、境内で落として耳が割れてしまったことが。神様に、あまり欲をかくなと窘められたようです。その直後に米国株の投資信託などが暴落。瞬間接着剤で水晶のかけらを接着し、ガネーシャの耳を修復しました。それから数年かかって、少しずつ株価は復活しました。

 私は欲に目が眩んでこんなことになってしまいましたが、一緒に参拝した友人は転職に成功したり、良いご利益を享受しているようです。神様が見ていらっしゃるのを感じるので、良い心で参拝すると金運を授けてくれることでしょう。
 

金運といえば蛇。かわいい白蛇がいらっしゃる蛇窪神社

 巳年だった2025年の元旦には5~6時間待ちの参拝の列ができて、ニュースにもなった品川区の蛇窪神社。スピリチュアル系の友人にもすすめられたパワースポットです。山口県岩国市、群馬県沼田市の老神温泉と並ぶ「白蛇日本三大聖地」のひとつです。蛇窪神社の主祭神は天照大御神で、天児屋根命あやのこやねのみこと、応神天皇も祀られています。境内社では白蛇大神や蛇窪龍神、弁財天も祀られ、金運や良縁、出世運などさまざまなご利益がいただけるようです。12日に一度の巳の日は白蛇様の御縁日で、祈願することでより願いが届けられるとのこと。私が昨年祈願させていただいたときは、室内なのに不思議な風を感じました。ちなみに、そのあとの仕事の打ち合わせで、原稿料の話になって金運を少し実感することができました。

 蛇窪神社の境内は、彫刻家の方が奉納したというかわいい蛇の像が各所にあって癒やされます。リアルな白蛇も展示されていて、神秘的な姿を拝めます。銭回し・銭洗所では、この神社特製の種銭を石臼の金杯に載せて清めたあと、自分のお金と一緒にザルに入れ、銭洗いします。種銭はお財布に入れておくのが良いそうです。

 壺の蓋を開けて、愚痴や不満、悩みを吐き出す「愚痴壺」や、水をかけながら願い事をする「願掛け水掛宝珠」、満願岩に投げた石が入れば願いが叶う「運玉投げ」など、アミューズメント要素もあって楽しめます。蛇窪神社で楽しんで、遊園地やアミューズメント施設に行くお金が節約できたら、そこで少し金運がいただけたということかもしれません。
 

江戸総鎮守、神田明神。都会のビジネスマンに頼られる神社

 江戸時代に徳川幕府から「江戸総鎮守」として崇敬された格が高い神社。商売繁盛・仕事運、縁結び・夫婦和合、厄除け、健康、勝運、そして秋葉原に近いのでIT情報安全などにもご利益があるとされます。御祭神として大己貴命おおなむちのみこと、少彦名命、平将門命の三柱が祀られています。境内の巨大な大己貴命(大黒様)に見下ろされると、そのほほえみに元気づけられます。健康運を司る少彦名命の像もイルカなどの海の仲間に囲まれていてかわいいです。

 そして強力なのは平将門命。1月の仕事始めには多くのビジネスマンが商売繁盛を願い、参拝する光景が風物詩となっています。さすがにその期間は混みすぎていて参拝できないのですが、境内の建物におしゃれなカフェがあるので、折に触れて利用しています。何度も行くことで平将門命にも覚えてもらえるかもしれません。

 神田明神は都心にあって駅からわりとアクセスしやすく、参道も含めて良い気が漂っているのを感じます。また、見える人によると、お祀りされている平将門命は、少し前までやる気がなかったそうですが、最近パワーアップして姿も大きくなり、参拝者の願いを積極的に叶えてくださるそうです。ある人の旦那さんが正式参拝で祈祷を受けたら、仕事が忙しくなりすぎてしまい、家族との時間がなくなって、次から正式参拝をやめたくらいだそうです。大手町の将門の首塚と合わせてお参りするのも良いでしょう。ここで授与される「IT情報安全守護」のお守りを持つと、炎上やフィッシング詐欺などを防げる気がします。

 ここまではメジャーな金運スポットですが、次は最近私が見つけた穴場スポットを紹介いたします。
 

お金を近くに感じながらお茶できるOlive LOUNGE

 三井住友銀行と三井住友カードが展開するカフェスペース。2024年5月に渋谷に1号店を開業してから、続々と増えていっています。銀行窓口とATMとカフェとシェアラウンジが一体化していて、お金のヴァイブスを感じながらコーヒーやお茶を飲めます。スターバックスと会員制シェアラウンジにそれぞれ座席があり、私はスターバックスの方を利用しています。高級感のある書斎のような内装で、擬似富裕層感に浸れます。

 先日は伊勢丹のすぐ隣の「Olive LOUNGE新宿通」に行きました。大通りなのでインバウンドの人も立ち寄り、かなり混んでいます。良いタイミングで席が見つかって、お金の神様に歓迎されているような気分に。品揃えは普通のスタバと同じです。フロアの一角にはATMがありましたが、なんと1台のみ。キャッシュレス決済の普及でATM離れがおきていると聞きますが、現金好きとしては寂しい光景です。しかも約1時間の滞在時間中、ATMの近くまで行ってなぜか利用しなかった男性が1人いただけで、利用者がほぼいない状態でした。

