ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第45回

ユーチューバーやゲーム実況者など
世間に歓迎されない職業を目指す子供の
親御さんに伝えておきたいことがある

元々人生というのは何が起こるかわからない不確実なものだが、最近その不安定ぶりがさらに増している。
そんな思春期みたいな国でどうサバイブしていったら良いかというと、これは何にでも言えることだが、「リスクを分散させること」が大切である。

投資でも「全財産をポンドにぶっ込む」というのは投資ではなく「投機」つまりギャンブルと変わらない。
資産運用におけるギャンブル要素やリスクを出来るだけ排除するのが「投資」である。

リスクを減らすにはどうしたらよいかというと、まず資産を「分散」することが大事だそうだ。
ポンドだけではなく、ジンバブエドルなど、出来るだけ多くに分散して投資することにより、例えポンドが死んでもジンバブエは生きてるなど、最悪の事態は免れる可能性は高くなる。

私はこの方式で株などを分散購入することにより、今のところ6桁のマイナスを出すことに成功している。
もし分散せず「やわらかいバンク」とかに全額突っ込んでいたら、新総理が爆誕した瞬間、私も爆発四散していたことだろう。
それがマイナス6桁で済んでいるということは「実質プラス」ということである。

仕事や投資だけではなく「結婚」も、自分が倒れても大丈夫なように柱をもう1本増やすという意味ではリスクの分散である。
だが「柱と思って結婚したらシロアリだった」というケースもあるため、柱選びは慎重に行わなければならない。
しかし、どれだけ頑丈な柱を選んでも、リストラや病気で倒れるというリスクは消えない。

本当にリスク分散を考えるなら、最低でも3人ぐらいと結婚したいところだが、何故かそれは法律で禁止されている。

漫画家というのは数ある職業の中でもかなりギャンブル性の高い仕事だが、その中でもリスクの分散を図ることはできなくはない。

まず「専業にしない」という方法がある。
私も漫画家をやりながら9年ほど会社員もやっていた。こうすることで漫画の仕事がなくなってもいきなり餓死することはない。

ただ、漫画の仕事があるうちは「すごく疲れる」というデメリットがある。

 
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

◎編集者コラム◎ 『若殿八方破れ(二) 木曽の神隠し』鈴木英治
片岡喜彦『古本屋の四季』/本好きの夢を叶えた! 古本屋の店主としての日々