 もしここで、人気がなくて寂しいATMを利用したら、喜んで金運を授けてくれそうです。ただ残念なことに私は三井住友銀行に口座を持っていませんでした……。ちなみに御徒町駅前には、りそな銀行に併設されたタリーズコーヒーが。こちらの方が歴史は古いようです。口座を持っているご縁があるカフェに行くのが良いかもしれません。
 

証券会社がひしめく兜町のKABUTO ONE

 日本橋兜町や茅場町周辺には多くの証券会社や金融機関が並んでいて、多分兆単位のお金が日々動いているのでは?と推察。再開発でおしゃれな店や施設も増えています。兜町には東京証券取引所があり、日本の金融の中心地。隣の茅場町は、証券会社やオフィスが並ぶ金融ビジネス街です。日経平均株価が上がっている今、このあたりを散歩するだけでも金運が上がりそうです。心なしか街を歩く証券マンやウーマンも表情が明るいです。そんな日本橋兜町の新たなランドマークとされるのが、茅場町駅直結の「KABUTO ONE」。1階にはレストランやカフェがあって活気づいています。

 エントランスを入って1階のアトリウムでまず目に入るのが渋沢栄一翁の銅像風のオブジェ。渋沢栄一翁は、兜町と縁が深いお方です。日本初の証券取引所や銀行ほか、たくさんの事業をこの街で興した元祖ファウンダー。そんなすごいお方ですが、今は1人ベンチに座っていて、誰でも気軽に隣に座ることができます。面倒見の良い人物として知られているので、お金の悩みを相談したらなんとかしてくれるかもしれません。像の近くには、渋沢栄一翁が生涯大切にしていた佐渡の赤石も鎮座。幸運を招くと言われているパワーストーンです。日本三大銘石の一つに数えられる石で、古くから魔除けや観賞用の役割があったそうです。「活力」「精神力」「洞察力」を高める効果があるとのことで、手をかざすと不思議と温かいです。渋沢栄一翁の像に挨拶したあと、佐渡の赤石に触れてパワーをいただき、3階のBook Lunge Kableへ。ちなみに3階に行く途中の2階に無料で座れるおしゃれな休憩スペースもあり、時々仕事している人も見かけます。カフェ代を節約できます。

 3階のKableの平日の利用料金は1時間550円、フリードリンク制という良心的な設定。1DAY料金は2200円です。土日祝は1時間880円。空いていて安い平日がおすすめです。「お金」や「暮らし」にまつわる本が並んでいて、カフェコーナーではランチやディナーを手頃な価格で楽しめます。金融関係のシェアラウンジみたいな雰囲気で、金融リテラシーが高そうな方々が、ノートパソコンで静かに仕事したり読書したりしていました。ブックラウンジなのに本を読んでないと元が取れないのでは?と思ってしまう貧乏性脳。ここで1人で食事すると、孤独感も薄らぎます。窓際にはよりリラックスできるヨギボースペースもありましたが、意識が高い系の人ばかりなのか誰も座っていませんでした。水盤エリアからは水が流れる音が聞こえて、風水的に金運を高められそうです。

 金融や経済の専門書から、ビジネス・起業、歴史、芸術、食、旅、など、さまざまなジャンルの本が並びます。そんなに最新の本はなさそうでしたが、ジャンルが幅広いので、何かしら読みたい本は見つかると思われます。ホリエモンのマネー術の本やマッキンゼーのビジネスについての本などをざっと読んで参考にさせていただきました。でも、ここで一番読むべきは、渋沢栄一翁の関連本かもしれません。50~60冊くらい、渋沢栄一翁についての本がまとまっている棚がありました。日本資本主義の父に気に入られたくて、何冊か拝読。「論語」を人生の指針としてきた渋沢栄一翁の、人格者ぶりが伝わる本ばかりです。「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべき」「目標に向かっていくのに、小道(近道)を通ることをしない。正々堂々大道を通っていく」「『正しい欲』は、人を成長させる」「磁石力の強い者は、社会に重用されて立身出世する」など、渋沢栄一翁の思想を心に刻みました。
 

 結局、ただお金がほしい、ではだめで、世の中の役に立つためにはどうしたらいいか、どう社会に還元するか、を考えることが第一なのかもしれません。お金があったらあの服がほしい、このバッグが買いたい、温泉に行きたい……といった俗な動機をリセットし、心を入れ替えて、改めて各神社に参拝したいです。

今月の一言

人が集まる東京の金運スポットは、空いている時間に訪れると金運の神様に覚えてもらえるかもしれません。

 

辛酸なめ子「お金入門」19 イラスト

(次回は3月24日に公開予定です)

 


辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都千代田区生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部卒業。漫画家、コラムニスト、小説家。著書に『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』『女子校礼讃』『電車のおじさん』『煩悩ディスタンス』『世界はハラスメントでできている』『この人生、前世のせいってことにしていいですか』など。
Xアカウント@godblessnameko

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